午前中の2時間「ガムシャラタイム」で、残業しないチームを目指そう
『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)の著者である石川和男さん。石川さんは、建設会社総務部長・大学講師・専門学校講師・セミナー講師・税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパービジネスパーソンです。そんな石川さんに「残業しないチームと残業だらけチームの特徴」についてお聞きしました。
残業だらけチームの1日の過ごし方
会社に着くと、上司から重要でもない話で呼び止められ、部下からは質問攻め。コーヒーを入れに給湯室に行くと、他の部署の同期がいたので喫煙室へ。タバコを吸いながらお互いの上司の悪口に花を咲かせて気づいた時には10時半。席に着くなりメールのチェック。膨大な迷惑メールを削除している間に営業の電話。電話を切ると来客の応対。昼休みのチャイムがなって、今日もバタバタ忙しかったと振り返りながら午前中が終わる……。
この人の行動を振り返ってみて下さい。「生産性の高い仕事」をしていた時間は何分あったでしょうか?
その後、昼休みには同僚たちとランチに出かけ、20分並び、20分でラーメンを食べ終え、20分休憩したのち、13時ぎりぎりに着席。
仕事に集中しようとしても、昼に食べた炭水化物を消化するために頭に血が回らず、眠気に襲われ集中できない。結局、午後も「生産性の高い仕事」ができたとはとても言えない状態で終わってしまうのです。
あなたのチームはいかがですか?このような状態になっていないでしょうか?
生産性の高い仕事をいつやるべきか?
では上記のような残業だらけチームにならないためにはどうすればいいのでしょうか?その第1歩は「何を、いつやるか」についてもっと意識することです。
例えば集中して取り掛かりたい個人業務のような仕事については、午前中にできる限り片づけてしまうことをオススメします。先にも挙げた通り、午後になると昼食を食べた影響で眠気が襲ってきます。そんな中で集中しようにも、無理な話です。眠気と闘いながらやりすごし、ようやくエンジンがかかってきたなと思ったらもう夜。そこから集中してやる…となると必然的に残業が多くなります。残業するとその結果、夜遅くに食事。激しく胃はもたれ、慢性的な寝不足に。次の日出社しても覇気がなく、午前中は集中できずに……という負のスパイラルに陥ってしまうのです。集中して取り組みたい仕事は午前中、これが鉄則です。
では午後はどうでしょうか?昼休み明けは眠気との闘い。例えばこの時間には、少し頭を使うような会議を入れておくのもいいかもしれません。新しいプロジェクトの施策や営業課題の解決のためのアイディア出しをするなど、メンバー全員が参加できるような会議を入れておくことで、いい状態で集中できることでしょう。
集中できる仕組み作りをチームで徹底する
しかし実際、意識してやってみても上手くいかないことはあります。例えば、午前中に「集中して取り組みたい個人業務をやる」と決めていても、集中を妨げられることが多々ありました。
「石川さん、電話です」
集中ゾーンから、一気に現実世界に引き戻されます。しつこいセールス電話を切って、再び集中ゾーンに入っていくと、即返信が必要なメールの嵐。再び集中しようと気合を入れなおしたら、部下からの質問。
なかなか思うようにはならないのです。
ではどうすればいいのでしょうか?ここでも大事になってくるのが「何を、いつやるか」について意識することです。そして、「意識する」だけではなく、チーム全体に広めて仕組み化していくことが重要です。
例えば私の場合、午前中の2時間を「ガムシャラタイム」と名付け、個々人が優先順位の高い仕事に集中できる環境を作り出しました。チームで方針を決めて仕組みとしたのです。これはオススメです!ぜひ皆さんのチームでも実践してみてください。具体的には下記のようなことを徹底しました。
電話の取り次ぎ禁止
電話については、昼休みに電話当番がいるように、午前中も電話に出る、来客応対をする人を当番制で決めておきます。もし電話が掛かってきても、重要ではない案件なら後回しにしてもらいます。
メールの禁止
メールなどの通知はオフにして連絡を遮断します。もし緊急で重要な連絡の場合には、電話をかけるように事前に関係各所にお伝えしておきました。2時間ぐらい連絡が取れないことが心配なのではなく、2時間ぐらい集中できない環境が心配なのです。
声掛け禁止
「ガムシャラタイム」時間中に声をかけられることを防ぐため、まとめて事前に質問事項や疑問点を解決しておくことを徹底しました。それでも出てきた質問等は「ガムシャラタイム」以外の時間に質問するように徹底しました。
緊急避難
かなり重要な仕事を行いたいときは、空いているなら会議室や応接室を使って仕事をする。また喫茶店やファミリーレストラン、コワーキングスペースなどで集中するのも1つの方法です。
このように集中する仕組みを作り出すことが大切です。もう一度あなた自身の、そしてあなたのチームの仕事を見直してみてください。きっと考える余地は残っているはずです。
【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネス書を6冊出版している。
石川和男 公式サイト https://ishikawa-kazuo.com
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