残業100時間から「12時出社5時退社」を実現した著者が教える超スピード仕事術

残業100時間から「12時出社5時退社」を実現した著者が教える超スピード仕事術

 会社で働いていれば、同時進行でこなさなくてはいけない案件をいくつも抱えてしまうのはよくあること。中には、それをうまく処理しきれずに「私は仕事ができない」と悩んだり自信を失ったりしている人も多いのではないでしょうか。

 「あなたは、仕事ができないのではなく、仕事に優先順位をつけるのが苦手なだけ」と語りかけるのは、本書の著者・美崎栄一郎さん。本書によると9割の人は優先順位のつけ方を間違えているのだといいます。

 なぜそう言い切れるのかというと、それは美崎さん自身の過去の経験にあります。大学院修了後、花王に入社した美崎さんは、入社後の数年間は残業が月100時間を超えていたほどのワーカホリックだったそう。それが自身の働き方を見直すようになり、優先順位づけのメソッドを確立したことで残業をゼロにしたどころか、「12時出社・5時退社」の働き方まで実現したのだとか。本書にはそんな著者の「スピードと成果が劇的に上がる優先順位のつけ方」が記されているのだから、説得力があるというものです。

 仕事の優先順位のつけ方について、ビジネス書などによく出てくるのが「緊急度と重要度のマトリクス」という考え方。けれど、「じつは、このマトリクスに沿って仕事をしてもうまく行くことはありません」と美崎さんは言います。なぜなら、実際に仕事をしていると、想定外の割り込み仕事が入ってしまったり、邪魔が入って集中力が途切れてしまったり、感情が揺さぶられたりなどの事態が発生するから。基本原則として、大事なことを最優先させればいいことに間違いはないけれど、そのシンプルなことが現実的にはなかなかうまくいかなかったりするわけです。

 ここで念頭に置いておくべきは「時間の価値」なのだそう。「今という時間にその価値を最大化できる仕事を割り振る」ことが大切で、具体的には「今いる場所」「まわりの環境」「時間帯」「体調」という4つの要素によって時間の価値が大きく変わると美崎さんは書いています。逆にいえば、仕事の優先順位づけはこの4つの原則にしたがうことでうまくいくようになるともいえるのです。

 4つの原則について第2章で詳しく説明された後、第3章では「『分割と集合』で仕事はうまくまわりはじめる」、第4章では「仕事の『ボトルネック』を見つけ解消する」と具体的な仕事術が紹介されていきます。

 個人的に面白いと感じたのが、第5章の「”迷い”を断ち切る10のルール」と、最終章である第6章の「驚くほど仕事がはかどる優先順位のつけ方」です。第5章には「同じくらい重要な案件を同時に複数抱えてしまったときの優先順位のつけ方は?」「頼まれ仕事を引き受けるときと引き受けないときの線引きは?」「時間とお金で迷ったらどちらを優先すべき?」など、誰の仕事上にも起こりうる状況とそれに対する解決法が書かれています。また6章ではモチベーションを落とさない仕事の進め方」など精神的な部分までも「時間的な価値」といった観点から触れられており、たいへん参考にしたいところです。

 本書は仕事術に関する内容ではありますが、これは仕事以外にもじゅうぶん応用できます。主婦の人であれば家事、学生であれば勉強とアルバイトの両立など、子どもがいる人は子どもの勉強法についても当てはめられるでしょう。新たにスタートすることも多いこれからの時期。今抱えている自分のタスクを効率化したいと思っている人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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