「パラキャリ女子」が当たり前になる?アラサー女子座談会で見えたこと

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「パラキャリ女子」が当たり前になる?アラサー女子座談会で見えたこと

今まさに国会で話し合われている「働き方改革」。数年前から「副業」の意味合いが変わってきており、「単なる収入の足し」という内職的な位置づけから、「複数の仕事を持つ=パラレルキャリア」という新しい目的や認識を持った言葉として浸透しつつあります。今回は本業の傍ら何らかの収入を得ている3人の「アラサー・パラレルキャリア(パラキャリ)女子」の座談会を実施し、リアルなパラキャリ事情を語っていただきました。

【参加者紹介(全員仮名)】

前沢 香さん(29歳)

大手シンクタンク(正社員)勤続5年・育休中。夫と5ヵ月の息子の3人家族。副業は、中小企業の助成金や起業・スタートアップ戦略のコンサルタント、ネット物販。

小林 美穂さん(32歳)

小売業(パート)勤続7カ月。都内で独り暮らし。副業はアート作品のネット販売や、登録制のライティングなど。

田所 絵里さん(32歳)

夫の転勤のため、正社員として9年勤めた国際流通業の会社を退職。在職中から副業で輸入品のネット販売を始める。夫と2歳の娘の3人家族で現在妊娠中。

「自分の名前で仕事がしたい」「将来につながる仕事がしたい」…――副業のきっかけは三者三様

――皆さんはどんなきっかけから、副業を始められたのですか。

前沢さん:若い頃から、お金を稼ぐということがすごく価値を生み出していると思っていて、「お金を生み出す社会人」というものに対しての憧れがもともとすごくあったんです。だからか入社1年目に「このまま何もしなかったら、ずっと会社に居続けて終わるかも……」と思ったら、ちょっと切なくなっていました。学生時代から起業したいという気持ちもあったので、「会社の名前ではなく自分の名前で仕事を取りたい、そのためには『自分はこれができます』というものをつくらねば!」と決意し、入社2年目にコンサルの副業を始めました。私、なんだかこう……生き急ぎたいんですよね(笑)。

小林さん:以前は花屋で働いていましたが、拘束時間が長い割に給料は安く、今後続けるのは難しいと感じていました。そんな忙しい毎日の中、趣味で描いていた絵を人に見てもらいたくて友人に無料で配っていたのですが、そのうち何となくもったいなくなってきて(笑)、絵を売るサイトに登録して売り始めました。知り合いから注文を受けて描くこともあります。あとは通勤時間の暇つぶし(笑)に、登録制サイトでアンケートに答えたり、短文を作成したりしています。

小林さんの作品

▲小林さんの作品の一部。専用のサイトでは原画を取引しています。子どもやペットの名前をモチーフにしてほしいという依頼を受けて描くこともあります。

田所さん:在職中に育休を取得したのですが、予想外に子どもがとてもよく寝て手のかからないタイプで、自分の時間ができました。家にいるのも退屈だし、子どもが6ヵ月の時に「将来につながる仕事をやりたい」と思い、ネットで仕事を検索して輸入品のネット販売をみつけたのがきっかけです。アメリカの大手流通業者などから、日本で売れていて安い商品を仕入れて、現地の倉庫経由で自宅に送ってもらい、ラベルを貼って国内のネット販売サイトの倉庫に送るという作業です。本業で輸入業務をしていたのでハードルの高さは感じませんでした。

――皆さん本業でやられているお仕事の経験を生かしたり、趣味を生かしたりして、自分のやり方や好きなものをより追求した副業をなさっているのですね。

前沢さん:私の場合は本業の会社が大きいので仕事のやり方もある程度決まっていて、勉強にはなるけれど自由度はありません。「本業で注力したくてもできない部分を、副業で自分の能力を生かしつつ伸ばしつつやる」という感じですね。

田所さん:私も、本業の業務内容は好きだったけれど、商品自体にはそこまで興味がなくって(笑)……、でも、副業では自分の好きなものを取り扱えるので、やっていて面白いです。

小林さん:私の場合、もともと絵が好きでちょこちょこ描き溜めてはいたのですけど、アート関係なだけに「仕事にすぐにつなげるのは難しいな」と思っていました。でも副業で絵を描いていることで、商品POPなど本業でもクリエイティブな部署の仕事を徐々に増やせるようになってきています。

――好きなことを副業で続けていくうちに、仕事になっていく流れもあるのですね。偶然にもみなさん物販をしているようですが、難しさなどはないですか?

小林さん:どうにかして売りたくて、絵の販売サイトがないか探しました(笑)。一定額を納めなければならないけれど、物販の代行会社を利用すると、お客さんと直接やりとりをしなくていいのでトラブルにはなりにくいのがいいです。どんな方が購入してくれたのか分からないのが残念だけれども。

田所さん:代行業会社やシステムは、本当にたくさんありますね。輸入代行をしてくれるところや、有料でビジネス英語のやりとり代行サービスをしてくれるところもあります。貿易をかじったこともないし、英語も全くしゃべれないという人でもできますね。

ライフイベントが多い女性こそ、早いうちからパラキャリを始めたほうが絶対にいい!

――手助けしてもらえるサービスを利用しているとはいえ、本業もある中で家のことをしながら、副業はいつしているのですか?

