台風で株を上げた東急百貨店

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台風で株を上げた東急百貨店

 Facebook、twitterといったSNSの普及によって私たちのコミュニケーションや情報収集は大きく変わりました。いつでも特定の事柄についてその道の専門家の意見を聞くことが可能になりましたし、遠い場所にいる同じ好みを持つ人と交流することも容易になりました。
 そうなると、消費者意識にも変化が生まれます。SNSを通して“信用できる人”から情報を得ることがたやすくなったため、これまで企業側が一方的にリリースしてきた広告の力は薄れ、SNSを媒介とした口コミの影響力が高まってきているのです。
 この流れに対応するために、多くの企業でマーケティングにSNSを取り入れ始めていますが、ただSNSを使うだけでは、単に顧客との接点が増えたというだけで終わってしまいます。

 では、企業はどうすれば効果的にSNSを活用できるのでしょうか。
 『ボイス ソーシャルの力で会社を変える』(日本経済新聞出版社/刊)の著者である田中正道さんは、企業によるSNSを使ったマーケティングのポイントの一つとして、「エンゲージメント」を挙げています。
 エンゲージメントとは、誠心誠意消費者と向き合うこと。日本に古くからある「おもてなしの心」が核になります。
 SNSを利用することで、企業は情報を複数の消費者に届けることができます。
 だからこそ、単に自社製品の情報を流すだけでなく、消費者に有益な情報を発信することで、消費者の心をつかむことができるのです。
 昨年9月、台風15号が東京を直撃した際に、東急百貨店がオフィシャルツイッターアカウントを使って、交通機関の状況やトイレの空き情報などを発信し、多くの人から感謝されたように、それが直接的に利益につながらなくても、企業の誠意ある姿勢やホスピタリティに対して心を動かされる人はいるはずですし、彼らがその気持ちをSNSで発信することで、第三者にまで企業の姿勢は伝わります。

 また、SNSはコールセンターよりも多く消費者の声を聴くことができるという、得がたいツールでもあります。
 SNSをはじめとしたソーシャルメディア上には、一般的な企業のコールセンターに入ってくる声の30〜40倍の情報が存在しています。
 企業としてこれを利用しない手はないのですが、ほとんどの企業がまだソーシャルメディア上の消費者の声のリスニングを実施しておらず、この仕事はもっぱらコールセンターが担っているというのが実情。また、企業内での部署間連携も十分ではなく、コールセンターに届いた声を商品やサービスに反映するといった活動ができている企業も多くないと田中さんは言います。
 消費者のニーズをより深く理解して、商品やサービスに反映させるためにも、ソーシャルメディア上の消費者の声を確実に拾って、活かすための組織づくりは欠かせません。

 『ボイス ソーシャルの力で会社を変える』には、SNS全盛の時代のマーケティングのあり方や具体的な手法、実例が数多く紹介されています。
 SNSは、使いようによっては自社に大きな利益を与えてくれますが、使い方を熟知していないと持て余したり、場合によってはネット上で叩かれて逆効果にもなりかねません。
 ソーシャル戦略は今やマーケティング、広報から商品企画に携わる人は必ず理解しておかなければならない戦略なのです。
(新刊JP編集部)



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