「優しく・おいしく・楽しく」がモットー、“本気キッチン”がある家(後編) テーマのある暮らし[3]

テーマのある暮らし[2] フードコーディネーターがつくった“本気キッチン”がある家(後編)

2児の母であり、栄養士・フードコーディネーターとして活躍している落合貴子さん。これまで多くの料理家のアシスタントを務めた経験から、さまざまなキッチンを見つめてきました。後編では、プロならでの視点が随所に散りばめられたこだわりを紹介します。【連載】テーマのある暮らし

この連載では、ひとつのテーマで住まいをつくりあげた方たちにインタビュー。自分らしい空間をつくることになったきっかけやそのライフスタイル、日々豊かに過ごすためのヒントをお伺いします。

あえて“見せる収納”にした理由とは……?

フライパンやなべを収納している棚は、かつてリビングだった場所。柱と柱の間には大きな窓がありました。

「最初は、この窓を壁でふさいでしまうのもありかな、と思ったんです。でも、『すりガラスだから気にならないよ』とパパ友の建築士にアドバイスしてもらって、窓に棚をつけてもらいました。明かりも入りますし、へんな出っ張りもないのできれいに見えます」

「私は、“捨てられないタイプ”なので持ち物が多いんです。このリフォームをしたとき、あれ? 私ってこんなのも持ってたんだ、という懐かしいモノもたくさん出てきて……(笑)。だから、全部出していつも見える場所に置かないとダメなんです」という落合さん。「初めて料理教室に来た人も、後片付けのときに何をどこにしまうか、ひと目で分かります。生徒の皆さんが戸惑わないことも、メリットのひとつです」(写真撮影/内海明啓)

「初めて料理教室に来た人も、後片付けのときに何をどこにしまうか、ひと目で分かります。生徒の皆さんが戸惑わないことも、メリットのひとつです」(写真撮影/内海明啓)

注目したいのは、窓の下部分をはじめ、シンク下もあえてオープンにしている点。これには、どんな秘密があるのでしょうか?

「実は、下にもぐると棚でふさがっている窓を開けることができます。肉を焼いたり、スモーク料理をして換気が追い付かないときに便利ですね。扉で隠してすっきり見えるシステムキッチンも良いのですが、オープンにすることで、汚れに気付いたときにすぐに掃除できるというメリットもありますね」「私のように持ち物が多い人や忘れっぽい人は、“隠さない収納“でひと目で分かりやすくしておくことも対策のひとつです」(写真撮影/内海明啓) 「私のように持ち物が多い人や忘れっぽい人は、“隠さない収納“でひと目で分かりやすくしておくことも対策のひとつです」(写真撮影/内海明啓)落合さん絶賛! トレイ付きワゴン。「美容室でロッドなどを入れているこのワゴンが欲しくて、買っちゃいました。お値段はしますけど、頑丈でとても使いやすいのでお気に入り」(写真撮影/内海明啓)

落合さん絶賛! トレイ付きワゴン。「美容室でロッドなどを入れているこのワゴンが欲しくて、買っちゃいました。お値段はしますけど、頑丈でとても使いやすいのでお気に入り」(写真撮影/内海明啓)

5口のガスコンロを備えながら必要なスペースもしっかり確保

料理は、火加減が命です。ガスコンロは家庭用のなかで最も火力の強いタイプを含めて、全部で5口備えています。

「最初は、3口のコンロを2セット置く予定でした。でも、そうすると調理台のスペースが狭くなって困るので、3口コンロに一人暮らし用のマンションに使われる2口タイプのコンロをプラス。プラスした2口コンロは、縦に並んでいるのでそんなに場所を取りません。それでも足りないときは、卓上のIHコンロの出番です」コンロまわりも掃除しやすいステンレス仕様で統一。汚れが気になったらすぐ拭けるよう、専用のクリーナーも見える場所でスタンバイしています(写真撮影/内海明啓) コンロまわりも掃除しやすいステンレス仕様で統一。汚れが気になったらすぐ拭けるよう、専用のクリーナーも見える場所でスタンバイしています(写真撮影/内海明啓)レンジフードは業務用を使用。大きいので掃除の大変さはあるものの、家庭用に比べて外す部品が少なくシンプルなつくりで、何といってもパワフル(写真撮影/内海明啓)

