シューティングゲームデビューは絶対に今! PS4版『魔法大作戦』開発者インタビュー
2D縦スクロールシューティングゲーム『魔法大作戦』がPS4でリリースされてからしばしの時間が経ちました。
『M2 Shot Triggers』シリーズならではの親切丁寧なつくりで、小学生の時に某有名通信講座すら続かなかった筆者も、モチベーションを切らさずに楽しむことができています。
上達することの嬉しさって、良いですよね!
というわけで、2DSTGデビューにもぴったり、年末年始との相性も抜群なPS4版『魔法大作戦』の魅力をお伝えすべく、シューティングゲームブランド『M2 Shot Triggers』を展開する、有限会社M2(エムツー)さんへお邪魔してきました。
『魔法大作戦』が蘇ったワケ
[写真]シリーズディレクター 長野敦也氏 プロデューサー 堀井直樹氏
――まずは『魔法大作戦』が『M2 Shot Triggers』の第3弾として加わった理由をお聞きしたいと思います。
長野:8ingさんの『バトルガレッガ』を第一弾(バトルガレッガ Rev.2016)にやらせていただいて、8ingさんが一番最初に作られた、『魔法大作戦』をやった方がいいんじゃないか?ということで。『バトルガレッガ』以降のタイトルをやってしまうと、今後、それ以前に戻りづらくなってしまうじゃないですか。それにゲームとしての魅力もやっぱりあったので、もう「『魔法大作戦』がいいよね!」となりました。
堀井:じゃあ、例えばこの後何かやるとした時に、順番にいくんすか?
久保田:インタビュアーになってる。(笑)
堀井:『疾風魔法大作戦』なんすか!?『バトルバクレイド』とかにいくんすか!?
長野:流れ的には『疾風』をやりたい気持ちですけど・・・・・・まだ確定はしていません!
――『魔法大作戦』をアーケードで触ってみた所感としては、カジュアルに楽しむ派の自分としても、触りやすいなぁ、遊びやすいなぁ、と思うところがあります。例えば、数年後にM2 Shot Triggersを見渡した時に、「3弾目で『魔法大作戦』を触っておいてよかったなぁ!」って、きっとみんなが思えるのではと。
長野:実際、そういう意図もありました。いままで難度の高いゲームが続いていたので、ここで一回初心に立ち返るというか。シューティングの面白さを純粋に味わえる、というか。それが『魔法大作戦』にはあると思うので。
福井:そうですね、他の2つは他の2つで、(難しいからこそ)「だから家で遊びたい」っていうのがあったじゃないですか。『バトルガレッガ』だったら反復練習をしたいし、『弾銃フィーバロン』だったらゲーセンで遊ぶには100円玉がいくらあっても足りない、でも遊びたい!というのがあったので。
――とはいえ、『魔法大作戦』のおもしろさは、「簡単だから」というだけではありませんよね。みなさんの目線で『魔法大作戦』の面白さはどのようなところにあるのでしょうか?
