働き方を「実験」する。――結婚・出産を経て、生きている限り“私らしく働く”ために
キャリアは築きたいけれども、結婚・出産・子育てを考えると、漠然とした不安感を抱く女性が多いのではないでしょうか。そうした人にとって、これからご紹介する大津奈央さんの経験談が、モヤモヤ解消のヒントになるかもしれません。「働き方が多様になれば生き方も多様になり得る。だから“働き方の実験”をしている」と語る大津さん。正社員からパート、フリーランスとさまざまな働き方を実践して見えてきた、“女性の生き方”について伺いました。
プロフィール
大津奈央 (おおつ なお)
大学の新聞学科を卒業後、PR業界の大手企業に7年半勤務。退職後は、アパレル業界での店舗販売(パート勤務)や、フリーランスでPRの仕事をするなど、多様な働き方を実践するかたわら、同年代のさまざまな女性の生き方を聴く『Nao’s Kitchen』を主宰。現在、夫と2歳7カ月の娘との3人暮らしの33歳。フリーランスで働きながら、脚本スクールに通い将来の新たな道付けにも取り組んでいる。
“がむしゃらに働く自分”からは「結婚・出産・子育て」のイメージが湧かなかった
大学生の時に、PR業界の就職フォーラムで、「PRには社会問題をポジティブに解決する力がある」と知った大津さん。日常生活の中にさりげなく関わっているPRの仕事に面白みを感じ、PR業界の大手企業に就職し、社会人としての基盤作りと、自分にとって軸となるキャリアを身につけるために、がむしゃらに働きました。
充実した仕事をする中で、「結婚・出産・子育てもしたい」という気持ちもあった大津さん。しかし、社会人3年目となる25歳のころから、「今の働き方では、将来子育てをするイメージが湧かない」と感じ始めました。20歳代のときはがむしゃらに働きたいけれど、「結婚、出産に現実味が出てくる30歳になったら、今の仕事はやめよう」と思ったと言います。
「自分の気持ちに正直になれる」――それが働き方を変えた
漠然と考えていた転職が具体的になったのは、結婚をした後の、30歳も目前の時でした。その頃は、仕事の経験値も増え、周囲からも一定の評価を得られるようになっていた大津さんですが、自分が置かれた環境と将来へのイメージ(子どもがいる暮らし)とが重ねられない難しさも、感じ続けていました。“周りから求められること”と“自分が提供できること”とが重なり、会社員としてはうまく成立してはいたけれど、“やりたい”というポジティブな気持ちと現状の働き方が重ならず、「『お金のためだけに働くのはもう限界だ』と夫に言うほどだった」と、大津さんは当時を振り返ります。
「生きている限り働く自分」でいたかった大津さん。そのためにしたことは、仕事と生活のどちらかを犠牲にする働き方をするのではなく、「自分の気持ちに正直になれる働き方」を選択――“転職”でした。
今の自分に最適なスタイルとは?――働き方の「実験」の始まり
結婚をして、子どもを育てる将来の自分の姿が具体化したことで、大津さんは、「子どもを職場に連れて行く」という働き方が新聞に取り上げられていたことを思い出しました。その斬新な働き方は驚きであり、自分も試してみようと、次に選んだ仕事は“子連れ出勤”ができる授乳服販売のパートでした。その選択は「仕事かそれとも子育てか」という、極端な二択を迫るような現在の社会制度への反発心からでもありました。
そして、妊娠・出産を経て、“子連れ出勤”を実践することになりました。他の職場ではマイナスに働くこともある「妊娠・出産」という生活の変化を、プラスに還元できたことも大津さんにとっては意味のあることでした。
それから、「もっと稼げる自分でいたい!」という思いを持ちながら、「今の自分の最適な働き方」を実践していく大津さんの“働き方の実験”が始まりました。パートをしながらフリーランスでPRの仕事をするダブルワークや、子どもの成長を見計らって保育園に預け、子連れ出勤を卒業するなど、 “一定の稼ぎ”を見据えながらも、ライフステージに合わせて働き方を変えていきました。
「自分の人生のテーマは“正直に貪欲に”。そこを外すと自分がすごく苦しくなるって分かっているので」そう話す大津さん。そこには大津さんの、“揺るぎのない指針”がありました。
「私の働き方は私がつくる」を実践して、わかった大切なこと
全く異なる業種を選び、正社員でもなくなったことで、初めは生活面の心配がなかったわけではありません。夫の収入に頼るしかない不安から、夫の働き方に口を出して夫婦関係が悪化したこともありました。しかし、その時、友達に「自分で稼ぐことにシフトしたら? その方があなたにあっている」と言われたことで、再び“自分の働き方”に意識を向けることができました。また、フリーランスの経験を積んで、自分の仕事にお金を払ってくれる人がいると分かったことも、大きな意識改革となりました。――「自分にとって働きやすい環境を整えることは、自分の責任だ」と意識することで、やりたいことが明確になったのです。
現在は、フリーランスという形で働きながら、将来のことや稼げない不安はほとんどない、と言い切る大津さんです。そう思えるのは、“働き方の実験”をしたことで、「仕事や働き方を変えると、漠然と収入が減ると思うから怖い。生活を回していける収入の最低ラインさえ守れるのなら、仕事にしがみつかなくても大丈夫」ということがわかったからです。
チャレンジし続けることで整える「自分の生き方」
さまざまな働き方の実験をする中で、大津さんは自分が子育て期の早い段階から、子どもと離れても大丈夫だということにも気づきました。子連れ出勤などをいろいろやってみたからこそ、納得して次に進める。「次の子どもが生まれたら、違和感なく0歳から預けているかもしれない」と、大津さんは笑いながら言います。
母親であっても“一人の人間”。「子どもがいるから諦める」ことがストレスになって、ネガティブな感情になることが分かっている大津さんは、「子どもがいてもいなくても、自分がやりたいことはやる」を大切にしています。
大津さんが今やりたいことは、ドラマの脚本を書くこと。ドラマなら自分の想い――「自分で自分の人生を選び取り、自分の生き方を愛せる人が増えることで、多様な生き方が共存し、貪欲女子が生きやすくなる社会を実現したい」を、より多くの女性に届けられるのではないかと考えているからです。
「自分に正直に貪欲に」―-今の働き方にモヤモヤを感じるのであれば、自分に合う働き方を探しチャレンジを続けることで、「自分らしい生き方」が見えてくるかもしれませんね。 文:Loco共感編集部 岡本未希
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