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最新巻は「第一部の山場に入っていく重要な巻」−『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(1)

最新巻は「第一部の山場に入っていく重要な巻」−『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(1)

富士見ファンタジア文庫の人気ライトノベル『東京レイヴンズ』シリーズ。その最新巻である8巻が10月20日に発売された。

主人公の土御門春虎は陰陽道の名門の分家の生まれ。しかし、才能はなく、地元で友達の冬児、北斗と普通の高校生として気ままに暮らしていた。あるとき、土御門家の次期当主で、幼馴染みである夏目と再会。そこで巻きこまれた事件をきっかけに、陰陽師を育成する学校・陰陽塾に入学することになる――というのが『東京レイヴンズ』のあらすじだ。

今回、発売された8巻はいよいよ物語が佳境に差し掛かる重要な巻となる。

家のしきたりによってずっと男として振る舞い続けてきた夏目だったが、ついに女だとバレてしまう。それ以来、好意を寄せていた京子は夏目たちを避け続けていた。その一方、春虎はシェイバとの激闘以来、自分の呪力を制御できずに不安定な状態に陥っていた。幾つもの不安を抱える春虎たちにさらなる事件が襲いかかり――。

さらになんと、この8巻の帯で、『東京レイヴンズ』の「アニメ化企画進行中」が発表された。詳細は未定だが、キャラクターたちやアクションシーンがアニメで見れることができるのだから期待は高まる。

今回は『東京レイヴンズ』作者のあざの耕平さんにロングインタビューを敢行。『東京レイヴンズ』の世界観についてお話を聞いた。3回に分けてお送りするインタビュー、今回はその前編だ。

(聞き手/金井元貴)

■最新巻は「第一部の山場に入っていく重要な巻」

―まずは、ついに『東京レイヴンズ』の8巻が発売されました。7巻を読み終えたあと、「ついにここから物語が佳境に入っていくんだな」と思っていたのですが、この8巻はシリーズを通して、どんな位置づけになるのですか?

あざのさん(以下省略)「これは8巻のあとがきにも書いているのですが、シリーズを最初に立ち上げるときに、大きく二部構成で物語を考えていたんですね。その第一部の山場というのをある程度決めていたのですが、この8巻はその山場に入っていく重要な巻ですね」

―では、ここからさらに物語は加速していく、と。

「そうですね。第一部のクライマックスは間近です」

―今巻のあらすじを読むと、最近遠ざかっていた恋愛の方もかなり動くのではないかと思うのですが。

「7巻のラストでついに秘密がバレましたからね。その流れを受けた形で次のドラマに入っていきます。この『東京レイヴンズ』という作品は、主人公たちが学生で、学校に通いながら成長していく話が軸です。学生の人間関係においてやはり恋愛というのは欠かせない部分だと思うので、これまで書いてきたシリーズよりは多めに取り入れています」

―この『東京レイヴンズ』は陰陽術というものが下地となって物語が組み立てられていますが、もともと興味がある分野だったのですか?

「昔から興味があったか、というと実は全然なくて(笑)、これは1巻のあとがきでも書いた通りなのですが、まずは日本的な感覚、スタイルや、特にビジュアル面でですね。“和”の雰囲気に先に魅かれていった経緯があって、そうした雰囲気の漂う作品を書きたいというところがあったんです。

それに、前のシリーズが吸血鬼の話で、魔術も出てくるけれどメインは剣劇だったので、次は魔術を題材にしたバトルものを書こうと思って題材を探したところ、陰陽師って面白いよねということになったんです。その後、調べていくうちに、あ、これはすごく面白いぞ、と」

―では、今回発表された「アニメ化」というのは、ビジュアルという意味ではかなり期待していらっしゃるのではないですか?

「もちろん期待はしていますけど、アニメ化については監督さんの意図がすごく大事ですから、どの程度“和”のテイストを取り入れてくれるかは、正直分からないですね(笑)。読者の皆さんも『東京レイヴンズ』にどのくらい“和”の雰囲気を感じてくださっているのかは計りきれていないので、そこは原作者の趣味ではなくて、読者の気に入ってくれそうなラインを探っていただきたいかなとは思います。ただ、一応要望は出しているんですよ。パッケージを和風にして欲しいとか」

―そういった物語の作り方、いわゆる元々描きたい何かがあって、それを表現するために様々な要素を当てはめていくという方法は、普遍的ですけれど面白いと思います。

「でも、正直…私自身はどっぷり書きたいところはあまり書けていない気はしているので(苦笑)、少しでも受け取ってもらえれば嬉しいですね。ただ、やりすぎると良くないのでこれくらいがちょうどいいのかな、と」

―では少し話を変えて、このストーリーに出てくるキャラクターについてうかがいたいと思います。どんどん新キャラが登場してきますが、キャラクター作りという点において気をつけている部分はありますか?