福井:シンプルな面白さというのはあると思います。システムを理解しなきゃいけない、スコアを稼がなきゃいけないという要素が無く、ショットは撃ちまくっていればいいし、ボンバーもたくさん出るので強い敵にはボンバーして。「強い敵にはボンバーだ!あとはショットで倒していけ!」というわかりやすさですね。
久保田:「プレイヤーの反復練習が実力として現れる」という点がこのゲームは顕著だと思います。「この危ないところで必ずボムれば絶対に死なない!」とか、自分の上達がわかりやすい。
堀井:『魔法大作戦』の何に惹きつけられていたかというと、開発スタッフの”勢い”です。「やれること全部やろう!」って感じゃないですか。クリア後のセリフが4キャラ×4キャラ分全部あったりとか。演出もいままでやってきたことの総決算になっていたりとか。
長野:コンシューマーで十分やってきた人たちですから。実力は十分にあったんです。
堀井:そう、あったはずなんですよ。「これでもうちょい良いハードだったら俺達はもっと!」という気持ちが、アーケードの基板を得た『魔法大作戦』には全部炸裂している感じがするんですよね。その「俺たちがやりたい」が入っているので、そこらへんが良い感じがするんですよ。良いですよ。”勢い”を感じる。
――演出面も盛り沢山になっていますよね。本作は4面に強烈な背景演出があったり、何度も立ちはだかるライバルがいたり、家庭用のゲームみたいにこってりしている印象があります。自然と「コンティニューして続きが見たいぞ」という気持ちになりますね。
堀井:”作った後に後付けで世界をつける”っていうのがアーケードゲームだと割とありがちで。『魔法大作戦』はそうではなくて、最初に「どのテイストでやろうか?」というのを延々やっていた時間があったそうです。聞いていると、「この作り方は家庭用ゲームだよね」という。そこらへんも遊んでると出ますね。
久保田:綿密な絵コンテみたいなものがステージごとにきっちり作られているんですよ。それがほぼ100%に近いくらいゲームに置き換えられているので、そのあたりが他のアーケードゲームとちょっと違うところかな、とは思います。
とりあえずここに座れ!
[写真]ディレクター 久保田和樹氏 プログラマー 福井将之氏
――続いて今回のPS4版『魔法大作戦』について伺って行きたいと思います。取材に先立ってプレイさせていただいたのですが、まず、『評価アイテム』に注目したいと思います。「あ、まだ銀のところがある!」ということがわかると次のプレイにつながって、自分の集中力が途切れずにいることに驚きました。
福井:そうですね!
久保田:(福井が)評価アイテムの生みの親です。
福井:「まだここ埋めてないから埋めよう!」というモチベになると思いますし、そういうところを狙って作っていますね。プレイする”とっかかり”を、いろんな形で用意できると良いな、と思っています。
堀井:実際問題、今シューティングゲームをあんまり遊んでいないけど昔は遊んでいた、という方が結構いらっしゃると思うんですけど、ゲーム機を触るのが億劫なせいで遊べていないという方も結構多くて。「ちょっと支度してあげて後は触るだけ」としてあげると、「やっぱ面白いね〜」と言っていただくことが多いんです。シューティングゲームに限らないと思うんですけどね。
久保田:テレビの前でゲームをやる機会がどんどん減って来ているという意味でも、我々的にはやはり、「いろいろ準備したからとりあえずここに座れ!」というところまでお膳立てすることが重要じゃないかと。それを「ありとあらゆる手でやろう!」と考えています。
――そういった点へのこだわりは、プレイしていて本当に実感しました。過去のタイトルもそうでしたが、ローディングが入る操作の決定には、必ずボタンの長押しが必要だったりとか、細かい部分一つ一つストレスが除かれていますよね。
久保田:電源を入れてからすぐにゲームがスタートできる、といった点も、我々は毎回必ず死守しています。
堀井:ネタの話をすると、スマホにショットトリガーズのアプリを入れておいて、GPSで場所を監視して、家に着いたらテレビとPS4が起動している、とか。
全員:(笑)
堀井:って、未来でできたら面白いな〜、と思うぐらいテレビの電源を入れて遊ぶのが億劫な人が多いので。
久保田:そうですね〜。
堀井:そうそう。某おじさんbotが言うところの「金なら入れておいてやったぞ」って。
パッド勢もウェルカムなこだわり
――敷居という点でもう一つ注目したいのがコントローラーです。私の場合はアーケードスティックで遊んでいたのですが、どうしても姿勢が疲れてきますよね。そこでパッドに切り替えて、椅子に踏ん反り返って遊んでみてたのですが、実に快適で驚きました。
堀井:それはわかる!どんな体勢でも遊べるんですよね。
長野:全員が持っているパッドでチェックして、やりやすいようにしているんです。問題無いはずです。
久保田:特に今回のデュアルモードではボタンを4つも使うので、「コントローラーは考えなきゃね」という話はしていて、今のデフォルトのキーコンフィグに落ち着いているんです。「俺はアーケードデビューしたいんだ!」という人はアーケードスティックで。かといってパッドをないがしろにしているかと言うと、そんなことは無いんです。うちの長野に関してはずっとパッドでプレイしているので。パッド担当です。
――それは意外です!
