ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

パイオニアに聞く 日本のインバウンドビジネスの現状と課題(2)

パイオニアに聞く 日本のインバウンドビジネスの現状と課題(2)

人口減少局面に入、国内需要が縮み始めた日本にとって、「グローバル経済の中でどのように稼いでいくか」は大きな課題となる。

長らく日本のお家芸とされてきたモノづくりを見ても、新興国の台頭著しい今、日本がいつまで世界の中で優位を保ち続けられるかは未知数であり、これから日本の地方の生産拠点はますます海外移転が進む。それゆえ各地方は新しい収益の柱の確立が急務となっている。

そうした中、注目を集めている成長市場が「インバウンド」だ。

観光業界においては「訪日外国人観光客」を指す言葉として以前から知られている「インバウンド」。しかしこの言葉は実態としての広がりを表していないとするのが、『儲かるインバウンドビジネス10の鉄則 未来を読む「世界の国・地域分析」と「47都道府県別の稼ぎ方」』(日経BP社刊)の著者で、10年も前からこの分野に携ってきた中村好明さんだ。

今回は中村さんご本人にインタビュー。真の意味でのインバウンドが示すものと、多くの人にビジネスチャンスが開かれているその巨大な可能性、そして日本のインバウンドに今後求められるものについて聞いた。その後編をお届けする。

――本の中に「花仕事」と「米仕事」という印象的な言葉が出てきます。この二つの仕事の両立が今後のインバウンドビジネスの成功のカギだと指摘され、そしてまた同時に、中村さんは「花仕事から入れ」と提唱していらっしゃいます。この理由はどんな点にあるのですか?

中村:まず言葉の定義からお話しますと、「米仕事」とは、「自分が食べていくための仕事」で、「花仕事」は「地域社会のためになる仕事」です。

「花仕事」がいよいよ重要になってくる理由についてですが、訪日ツーリズムを例に説明すると、今後観光バス等で「点から点を移動する」というような団体旅行の形態はどんどん縮小して、個人旅行(FIT)がマジョリティになっていくのはまちがいありません。そうなると、旅の形態もB2Bであらかじめ決められた特定の観光施設を巡るのではなく、自分たちで探し選んでその街やその地域にやってくるようになる。加えて言うなら、気に入った街や地域を何回も何回も訪れるリピーター化も進みます。

こうした訪日客の思考として、その地の観光の「ゴールデンルート」を巡るのではなく、「自分だけのオリジナルな旅」を求める方向にますますシフトしていくのです。こうなってくると、どんなに大きな企業でも、単独のプレーヤーだけで個人の訪日客のニーズを全て満たすのは不可能です。それゆえ、街や地域全体で訪日客をおもてなしする考え方や仕組みが必要となってくるのです。

それを実現しようとしたら、自分の店や自分の施設の都合と利益だけを考えているわけにはいきません。地域全体がより多くの観光客を呼び込めるようになるために、自分に何ができるかという思考と取り組みが必要になってきます。これこそがまさに「花仕事」なのです。

この「花仕事」をやらない限り、持続的な「米仕事」も実現できませんし、逆に言えば地域全体のことを考えた「花仕事」を続けていれば、それはやがて「米仕事」の大きな収益となって自分に自社に返ってきます。これが「花仕事から入れ」の真意なのです。

――都道府県別「稼ぎ方マニュアル」が興味深かったです。中村さんから見て、もっともポテンシャルが高いと思える都道府県はどこですか?

中村:それはもう「47のすべての都道府県」ですよ。どの都道府県にもどの市町村、どの地域にも等しく大きなポテンシャルがあります。ただし問題なのは、当事者が自分たちのポテンシャルに気づいていないという現状なのです。

どの都道府県のどの地域にどのようなポテンシャルがあるかを、今回の本では狭義の観光統計にとどまることなく、広義のインバウンドの視点から見た各種データを使って明らかにしたつもりです。自らの地域だけでなく他の都道府県と比較しながら活用していただきたいですね。

――今後日本がインバウンドを振興させていくうえでお手本にすべき国はありますか?

中村:どんな国にでもお手本にするところはあると思います。少なくとも国際観光統計上でベスト20に入るような国についてはしらみつぶしに研究すべきでしょうね。

たとえばシンガポールは560万人ほどの人口のうち、シンガポールのパスポートを持っている自国民はわずか約350万人。残りの約200万人は、留学生や高度な知識を持ったハイエンドな外国人就労者など、世界中から集まってくる様々な種類の人々です。彼らがいるから国が繁栄している。もちろんシンガポールは古くからヒト・モノ・カネ・情報を海外から呼び込む取り組みをしてきたわけで、まさに広義の“インバウンド”国家なのです。

グローバル経済は、いかに世界のヒト・モノ・カネ・情報を自国に集めるかという戦いです。これらを集めるための戦略は、すべて“インバウンド”なのです。

――最後に、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

中村:すでにインバウンド領域に関わっているビジネスパーソンの方々、またこれからインバウンド市場に参入して自社の、そして自地域の生き残り、そして更なる成長を願っている方々にぜひ手に取っていただきたいと思っています。

ここには世界の現実や日本の現実、そして世界に向けて自地域のマーケティングをしていくための具体的な各種戦術に加え、それらの根底を貫く考え方や哲学がまるごと網羅されています。納得のいくまで何度も何度も読んでいただきたいですね。

(新刊JP編集部)

【パイオニアに聞く 日本のインバウンドビジネスの現状と課題(1) を読む】

【関連記事】

元記事はこちら

「事実ではなく“対立の構造”が独り歩きする」 星野智幸『焔』があぶり出す日本の病巣(2)

TOEIC受験は「スポーツ」である!? 対策本編集者が語る試験との向き合い方

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

山寺宏一&高木渉で『ポプテピピック』

GetNews girl / GetNews boy