西方凌「おせっかいDIY魂、発動!? パン屋さんにトングスタンドをプレゼント」【子育てmeets DIY vol.5】

理想の家具が見つからないときは、作ってしまえばいい! そんな男前DIYerの西方凌さん。昨年秋にお子さんを出産してからは、なかなか時間が取れずにいたけれど……いよいよ復活。ひさしぶりのDIYタイムをレポートします。

先日、知り合いから「パン屋の開店準備をしているのだけれど、好みの『トングスタンド』が見つからない」という相談を受けました。

パン屋さんには欠かせないトング。

「どのパンにしようかな~」という楽しい時間の前に、まずお客様の目に触れるトングスタンド。あまり意識してみたことはなかったけれど、調べてみると確かに市販のトングスタンドは、どれもシンプルというか味気ないというか……。

“おせっかいDIY魂”に火が灯る。

作りたい……。

トングスタンドだったら娘のごきげん次第で、様子を見ながら作れそうだし。最近、育児に奮闘していてDIYとは無縁の生活をしていただけに止められない衝動。

どういった感じのものがいいのかイメージを聞き、ぜひ製作させていただきたい、とお願いしました。

 

小さなアイテムでも、まずは製図から

久しぶりのDIY、昔のようにイメージを描きながら、すでにワクワク……!
だいたいのイメージ画が描けたら、寸法と手順を書き込んでいきます。

▲製作に取りかかる前にこのノートを書くことで、寸法や手順のミスを防げます。

描いた図を元に、まずは頭の中で作ってみる。そこで疑問や不具合があれば、また書き込んでいく。ノート上で疑問や不具合がすっかり解決して、想像で最後まで作り上げることができたら、実際の製作に取りかかります。

 

カットはお願いするのがおすすめ、でも木目を選ぶときは自分で

材料はネットで購入することが多いのですが、その際はできる限りカットをしてもらいます。ホームセンターなどでも切ってくれるところがあるので、どんどん切ってもらいましょう。

手間が省けるうえ、直線のカットもキレイなので、仕上がりが美しいです。そのためにも、材料の割り出しはノートにしっかりと記載しておきます。

ただ、今回は木目を選びたかったので、お店へ行って購入してきました。木目を選びたい場合や、反りや節などが極力少ないものを購入したいときは、やはりお店で実際に見るのが一番です。

 

木のスタンド部分を作っていく

材料がそろったら、さっそく製作に取りかかります。日中はほとんど作業ができないので、音の出ない作業は、夜に娘を寝かしつけてから……。

▲まずはカットする位置を測って、墨出し。ノコギリの刃の厚み分として、2mmほど含めて線を引くと、ぴったりの長さにカットできます。

▲パイプと丸座ソケット、L字金具をアイアン塗料で塗装します。アイアン塗料は、どんな素材でも塗るだけで鉄に変身! 我が家でも、シューズボックスにしているスチールロッカーなどに使って、重厚感のあるアイアン風に仕上げました。

前の晩に墨出ししておいた木材を、翌日のお昼寝タイムにカットします。

▲クランプで当て木を固定し、のこを添わせて切れば、まっすぐキレイにカットできます。

▲作業は、右上のベビーモニターで、娘のお昼寝の様子をチェックしながら……。泣いていたら、すぐに駆けつけることができるわけです。

▲カーブはジグソーでカット。刃先をひねりすぎると、刃に負担がかかって折れてしまうことも……板の上をすべらせるように切り進めると、キレイに仕上がります。急なカーブは一度に切らず、いろんな角度から少しずつ切って。

▲サンダーで切り口や表面をなめらかにします。

娘は一人で寝るお昼寝が短いのですが、この日も20分で終了。きちんと段取りを組んでいたおかげで、作業はまぁまぁ進んだ方でしょうか。夜は、お店のロゴを焼き印する作業に当てたいと思います。

▲まずは焼き印をするためのイラストを、紙に描きます。その裏に、B4の鉛筆で色塗り。表からボールペンなどでなぞれば、木に下絵が移るのです。

▲下絵のとおりに、半田ごてで少しずつ焦がしていきます。

 

トングを掛けるバーを作って、完成

最後に、トングを掛けるバーを取りつけます。

念のため丸座ソケットを用意していたものの、全体のバランスを見た結果、ソケット無しで仕上げることに。13mmのバーを側面の板にそのままはめ込むため、なるべくぴったりの穴を開けたかったのですが……手持ちのドリルは、直径8mmまで。

仕方ないので、貫通しないように気をつけながら8mmの穴を開けておき、そこから小刀で13mmまで広げる作戦にしました。

▲失敗しないよう、バーの取りつけ方も図でイメージ。横から見た図と、穴の広げ方を描きました。

▲なんとか、ぴったりバーをはめられる穴が空きました。

パーツがすべて完成したらボンドを塗り、釘を打って、組み立てていきます。
折れた釘をうっかり打ちつけて、傷ついてしまったところは、木工用パテで補修。

▲一番左の釘の近くに、傷がついています。

▲穴を埋めて、パテが乾けば、目立たなくなるのがありがたいところ。

▲スタンド部分は、L字金具で補強。ネジを締めたら、頭にもアイアン塗料を塗るのを忘れずに。

▲仕上げは、ワトコオイル(ダークウォルナット)で塗装します。

▲完成しました!

今回はお店用の特殊な道具のDIYでしたが、自宅でも、調理器具やアクセサリー掛けなどに使えるはず。ぜひ、好みのサイズに変えて作ってみてください。

バーをはめ込むのが少し手間なので、自信がない人は、手軽な丸座ソケットがおすすめ。穴をあけなくても、ソケットに差し込んでネジを留めるだけで、問題なくバーを取りつけられます。

▲今回のスタンドに丸座ソケットを使用すると、こんな感じ。

育児優先のDIY、作り始めたころは1週間後のオープンまでに間に合うか心配でしたが、なんとか3日で完成することができました。

下準備をしっかりして段取りを組めば、短時間で集中して作れるものですね。楽しかったです! また何か作ってみたいと思います。

 

トングスタンドが活躍しているお店は、大森ジャーマン通りの小さなパン屋さん。


BAKEMAN
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