『人間椅子』バンド生活29年が濃縮されたMV集について和嶋さん&監督さんに聞いてみた
――一方で最新曲『命売ります』のMVは全編モノクロとなりました。そのギャップも面白くて。
和嶋:ドラマのタイアップということで、多くの皆さんに届くであろう楽曲だと思いました。そこで、『虚無の声』で素晴らしいMVを作ってくださったA+plus田中監督に、再びお願いすることにしました。そして、今度はプロジェクションマッピングとは全然違うアプローチにしたいと。
田中:モノクロは以前よりやりたいと思っていたのですが、楽曲が生と死をイメージした曲だったので、白黒で表現しようと。
――素人な質問で恐縮なのですが、モノクロで撮る難しさってカラーよりも多い気がするのですがいかがですか?
田中:カラーで撮ったものをモノクロにするのですが、ただ白黒にすれば良いというわけでは無く、顔が黒くつぶれない様にしないといけないので照明に関しては結構シビアです。鈴木さんの衣装は黒なので普通に撮るだけだと、真っ暗になってしまうので、服のシワがよく出る様に明かりを工夫して。
和嶋:色々なモノクロのMVを見せてもらったのですが、同じモノクロでも色味が全然違うんですよね。その中で自分が良いなと思ったのは、洋楽でしたが、昔の映画風のアナログっぽいモノクロで。人工的なモノクロにはしたくないとお願いしました。
あとは最近のMVの傾向として、歌詞がテロップで出てきますよね。色々見た中で、サカナクションの『アルクアラウンド』の文字の出し方にすごく驚いて。凝ってますよね。あのMVでは、文字が実物で登場しますが、そのまま真似るわけにもいかないし、予算や時間の都合もあるし、ということでモノクロにあった映画風のテロップを入れていただきました。
田中:以前から、人間椅子の歌詞は、独特でユニーク。音だけじゃなく歌詞もしっかり知って欲しいと思ってましたので、今回、私から和嶋さんにリクエストしました。海外の人間椅子ファンも多いので、今後は、英語字幕も入れるのもありですね。
「命売ります」MUSIC VIDEO (Short ver.)
https://youtu.be/GNlntg-jmhk [リンク]
――過去のMVを振り返って、特に印象的な映像はどれですか?
田中:『りんごの泪』ですね。高校生の時に見たライブを思い出しました。
和嶋:これも映画風ですよね。『りんごの泪』を含む最初の2本は、当時の事務所の社長さんがこだわって撮ったものなんですよ。世界観もしっかりと出ていますよね。『ギリギリハイウェイ』『ダイナマイト』『浪漫派宣言』なんかはレア映像です。特に浪漫派は、作ったものの出す場所がなかった映像なんですが、手作り感が生々しさを与えていて、今見返すと新鮮ですね。
和嶋:あとは『幽霊列車』(1999)から『洗礼』(2004)あたりまでは芝居やってるんですよね。俳優さんを使わずに自分たちで小芝居を…。そうやって見返していくと全てに思い出があるんですが、順番に見ると技術の進歩にも驚きますね。
田中:僕も趣味半分、仕事の資料半分でMV 集はよく買うのですが、ライブ映像と違う、お金のかけ方やその時代のエッセンスみたいなものがつまっていて、面白いですよね。日本のバンドで28年分の映像がまとまっている作品集って無いですよね。
和嶋:メジャーな人は出したとしても10年区切りとかですもんね。
田中:だから濃縮度がすごいんですよね(笑)。
――次はいよいよドローンですかね!
田中:今回の2作品は、屋内(スタジオ)撮影、演奏メインのモノだったので
次回は、ドローンやレーザーなどの最先端技術を用いた演出、屋外撮影、昔の楽曲のMVみたいな演技やストーリー展開もあるMVに挑戦したいですね。
和嶋:我々年なので野外はキツイと思っているんですが、季節がちょうど良い感じに整えばぜひ挑戦してみたいと思います(笑)。
「おどろ曼荼羅 ~ミュージックビデオ集~」ダイジェストムービー
https://youtu.be/8MHN4T-brog [リンク]

- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。