「これでも、あまりキャラクターを出しすぎないようにしようと気をつけているのですが(笑)、物語に大きな組織が絡んでくると、その人数が一人二人しか出てこないということがどうしても不自然になってしまうんですよね。このシリーズでは陰陽庁という一官庁が登場しますが、おそらくそこで働いている人は膨大な数に上るはずです。なるべく登場するのは最少人数で、とは思っているのですが、やっぱりどうしても出てきてしまいます。

私の場合、このポジションのキャラクターは絶対に物語上必要だから、というところから入っていって、その後にどんな性格、特徴にしようか考えるので、どんどん人が増えていくんですよね」

―読み進めていく中で気付いた点がありまして、それはこの『東京レイヴンズ』という物語に出てくるキャラクターの多くが、何かしらに抗っている部分があるなと思ったんです。主人公の春虎や夏目、冬児だけではなく、多くのキャラクターが、自分に押しつけてくるような何かに反抗している側面があるように感じたのですが、この部分はあざのさんが意識されているのでしょうか?

「特に意識したわけではないですけど、ひょっとしたら私の学生観とか青春時代観みたいなものがそういうものであるのかも知れません。いまいち自由になりきれずに、自分をコントロールできずにもがいている、何かに抗っているという印象はありますね。

年輩のキャラクターも登場しますけど、彼らはそういった部分は弁えているので、なんとか状況をコントロールして、自分の立ち位置を考えながら、出来る範疇の中で最善を尽くすという人が多いと思います。学生のうちはさすがにそんな達観した行動は難しいですし、自分に何ができるか分からない、けれども抗い続けるという形で表面に出てきているのかも知れません」

―あざのさんの学生時代もそんな学生だったのですか?

「どうだろうなあ(笑)。自覚はあまりないけれど、ひょっとしたらそういうところもあったのかも知れませんね。そういう意味では、最近、おっさんのキャラクターがたくさん出てきたのは、色々抗うだけじゃなくて受け入れたほうが楽しいという感覚が私の中に強く出てきているからなのかも知れません(笑)」

―ただ、この物語の中に出てくる大人たちもどこかで抗っている部分はあるのかなと思うところはありました。

「というよりは、状況を把握して動かすために、自分に何が出来るのかを考えるという次のステップにいると思います。このシリーズでは“世代”というものを強く意識して書いていまして、まずは学生世代。つまり春虎たちですね。その上の世代が大友先生とか、あとはちょっとズレますけど、鏡伶路もその世代に入っていいと思います。そして、その上に天海大善とか、大友先生の元上司の世代ですね。倉橋長官もここです。この3つの世代を描こうと思っているんです。たとえば、春虎たちの一つ上の世代にあたる大友先生は、春虎たちから見れば大人ですけれど、一番上の世代からは青臭い未熟者と見られたりしていて、実はかなり中途半端な立ち位置なんですよね。そういった奥行き感を表現できたらいいなと思っています。

また、シリーズを書き始める前に陰陽術について調べたところ、歴史と切り離せない時間の厚みがあるんですよ。歴史の中でずっと成長して変化し続けながら現代まで残ってきた。そういう厚みがあるので、それを少しでも表現するために、世代というものを仕掛けにして、その世代によって陰陽術の見方が違う、時間の厚みによって見方が変わるということを描ければいいなと思っていますね」

中編配信中! また「ラノコミどっとこむ」ではインタビューを全文配信中!)

■あざの耕平さんプロフィール

「神仙酒コンチェルト」でデビュー。徳島県出身。代表作に「Dクラッカーズ」「BLACK BLOOD BROTHERS」シリーズなど。現在富士見ファンタジア文庫から絶賛刊行中の人気シリーズ「東京レイヴンズ」は8巻まで出版されている。

また「東京レイヴンズ」もコミカライズされており、コミックス「東京レイヴンズ(5)」(角川書店)「東京レイヴンズ 東京フォックス」(富士見書房)が発売中!

『東京レイヴンズ8 over-cry』

あざの耕平/著、すみ兵/イラスト、富士見ファンタジア文庫、672円(税込)

<あらすじ>

夏目の正体がバレた。京子は夏目たちを避け続けていた。また、シェイバとの戦い以降、覚醒した力を抑えきれない春虎に、コンも心配の色を隠せずにいた。そんな折り、土御門宗家が何者かに襲撃される事件が起き――!?

最新巻は「第一部の山場に入っていく重要な巻」−『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(1)

富士見書房公式サイト http://www.fujimishobo.co.jp/top.php

あざの耕平さん公式ブログ http://azanoblog.blog35.fc2.com/

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元記事はこちら

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【「本が好き!」レビュー】『タタール人の砂漠』ブッツァーティ著

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