「作り笑顔がうまい人」は何が違うのか
服装や髪型に気を遣っていても、表情にまで意識を向けられている人は少ないのではないでしょうか。特に笑顔をつくるのが苦手という人は「口角を上げる」ことだけを意識していて、かえって不自然になっていることも。そこで今回は、個人や企業を対象に笑顔コーチングを行っている伊藤千亜紀さんに自然な笑顔のつくり方を伺いました。
伊藤千亜紀(いとう・ちあき)
スリムフェイスデザイナー。1969年千葉県生まれ。大学卒業後、企業の役員秘書として勤務。その後、ホスピタリティマインドを学ぶため(株)オリエンタルランドに入社。キャストとして多くの方と向き合う中で、表情が豊かになると顔が引き締まり小顔になること、笑顔の大切さに気づく。その後、独自の施術法を考案し、「リーデレ」を設立。個人や企業を対象とした笑顔コーチングやスリムフェイス施術を手掛けている。https://redere.themedia.jp/
「笑顔が良くないと第一印象が悪いですよね。華やかさがない、仕事ができなそう、上から目線に見える、目が生き生きしていない……。多くの人はマイナスイメージを抱きます。それだけでなく、笑顔をつくるのが苦手な人は自分に自信が持ちにくいため、心も塞ぎ込みがちになり、それが外見にも表れます。すると姿勢も内向きになって猫背気味に。首も引っ込んでしまうと、さらに表情が悪く見えてしまいます」
伊藤さんのところには「部下の笑顔を引き出してほしい」と企業から依頼がくることも。受講者の中には、自分の表情に問題があると気づいていない人も多いそうです。
では、具体的にどうすれば自然な笑顔を引き出せるようになるのでしょうか?
「笑顔トレーニングというと表情筋を鍛えることが中心になると考える人が多いのですが、私の場合は“ゆるめる”ことを推奨しています。笑顔をつくるのが苦手な人は表情が硬いことが多いので、むしろ筋肉をリラックスさせることで自然な笑顔をつくれるようにします」
実際のコーチングはヒアリングをしながら1時間かけて行うそうですが、今回は特別に自宅でもできる簡単な笑顔トレーニングを教えていただきました。
1.準備運動 はじめに行うのが耳たぶマッサージ。表情筋をゆるめてリラックスさせます。これだけでフェイスラインがすっきりして表情が良くなるそうです。
耳たぶを1mmくらいの円を描くようにうしろ側に向かって回す
2.笑顔トレーニング
次に口周りのトレーニング。ポイントは力を入れる動作と緩める動作を3~4分かけて繰り返し行うこと。それによって硬くなった表情が徐々に柔らかくなっていくそうです。1.口をタコのようにつぼめてゆっくりと3秒数える
2.口元の力を抜いて耳たぶマッサージ
3.前歯を出すように口角を上げる
4.口角を広げたままで舌を出して3秒数える
5. 再び前歯を出すように口角を上げてから耳たぶマッサージ
6.舌を左横から出す
7.円を描くように左から右へとゆっくり動かす
3.仕上げ
最後にフェイスマッサージ。皮膚に触れるか触れないかぐらいの優しさで頬やフェイスラインを撫でることで顔が引き締まると伊藤さんは説明します。ちなみに手でタッチするときの感覚は非常に繊細なため、手の代わりにメイクなどで使うブラシを使うと良いそうです。▲リフトするのではなく、上から下に降ろすようにマッサージするのがコツ
上記のトレーニングを1回10分するだけでも自然な笑顔がつくれるようになってくると伊藤さんは話します。伊藤さんのコーチングによって自然な笑顔が引き出せるようになった人は、自分に対して自信を持てるようになるため、姿勢が良くなり、さらにさまざまなことに前向きに取り組めるようになるそうです。それによって上司の評価が上がった人もいると伊藤さんは話します。
「どちらとも同じくらい仕事ができるAさんとBさんがいたとします。ただひとつ違うのは、Aさんは笑顔が素敵で、Bさんは無愛想。どちらに仕事を頼みたいでしょうか? きっと多くの人がAさんを頼りにするはずですよね」
もちろん、実際の仕事場ではそれ以外にもさまざまな要素が入り込みますが、素敵な笑顔はそれだけで仕事を呼び込む武器になるのも事実。笑顔に自信がない人はぜひ一度笑顔のトレーニングをしてみてはいかがでしょうか?
文:村上広大 写真:今井裕治
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