熊本地震から2年。経験者の今を見て思う、車だからできる“もしも”への備え

熊本地震から2年。経験者の今を見て思う、車だからできる“もしも”への備え ▲熊本地震からもうすぐ2年。当時、被災された方にお会いする機会を得たので、筆者が感じた“防災における車の価値”を紹介させていただきます

▲熊本地震からもうすぐ2年。当時、被災された方にお会いする機会を得たので、筆者が感じた“防災における車の価値”を紹介させていただきます

熊本地震から、2年

2016年4月14日21時26分、マグニチュード6.5の大きな地震を皮切りに、マグニチュード7を超える本震、および合計1000回を上回る余震が続いた「熊本地震」。

この地震により被災された皆さまに、あらためまして心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早い復旧と復興を祈っております。

2018年4月。もうすぐ、あれから2年です。

▲石垣が崩れた熊本城。地震から1ヵ月後、私が撮影した写真です

▲石垣が崩れた熊本城。地震から1ヵ月後、私が撮影した写真です

この震災では、被災者の多くが、家屋の倒壊を恐れ車に避難したため、「車中泊」についての注目が集まりました。ニュースや新聞で、避難所の駐車場に所狭しと並ぶ車を目にした方もいらっしゃるでしょう。

実は先日、この地震で被災し、車中泊避難をしたという方を取材する機会がありました。

お話しを伺ったのは、熊本市在住の堀内玲さん(26歳)。三菱 アウトランダーPHEVを所有されています。

▲写真右が堀内玲さん。左は奥さまの沙織さん

▲写真右が堀内玲さん。左は奥さまの沙織さん

2週間に及んだ「車中泊」の実状

当時、熊本市内のご自宅で被災された堀内さん。

幸い、家も家族も無事でしたが、度重なる余震から自宅待機は不安が大きく、車を拠点にした避難生活を選びました。

当時の愛車はステーションワゴン。決して小さい車ではありませんが、大人が「滞在する」となると、シートをフルフラットにできず寝づらい、天井が低く圧迫感があるなど、ストレスを感じることが多かったそうです。

ライフラインが完全に復旧するまではガソリンの供給も安定せず、燃費の大切さも痛感したといいます。

というのも、熊本地震はエリアによって物資の配給やライフラインの回復にかなり差があったらしく、「水道が復旧しているエリアに行ってお風呂に入ろう」「電気が回復している地域の冷蔵庫に生ものを保存してもらおう」といった形で、住民が頻繁に移動しながら助け合って生活をしていたそうです。

そのため、避難シェルターとしてだけでなく、移動・運搬の面でも車はフル稼働する必要があり、少ない燃料で長く走れる車をうらやましく思ったといいます。

車中泊と聞くと、「雨風しのげる空間があればいい」と思っていた筆者ですが、長期の滞在が必要になってくる場合、しかも災害時のような資源が限られた局面ではなかなか厳しいのだなと、お話を聞いて感じました。

そして2017年冬、車の買い替えを検討しはじめた堀内さんは、この経験を改めて思い返し、「三菱 アウトランダーPHEV」への乗り替えを決めました。

釣りやカヤック、キャンプ、スノーボードなどアウトドアな趣味が多く、かねてからSUVが欲しいと思っていた堀内さん。そこに、震災時に必要性を感じた「燃費性能」「居住性」という観点を加えたどり着いたのがこの車なのだそうです。

河川敷やキャンプ場にも乗り付けでき、雪道も安心の4WD。電気+ガソリンの圧倒的な燃費。フルフラットにできるシート。広い車内空間。車内に装備される最大出力1500Wのコンセントにも魅力を感じたといいます。

▲堀内さんが購入したアウトランダーPHEV(初代)。PHEV=プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)とは、「電気がなくなってしまっても、ガソリンエンジンで発電し走ることができる電気自動車」

▲堀内さんが購入したアウトランダーPHEV(初代)。PHEV=プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)とは、「電気がなくなってしまっても、ガソリンエンジンで発電し走ることができる電気自動車」

幸いなことに、2年前のような「もしも」は、その後訪れていません。

しかし、堀内さんは「この車にして、本当に良かった」と話します。

それは、彼が「もしも」観点で必要性を感じた機能や装備は、日常生活でも大いに役に立つから。

日々の燃料代が浮いたり、趣味がさらに充実したり。静かで乗り心地も良いので、一緒に乗る家族もよろこび、以前より毎日が楽しくなったそうです。

▲アウトランダーPHEVには大容量バッテリーが搭載されており、車内には合計1500Wまで出力可能なコンセントが搭載されています。「この車を買ってから、キャンプ用のIH調理器具が増えました」と堀内さん

▲アウトランダーPHEVには大容量バッテリーが搭載されており、車内には合計1500Wまで出力可能なコンセントが搭載されています。「この車を買ってから、キャンプ用のIH調理器具が増えました」と堀内さん

▲この日は、おいっ子も連れてピクニックに。1500Wのコンセントは冬場の海釣りで暖をとったりする際も役立っているそう

▲この日は、おいっ子も連れてピクニックに。1500Wのコンセントは冬場の海釣りで暖を取ったりする際も役立っているそう

『もしものときのために、頼れる車を買いましょう』

これだけ聞くと、「防災のためだけに車を買うなんて非現実的」「もしもがこなかったら、もったいない買い物」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、もともと必要な車を防災観点も踏まえて選ぶということは、「もしも」の瞬間だけに限って得をする話ではないのだと、私は堀内さんを見て思いました。

イメージしてみてください。東日本大震災後、急速に普及した「防災袋」。家庭で備えていると「作って置いて、それっきり」という方も多いのではないでしょうか。

地震大国とされる日本でも、「防災」はまだまだ“生活の中で特別なこと”なのです。

だからこそ、肩ひじを張らずとも備えになるものって、凄く凄く大事なんだと思います。

そして、車こそ、そのような存在として最適なんじゃないかと堀内さんのお話を聞いて感じました。

実は私の地元も、昨年「九州北部豪雨」で水害にあったのですが、その際、役に立ったのも普段「生活必需品」として使用されていた車たちでした。

「いつくるか分からない大地震や豪雨に備えて、車を買おう」ということは、「核ミサイルに備えてシェルターを建設しよう」というニュアンスに近しく、言うはやすし行うは難し、なのかもしれません。しかし、「どうせ買う車なら、防災観点も踏まえて選ぼう」ということならば、実は現実的で、しかも、目の前にある日々の暮らしも豊かになる、効率のよい備えとなり得るのです。

今、どんな車にしようかな……と悩んでいる皆さんも、このような車選びの観点があることを覚えておいていただければと思います。

text/編集部 井上恵利

photo/早川佳郎、編集部

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