「仕事納め」前に片付け!“残す書類”・“捨てる書類”の見極め方
ビジネスパーソンは、年間150時間も勤務中に「探し物」をしていると以前お伝えしました。年間勤務日数が250日だとすると、1日平均36分(150時間×60分/250日)。1日36分も生産性が全くない「探す」という行為に、多くの時間を費やしているのです。
では、どうするか?
正しい手順にそって整理整頓を行うのです。
1.机の中の不要な物を徹底的に捨てる
2.共有物を管理するルールを決める
3.重要な書類だけ紙ベースで残す
4.書棚を使う順に並べる
5.パソコンの中を整理整頓する
前回は1、2をみていきました。今回は3、4を中心にみていきます。
紙ベースで残すのは重要な書類のみ
会社にある預金や建物、土地など資産。これらを記入してある報告書を、貸借対照表と言います。資産は「流動資産」と「固定資産」に分けられます。どう分けるかというと、まず「正常営業循環基準」という基準によって重要な資産を選び出し、「流動資産」に表示します。残った資産はすべて「固定資産」に表示されるのかというと、そうではありません。残った資産のうち、1年以内にお金に換わる資産は「流動資産」に、1年を超えてお金に換わる資産は「固定資産」に表示されるのです。
このような二段階方式を経て、その資産が「流動資産」か「固定資産」かが決まります。
会社に残す書類もこのような方法で決めることができます。
まずは、会社にとって重要な書類を残していきます。決算書や許可書類などは保存義務もあり、捨てることができないため、必然的に残ります。
問題は、重要かどうか判断できない書類です。
そのときは会計の基準のように「1年基準」を採用します。1年以内に「利用したか」、「必要としたか」、「参考にしたか」で判断します。
例えば火災保険、工事保険のように契約期間が1年以内の場合、期間満了後は破棄してもよい書類になります。
1年間目を通すことの無かった書類を捨てるだけで、かなりの書類は削減されますが、さらに書類を減らす方法があります。
それは、片っ端からスキャンしてPDFファイルに換え、ペーパーレス化するという方法です。これで一気に書類は無くなっていきます。
高速で探し出す!保存書類の扱い方
ただし、どうしても紙ベースで保存しておかなければならない書類もあるでしょう。それらの書類をファイリングして書棚に並べたり、段ボールで保存したりしますが、必ずタイトル名をつけます。
一冊だけ、一箱だけだからと記入しないでいると、どんどん無記名のファイルがたまっていきます。無記名が増えると、その都度ファイルを開いて確認しなければ内容が分からないため、その分時間がかかります。保存した時に「すぐ記入する」、もしくはタイトルを付箋などで貼っておき、「記入する日を決めて一気にやる」の二者択一です。
注意したいのは、段ボールの場合です。6面のうち、下の面を除く5面すべてにタイトルを書いてください。
5面に記入するときは面倒ですが、積み重なったときや置き場所を変えたときなど、書いていない面だけが見える場合があります。すると段ボールを移動させたり、ずらしたりして探すことになり、かえって手間がかかってしまうのです。
また書棚には、利用頻度の高いものから並べていきます。
書棚は3段になっていますが、私のチームは一番取り出しやすい中央の棚に、最も使うファイルを並べています。その次に利用頻度が高いファイルは立った状態で取り出せる上の段、あまり使わないファイルは屈まなければ取れない下の段、というように使用頻度順に分けて並べています。
間違えた配置でコストがかかっている
書類を入れる場所なんて大差ないと思われる方もいるかもしれませんが、「カイゼン」や「ムダの排除」で有名なトヨタでは、次のように言われています。
工場内の作業では「1歩1秒1円」(1歩ムダに歩くと、1秒かかり金額にして1円のロスが出る)。
事務作業では「1歩2秒1円」(1歩ムダに歩くと、2秒かかり金額にして1円のロスが出る)。
例えば事務作業で、1日100歩ムダに歩いたとしたら【200秒・100円】ロスすることになります。チームのメンバーが10人なら、【2000秒・1000円】。年間250日稼働するとして、【約140時間・25万円】のロスになるのです。
これが改善の原点です。作業や業務の時間短縮に日々懸命に努力することによって、あれだけの利益を生み出しているのです。
書類を入れる場所の他にも、コピー機、シュレッターは良く使うメンバーのそばにあるか? ロッカーの配置は? 電話は左手で取るので机の左側にあるか? 同じプロジェクトのメンバーが近くに座っているか? コピー機の近くに補充用紙や替えのインクがあるか……一度点検してみて下さい。
書類片づけの極意
書類を片付けるコツをまとめましょう。
1.まずは捨ててはいけない重要な書類を残す
2.判断に迷った書類を1年基準で選別する
3.選別した書類もPDFファイルでペーパーレス化する
4.書棚の置く書類ファイルは重要なものを取りやすい場所に配置する
残業しないチームは、徹底的な整理整頓で重要な書類と必要な書類だけを残します。探す手間を省き、時間短縮することで仕事が早く片付きます。
残業だらけチームは、書類が多く乱雑なため、探すことに手間取ります。最悪、探すことで集中力が切れるので、仕事が遅くなるのです。
【プロフィール】石川和男(いしかわ・かずお)建設会社総務部長、大学、専門学校講師、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちするスーパーサラリーマン。大学卒業後、建設会社に入社。管理職就任時には、部下に仕事を任せられない、優先順位がつけられない、スケジュール管理ができない、ダメ上司。一念発起し、ビジネス書を年100冊読み、月1回セミナーを受講。良いコンテンツを取り入れ実践することで、リーダー論を確立し、同時に残業ゼロも実現。建設会社ではプレイングマネージャー、専門学校では年下の上司の下で働き、税理士業務では多くの経営者と仕事をし、セミナーでは「時間管理」や「リーダーシップ力」の講師をすることで、仕事が速いリーダーの研究を日々続けている。最新刊の『「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣』(明日香出版社)ほか、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)など、勉強法、時間術などのビジネス書を5冊出版している。
石川和男 公式サイト https://ishikawa-kazuo.com
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