レンジフードは業務用を使用。大きいので掃除の大変さはあるものの、家庭用に比べて外す部品が少なくシンプルなつくりで、何といってもパワフル(写真撮影/内海明啓)

欧米のキッチンでよく見かける憧れのダブルシンク

そのほかにも、二人並んでも余裕で使えるダブルシンクをはじめ、家電製品の置き場所や選び方にも落合さんらしさがいっぱい。効率面、利便性、費用対効果など、さまざまな視点で考えられています。ボリュームの多い仕事のときは、なべやフライパンを洗うことと野菜洗いが同時進行することも。洗いものの強い味方になってくれるダブルシンク(写真撮影/内海明啓) ボリュームの多い仕事のときは、なべやフライパンを洗うことと野菜洗いが同時進行することも。洗いものの強い味方になってくれるダブルシンク(写真撮影/内海明啓)奥行と幅のある収納スペースに電子レンジや炊飯器、電気ポットをセットイン。使用時にトレイを引けば、湯気で収納家具を傷めることはありません(写真撮影/内海明啓) 奥行と幅のある収納スペースに電子レンジや炊飯器、電気ポットをセットイン。使用時にトレイを引けば、湯気で収納家具を傷めることはありません(写真撮影/内海明啓)リフォーム前、1台しか置けなかった冷蔵庫は2台に。修理やメンテナンスの費用も考えて、業務用ではなく家庭用冷蔵庫を使用しています(写真撮影/内海明啓)

リフォーム前、1台しか置けなかった冷蔵庫は2台に。修理やメンテナンスの費用も考えて、業務用ではなく家庭用冷蔵庫を使用しています(写真撮影/内海明啓)

料理や用途に応じて調理グッズも使い分け

落合さんが提供しているレシピは、「優しく・おいしく・楽しく」がモットー。それはキッチンだけでなく、使っている調理グッズにもあらわれています。

スパイスを挽くグッズも、ピリッとしたスパイシーさや粒感が欲しいときにはオリーブの木でできたすりこぎを使用するとか。香りを重視したいときは細かく挽ける陶器のすりこぎを使うなど、用途に応じて使い分けているそうです。ずっしりした重みのある天然オリーブの木でつくられたすりこぎ(左)と、益子焼展で一目惚れして買った青森在住の作家による陶器のすりこぎ(右)(写真撮影/内海明啓) ずっしりした重みのある天然オリーブの木でつくられたすりこぎ(左)と、益子焼展で一目惚れして買った青森在住の作家による陶器のすりこぎ(右)(写真撮影/内海明啓)“本気キッチン”で生み出された、落合さん考案のレシピ集(写真撮影/内海明啓)

“本気キッチン”で生み出された、落合さん考案のレシピ集(写真撮影/内海明啓)

明るくて気さくな落合さん。翌日に大きな仕事を控えていたにもかかわらず、快く取材を受けてくださいました。落合さんのこだわりのひとつ「素材本来がもっている風合いや味」は、ステンレスや床板に限らず、ひとつひとつの食材に対しても同じ想いなのでしょう。時間や手間を惜しまず、丁寧に素材の良さを引き出す落合さんの料理マジックを、教えていただきたくなりました。●前編はこちら

自宅をキッチンスタジオに改造!“本気キッチン”がある家(前編) テーマのある暮らし[3]●取材協力

・落合貴子さん

自然食品メーカーにてカウンセリングなどの実務経験を経て、フードコーディネーターに転身。多数の料理家アシスタントを務め、料理家として独立。現在2児の母親であり、テレビや雑誌などで「優しく・おいしく・楽しく」を心がけたレシピを提案している。

・一級建築士事務所 木暮建築設計室
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