家庭に「居場所」がない!…ウチの夫は帰宅恐怖症?~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム

仕事が終わってからも、家事に育児にと時間に追われ、気づくと寝落ちの日々…。家事も育児も積極的に行う男性も増えてきたとはいえ、「家庭のことは女性」という認識はまだ根深く、共働き妻の悩みは尽きません。そんな女性たちを応援するこの連載。女性のキャリア支援や結婚コンサルタントまで幅広く活躍中の川崎貴子さんから、家族を「チーム」としてとらえ、より効率的に日々を運営していくアドバイスをいただきます。

今回は、「夫の帰宅が遅い、もしや帰宅恐怖症かも」と不安を持つ妻たちに向けて、夫とどうチームを組めばいいのか教えていただきました。

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「戦力外通告」を受けた夫たち…いやいやそれでいいのか?!

先日、テレビで「帰宅恐怖症の夫たち、フラリーマン特集」を見ました。

フラリーマンとは、最近残業がなくなり、会社帰りに漫喫、ゲームセンター、バッティングセンターなどで時間を過ごす夫たちの事。

私もですが、その映像を見た妻たちも「信じられない!」「家帰って手伝え!」とご立腹だったことでしょう。

それはそうですよね。夫たちがフラフラしているその時間帯は、子どものいる家庭においては忙しさの「ど」ピーク。料理作って、食べさせて、片づけて、宿題を見て、お風呂に入れて、着替えさせて、寝かしつけて…。これに夫の夕食の支度なんかも入ってくるわけです。妻たちが、日中に引き続き、アクセル全開で走り回っているというのに、夫はフラフラ遊んでいる?!その一人ひとりを「キミたちはこんな時間に何しているのかな?」と、補導員スマイルで指導&確保したくなったのは私だけじゃないはず。

ところが、です。

そのニュースに出ていた妻もそうなのですが、「忙しい時間に夫が居ない方がいい派」の妻も一定数存在しているのです。

どう考えても、妻が夕飯を作っている間に夫が子どもお風呂に入れたり、宿題を見たりする方が楽だし効率もいいと思うのですが、これまで何度か試みるも、余程「夫がいる方が手間」「精神衛生上ラク」だったのでしょう。諦観からの決意は動かざる事山のごとし。居ない方がいい派の妻たちは、夫にきっぱり「外でフラフラしてきて!」と、戦力外通告を突きつけているのでした。

夫婦二人が納得しているのなら外部がとやかく言う事ではありません。

ただ、夫に対して不安や不満を抱いている人や、居ない方がいい派妻たちの諦観もさることがら、フラフラしている夫たちの虚無感、早く帰宅する事への恐怖心などがあるとすれば、それは健全な夫婦関係とは言えず、いつ亀裂が入ってもおかしくないように見えます。

手がかかる乳幼児の子育て時期は、長い夫婦生活の間で本来夫婦が一番信頼し合い、協力し合わなければいけない期間ではないでしょうか?

今、この期間を夫婦がどのように向き合うかによって、例え今は凌げたとしても、後の夫婦関係の明暗が分かれる気がします。

現役フラリーマン&フラリーマン予備軍から、信頼しあえるパートナーとなるためには、どうすればよいのでしょうか。妻目線で具体的例をあげてみました。

あなたは「できないお局様」or「敏腕マネージャー」?

私は家事育児分担が上手くいっている共働き夫婦をときどき取材するのですが、夫が主体的に家事育児に取り組むようになった妻の共通点は、企業内でいうと「敏腕マネージャー」と同じ思考回路を持っていました。

また逆に、夫が戦力外という相談も受けることもあるのですが、その妻の思考は型にはまったように「できないお局様」タイプなのでした。

共働きなのに、なぜ主体的に意欲的に、家事育児に参加しないのか?なぜ妻がマネジメントしなきゃいけないのか?というクレームと、そのお気持ちはよくわかります。ただ、このスタート時点の思考から「敏腕マネージャー」と「できないお局様」の違いが如実に現れます。

1.長期ビジョンで物事を捉える

敏腕マネージャーは、チームの一員(夫)が今現在完璧に仕事ができなくても、まずは参加している事を良しとします。経験を積み、トライ&エラーを繰り返せば、自ずと売上はついてくるからです。