小林さん:注文が入れば本業後にずっとやっています。注文が入っていない時は、朝でも仕事後でも「思いついた時」ですね。絵は気分が乗らないと描けないので……。

前沢さん:育休前は土日、たまに夜ですね。本業も副業でも考えるのが楽しいので、「休んでいない!」という感じはありませんでした。私は、のんびりしている時間があると罪悪感を持ってしまって(笑)。

田所さん:私も時間ができるとそわそわしちゃう(笑)。

――お二人とものんびりできない性質をお持ちのようですが(笑)、お子さんがいると、なかなか自分の思う通りには副業の時間が取れないのではないですか?

田所さん:娘の昼寝中か、夜寝かしつけた後ですね。育休中は、一時預かりを利用して仕事をしたこともありました。

前沢さん:あ、私もです! 集中して作業したいときは、子育てサポートの人に来てもらってやっています。子どもが「抱っこマン」で、構っていないとふてくされる(笑)ので、副業の時間確保は本当に大変。子どもがいない時は、パソコンに向かいながら考えて資料を作るスタイルだったけれど、今はそんな時間がほとんど取れないので、抱っこしながら音声入力を駆使して作業しています! 新しいスキルを得ましたね(笑)。

――やはり副業の時間を捻出するのはなかなか大変なのですね。それでも副業を持つことのメリットを教えてください。

小林さん:自分の絵に興味を持ってくれる人に出会えること、今日の座談会のように副業をしている方に出会って話を聞けることですね。いろいろな人に会いお話を聞くと「偏った人間」にならずにすみます。

田所さん:夫の転勤で退職を余儀なくされた時、「9年働いてきて経験も積めていたのに、なんで辞めなきゃいけないの」と不満でした。でも副業をやっていたおかげで「やれることが他にある」と気持ちが安定して、“気持ちの保険”のようになってくれました。転勤・妊娠・出産というライフステージの変化により、フルタイムで働けないときでも続けることができるし、変化させていくこともできるので、人生の選択肢が広がります。

前沢さん:副業は会社のルールや上司・チームとの兼ね合いに縛られることなく、自分の裁量や責任で経験が積めます。本業でも、副業する前よりも自分の仕事に対する責任感がすごく強くなりました。「副業での経験は本業でもメリットとなるし、本業の競業に当たることや時間を圧迫することもしてないのに、なんで会社に副業を認めてもらえないのかな」と、モヤモヤすることはあります。だからこれまで通り会社に迷惑がかからないようにしつつ、会社に「社員の副業は会社にも利する」と伝えていくことで、副業を認めてもらえるよう働きかけていきたいと思っています。

――副業することで、気持ちや仕事力が広がっているのですね! 皆さん20~30歳代で副業をスタートしていますが、この時期は本業で学ぶことや、生活面でも結婚や出産などのライフイベントも多いですよね。大変ではなかったですか?

前沢さん:若いうちに副業をスタートすることで、自分の向き不向きを見極められます。例えば私だったら、副業の中でも物販はメインにできないかな(笑)。

小林さん:若いことで年上の人から注目してもらえたり、優しくされたりします(笑)。私はむしろもっと早くから始めればよかったと思っています。

田所さん:女性のキャリアや仕事や家庭との両立を考えると、第1子の育休中に始めておいてよかったな。第2子を妊娠中の今は、従来のやり方ではラベル貼りなど体力的にきつく、在庫を抱えるのも精神的につらいため、子どもが2人いてもできる「無在庫販売」という形のネット販売に切り替えました。早くから始めているからこそ、経験から柔軟にやり方を変えていけます。

――いいことばかりですね。逆に早くから始めるデメリットはないですか?

全員:ないです!

前沢さん:転勤や出産などライフイベントの前に始めたほうが絶対いいです。うちは子育てがあまりにも大変なので(笑)、出産後だったら副業には踏ん切れなかったなと思います。

座談会の様子

▲座談会には、転勤で関西にお引越しの田所さんはオンラインで参加、前沢さん(写真左)は「抱っこマン」の息子さんと一緒に参加。境遇や業種は違ってもパラキャリ女子同士、共感しあうことが多く大いに盛り上がりました。

「とにかく一歩踏み出してみて!」――先輩パラキャリ女子からあなたに送るエール

――最後に、副業を考えている20歳代女性に一言お願いいたします!

前沢さん:副業を始めるにあたっては「会社にバレたらどうしよう」という不安があり、なかなか踏ん切りがつかないと思います。私もそうでした。でも会社規則を何度も読み返し確認し、「会社に明らかに不利益を与えない限り、怒られはするけれど解雇はされない」と100回くらい自分で唱えたら、すごく気が楽になりましたよ(笑)。

小林さん:何かやりたいと思ったら、似たことをやっている人と知り合いになり話を聞くことが一番ですね。ネットでも情報は得られますが、実際に顔を合わせることで表情から分かることがあるし、生の声を聞くことができます。

田所さん:5年後、10年後には「私はこれとこれを仕事にしている」という時代になっていると思います。早いうちに数千円でもいいから、とにかく興味のあることでお金になることをやってみる。若いうちはなんでもツブシが利きます。

――独身のうちにやった方が時間もお金も動かしやすいですね。

全員:言えてるー!(笑)

女性はライフステージに合わせて働き方のスタイルが大きく変わりがちです。ライフイベントが起こる前から複数の仕事を持つことで、どんな状況でもキャリアの選択肢を広げることができるのかもしれません。自分らしく主体的な生き方をするパラキャリ女子たちが、「パラキャリが当たり前」な時代をつくりつつあるようです。(副業の収入が多くなったら、確定申告もお忘れなく!) 文:Loco共感編集部 渡辺みずき

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