長野:しかもアナログスティックでやってます。
――えぇー!!
長野:方向キーが苦手で。
久保田:そういったこともあるので、うちの作品に関しては、基本どちらでも遊べるようにしています。
福井:開発もスティックとパッド両方で開発していますので!
――個人的に、パッドでプレイしていて最も気持ちよかったのがデュアルモードです。2人のキャラクターを組み合わせて画面は賑やかになり、難易度もカジュアル目ですよね。このモードにはどういった意図があるのでしょうか?
福井:アーケードよりも敵の数を増やしてわちゃわちゃ出るようにして、そしてどんどん壊していけるように自機の火力も上げ、ミヤモトみたいに敵を追尾していく奴もいます。そうやって、「たくさん壊していく楽しさ」っていうところを盛り上げていくように作っています。
久保田:2Pが無敵というのも大きな要素です。「盾にすることで弾が降ってこない」ということもできる。ユーザーさんからも言われたのですが、「突き詰めていくとスーパーイージーよりも簡単なんじゃないか」というご意見をいただいたほどで、実は低い敷居で楽しんでもらえるモードなんです。
春日:やりたくてできなかったことができるのも滅茶苦茶楽しいですね。
久保田:そうそうそう!辛かった敵が簡単になるというのがあって。2Pは無敵なので、ツムジ丸戦のぐるぐる回るクナイを全部受けてくれたり。
春日:ガインを敵にめりこませてショットを当て続けたり。
長野:クリアするだけなら相当ライトですね。
――プレイに余裕が出てくるので、M2ガジェットの顔グラフィックを楽しむこともできましたし、アレンジBGMも素晴らしいですね!見ているものが変わったんじゃないかと思うほどです。
[写真]サウンド 春日達彦氏 アニメーション ぜる太氏
春日:そういう効果ありますよね。アーケード基板のFMとかADPCMといった音源の再現度もこだわって作ってます。オーケストラのアレンジも含めて、そして演出と合わせて、楽しんで聞いていただけたら嬉しいです。
福井:顔グラフィックの表情変化は、ぜる太さんが本当にすごく良いのを書いてくださったんです。『魔法大作戦』の魅力!チッタの笑顔!
久保田:元のドット絵は一枚しか無いはずなのに、それを数百枚描いているので。
ぜる太:久保田さんに見せる度に「良いですね!」って。「じゃあアレも、コレも」となっていったら、「どれもボツにできないなぁ」って。
久保田:じゃあ、全部入れましょう、と。
ぜる太:結局、個々のアニメーションというのは一秒間しかないので、何をアニメーションさせるのか、というのは相当揉みましたね。
久保田:その甲斐あって、ご好評いただいていますね。
ぜる太:やられパターンもいくつかあるので、楽しんでいただければと思います。
――最後に、「これから遊ぶぞ!」というみなさんにメッセージをいただけませんでしょうか。
久保田:怖がらないで遊んで欲しいんです。M2 Shot Triggers全体がそうなんですけど、『魔法大作戦』は元のゲームもそんなに難しくなく、「高難易度がウリ!」というゲームではないので、入りやすいと思うんですね。さらに、遊びやすいSUPER EASYモードも搭載しています。簡単にできるところは本当に簡単にしているので。「シューティング」と聞くと怖がってしまう人が多いんですけど、そこを取っ払うのが我々の永遠の課題だと思っています。そのあたりを見据えて、ひとつ、是非遊んでいただきたいと思います。
――ありがとうございました!
魔法大作戦
http://m2stg.com/mahou-daisakusen/(C)1993 EIGHTING
(C)2017 M2 Co., Ltd.※タイトル画像は公式サイトよりスクリーンショットにて引用いたしました
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