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でんぱ組.incが7人体制になって宇宙へ飛びだせた理由ーーOTOTOYライヴ・レポート

でんぱ組.incが7人体制になって宇宙へ飛びだせた理由ーーOTOTOYライヴ・レポート

2017年12月30日に大阪城ホールにて、でんぱ組.incの単独公演〈JOYSOUND presents “ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!”〉が行われた。音楽評論家の宗像明将がその模様をレポートする。

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会場に入った私の視界に飛びこんできたのは、ステージ上にそびえたつ巨大なスペースシャトルだった。隠すこともなく堂々と置かれていて、もはや馬鹿馬鹿しいほどだ。それを見てまっさきに出てきた感想は「P-FUNKだ……」というものだった。そう、P-FUNKの代表格であるParliamentの1975年作「Mothership Connection」のジャケットに登場するUFOと、この日のスペースシャトルはほぼ同義だと感じたのだ。

2017年12月30日、でんぱ組.incのワンマンライヴ「JOYSOUND presents ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」が大阪城ホールで開催された。でんぱ組.incのワンマンライヴは、2017年1月20日の日本武道館以来、約1年ぶり。その間には、2017年8月6日の最上もがの脱退もあった。そうした試練を乗りこえて、チケットが即日ソールドアウトしたこの日は訪れた。

「ねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」という公演名が発表されたとき、多くの人々が連想したのはでんぱ組.incの2011年のファースト・アルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」だっただろう。その一方で、でんぱ組.incの立ち上げプロデューサーである「もふくちゃん」こと福嶋麻衣子は、Twitterで「でんぱ組が初期アルバムのコンセプト『宇宙』に立ち返っていますが、元ネタはこの辺!」として、前述のParliamentの「Mothership Connection」、他にEarth, Wind & Fireのジャケットを挙げていた(twitter)。福嶋麻衣子は、ParliamentやFunkadelicを率いたP-FUNKの始祖・George Clintonの来日サイン会に足を運んでいたほどのP-FUNKファンなのである。

でんぱ組.incが、宇宙、つまりP-FUNK的な世界観へと戻ろうとしている。そう考えるとき、ふと「でんぱ組.incとは、そのグループの存在自体がP-FUNKオールスターズである」というフレーズが私の頭の中に浮かんできた。その期待に応えるかのようにステージ上に登場していたのが、巨大なスペースシャトルだったわけである。

ステージ後方にスペースシャトルと発射台があるほか、ステージ前方には宇宙服を着た5体の人形も置かれていた。そして、白衣を着た女の子たち(この日のダンサーを務めたシンセカイセンとChu☆Oh!Dollyである)が登場すると、英語(と思わせて日本語)のアナウンスが響くなか、スペースシャトルのオペレーションルームをイメージさせる多数の画面に向かって操作を始めた。そして、宇宙服を着たバンド・メンバーもステージに。スクリーンにカウントダウンが表示され、打ち上げか……と思った瞬間、エラー画面が表示された。打ち上げに失敗したらしい。

ここで映像は切り替わり、古川未鈴、相沢梨紗、夢眠ねむ、成瀬瑛美、藤咲彩音の5人が頭を下げて記者会見をしている映像に。続けてメンバー紹介の動画が流されて、メンバーも登場。ライヴはスタートした。

冒頭の「Future Diver」から、ストリングスとブラス・セクションを擁する「でんでんバンド」の生演奏が大活躍。「バリ3共和国」を歌い終えると、5人による自己紹介が行われた。

「VANDALISM」「ちゅるりちゅるりら」「まもなく、でんぱ組.incが離陸致します▽」(▽=ハートマーク)と続き「くちづけキボンヌ」へ。2017年1月20日の日本武道館では、「学校やでんぱ組 / すべてがずっと続くと 誰もが考えてた」というフレーズがあったが、この日は「学校や友達 / すべてがずっと続くと 誰もが考えてた」というオリジナルの歌詞のままラップされ、特に「現在過去フューチャー そう今この瞬間」というフレーズが強く胸に響いた。

2011年12月25日以来6人体制であったでんぱ組.incは、5人体制になったことで、ラップはもちろんのこと歌のパート割りも変化していた。5人体制での日本初ライヴであった2017年12月1日の「DEARSTAGE SHOWCASE 2017 WINTER」や、2017年12月16日の「聖なる☆ディアステージ」でのでんぱ組.incのライヴも見たが、そこには「過渡期」といった雰囲気は微塵もなく、王者の風格すら感じさせるものだ。メンバーのSNSを見ていれば、多くの時間をレッスンに費やしていたことは明白だった。相沢梨紗のInstagramのストーリーを見ると、グループでの練習を終えた彼女が、今度は個人練習をしていたのだ。

「でんぱーりーナイト」に続く「サクラあっぱれーしょん」では、ベースのファンキーさが突出していた。というか、キーボードの音色感覚も含めてほぼP-FUNKである。でんぱ組.incが言い続けてきた「萌えきゅんソングを世界にお届け」というキャッチコピーの「萌えきゅんソング」とは、一般的には電波ソングと解釈されているが、でんぱ組.incに関しては実は高速化されたP-FUNKなのではないか、とも考えた。

「きっと、きっとね。」は、Earth, Wind & Fireの影響が濃いサウンドだ。生演奏になると隠れていたファンクの要素がいきなり前面に出てくる。

夢眠ねむは「きっと、きっとね。」を歌いながら泣いていた。「きっと、きっとね。」は、彼女がこの日のライヴで歌いたいと言ったのだという。夢眠ねむのMCは以下のようなものだった。

「今年の武道館以降、ライヴがないかもしれないっていう話がありまして、その後ほんとにみんなそれぞれ不安になったりとか、それぞれ活動もしてたけど、この先どうなるのかなと思って暮らしてて。その中でもがちゃんと一緒にできなくなってしまって、いよいよどうなるのかというか……。正直この先歌える機会があるのかなとか塞ぎこんでたときがあったんですけど、なんとなく『GOGO DEMPA』を聴いてたら、この曲が流れてきてすごい励まされて。今回のステージが私たちにとってスタートになると思ったので、ライヴができると決まったときに『この曲を歌いたいね』と話しました。みなさんいかがだったでしょうか?」

夢眠ねむの問いかけに、大阪城ホールの客席から満場の拍手が起きた。それは夢眠ねむの気持ちを受けとめたからこその拍手であり、同時に最上もがの脱退に触れたことへの拍手でもあったのだろう。6人体制の時代は、たしかにあったのだ。

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