野菜高騰で家計がピンチ!プロから学ぶ対応策とは?
異常気象や天候不順などによる不作で起こる、野菜の価格高騰。家計に直結するため、家庭でどんな対策を取ると良いのか、気になっている人も多いのでは。今回は、国や生産者、販売者といったプロが、野菜の供給量や価格を安定させるためにとっている対策を学び、家計にも取り入れられるヒントを探ってみましょう。
価格の見通しから、まとめ買いの時期を見極める
農林水産省では、東京都中央卸売市場に出荷される「野菜の生育・出荷情報」の見通しを、主産地や卸売会社、中間事業者などからヒアリングし、毎月公表しています。これらは誰でも見ることのできるデータで、生育・出荷情報から導き出された「翌月前半・後半の価格」の見通しも発表されています。これを見れば、翌月の価格の動きを前もって知ることができるのです。
2017年9月末に発表されたデータを、タマネギを例に見てみると、「北海道において、天候の良好な推移から順調に育ったため、出荷数量が平年を上回る」という生育・出荷の情報とともに、10月前半・後半の価格見通しとして「安値水準で推移」と発表されています。同様に、価格が「平年並み」や「高値水準で推移」する場合も、なぜその見通しなのかが理由とともに分かるため、まとめ買いのタイミングや量を見極めるヒントになります。
産地や見た目にこだわらずに購入し、出費を抑える
農産物の旬は、上の図のように季節によって産地を移動するので、生産者はそれを生かした「産地リレー」により、出荷時期をずらすことで、同じ種類の野菜の安定供給を図っています。天候の影響を受けやすい露地栽培が中心のレタスを例に説明しましょう。
レタスは、長野県と茨城県が全国生産量の約45%を占め、次いで群馬県、兵庫県と続きます(※)。それぞれの出荷時期は、長野県産は5~10月、茨城県産が9月下旬~6月上旬、群馬県産が6月中旬~9月、兵庫県産が10月中旬~5月となっており、売り場で見かける産地が時期によって異なるのはこのためです。あるエリアで天候不順が続き価格高騰が起こりそうな見通しの場合も、次のエリアの生産者が早採りして出荷することでカバーし合えるようになっています。
農林水産省「平成28年産野菜生産出荷統計」データより
スーパーなどの販売者は、需給の最新動向によって、野菜の「小分け量(丸ごと・カット)」を調整し、消費者が買いやすい価格になるよう配慮しています。小分け量だけで調整が追いつかないときは、輸入品で対応するほか、形や色が規格外のものも含めて取り扱う場合もあり、安定供給に向けて努力や工夫をしているのです。
産地や見た目にこだわらず購入することが、余計な出費を抑えるヒントといえそうです。
最後に
野菜は毎日の食卓に欠かせない食材だからこそ、野菜の価格変動は、家計にとって一大事。スーパーの売り場に、当たり前のように野菜が並び、買える背景には、国や生産者、販売者のさまざまな工夫があることを気に留めておきましょう。
次回は、野菜高騰時の買い物術についてお伝えします。
最終更新:2018.03.14
文:窪和子
写真:Getty Images
図版:KWC
監修:カゴメ
出典:
農林水産省 野菜の生育状況及び価格見通し[平成29年10月]について(タマネギ)
農林水産省 野菜をめぐる情勢 平成30年2月(産地リレー)
農林水産省 作況調査[野菜] 平成28年度(レタス)
農畜産業振興機構 「ベジ探」野菜マップ(レタスの主要産地)
農畜産業振興機構(野菜価格の高騰対策実施)
農畜産業振興機構 野菜需給協議会(小売対策)
野菜需給・価格情報委員会消費分科会 平成29年度(海外輸入)
記事内容は2017年12月13日の記事初出時のものとなります。
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