敏腕マネージャーは後に自身が確実に手に入れるであろうメリット(任せられる安心感や自身の自由時間、尊敬や愛情など)に注目しています。

方や、お局様タイプは

「料理を頼んだら台所を汚された」→「頭にきた」→「もう頼まない」

と、オールオアナッシング思想の上、「そういえばあの時もそうだった」と過去に思考を置きがちです。もしくは、「私がやった方が早い」と言って「現時点」にこだわり、近い将来のメリットを自ら捨てています。

2.曖昧な指示はしない

敏腕マネージャーは、チームの一員は何が得意で何が苦手かを観察、もしくはヒヤリングし、最初は夫にとって簡単な事から仕事を振っていきます。そして、的確で具体的な指示を出します。

お局様タイプはその真逆。「私がこんなに大変なんだから空気を読んで手伝え」と、横顔で語り、大きな音を立てて家事をする事でいらだちのみ相手に伝えます。「家族に愛情があるなら、やってほしい事がわかるはずだ」と皆さん口を揃えておっしゃいますが、人間は生憎テレパシーが使えません。家庭内で疎外感を感じている「フラリーマン気質の夫」へなど、今生絶対に伝わりません。

3.やり方に固執しない

この件はあちこちで書いているのですでに書き飽きているのですが、ここでも敢えて言わせてください。

「洗い物類は洗えていればいいし、洗濯物も乾いていればいい」

のです。敏腕マネージャーは、結果のみを見てプロセスを重視しません。

ところがお局様タイプは、干し方、洗い方の手順、食洗器や乾燥機の使用頻度などを細かく気にします。確かに、合理的なやり方や電機やガス代の節約も気になるところですが、家族がのんびり過ごせる時間や、笑顔で「おやすみ」を言える事と天秤を掛けたら、思うよりずっと費用対効果が良いのではないでしょうか?合理的なやり方は、仕事を覚えてしばらくしてからアドバイスすれば良いのです。

ある共働きママは、「夫は洗い物下手で頼めないし、大切な食器を使っているから食洗機は使えないし」とおっしゃっていました。確かに金箔入りの食器や、クリスタルグラスなど高価な食器類は下手な人に洗われて割ってほしくないし、食洗機も使えませんよね。

ただ、平日の食事にその食器が必要なのか?という話なんですよ。平日は強度のある食器で、時間のある休日のみおしゃれな食器にするという手もあります。家事には、もしくは育児にも、「和食の時はこの食器」みたいな思い込みや無駄なこだわりが多々あります。それを一度見直すことによって、もっと気軽に夫が家庭の中のあれこれに参加できるのではないでしょうか?

4.感謝しあう

お局様タイプはチームの一員の仕事を見ても「できて当たり前でしょ」という態度を取ります。なぜか皆さん「まだまだこんなレベルじゃ認めない」という方法で伸ばそうとしてしまう。しかし、敏腕マネージャーは結果に対して前向きにフィードバックをします。チームの人間の顔色をうかがったり、媚びたりはしないけれど、感謝や感情を頻繁に口にします。「これ、洗っておいてくれたの?ありがとう!」「洗濯が完璧に終わっている!嬉しい!」

するとどうでしょう。一番嬉しい応援団が真似をしだします。

「パパ、これおいしいよ!」

「パパ、お布団いい匂い~。ありがとう」

妻と子どもたちにデイリーで頼りにされ、その都度言葉で報奨をもらえていたら、お父さんはきっと、所在なく外でフラフラなんかしていられませんよ。

また長々と書いてしまいましたが、夫婦はチームであり戦友です。そして、外で働いている夫婦にとって、家庭は二人で作る「やすらぎの場所」です。

子どもが大きくなるまでは大変な事も多いけれど、いつか二人でフラフラできる日々がやって来ます

その時まで互いの手を離さないためにも、二人で頑張っている毎日が、いつかかけがえのない思い出になるためにも、家庭内敏腕マネージャーが日本中のあちこちで暗躍する事を期待しつつ、筆を置かせていただきます。合掌。

川崎 貴子

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リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。

1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。

イラスト:かしえみ

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