父親の自覚を持てない“プレパパ”が明日からやるべきこと
映画「JUNO」で、子どもに恵まれず養子縁組を臨むヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)が、自身の子どもへの熱意についてこられない夫のマーク(ジェイソン・ベイトマン)に対して、「母親は子どもを育てるが、子ども(子育て)が男を父親に育てる」と、繊細な男ならちょっと胸が痛む言葉を悪気はない感じで言い放つシーンがある。映画の中ではアッパーミドル層の完璧に見える夫婦が、夫婦間に蓄積された小さな軋轢を見せるシーンのひとつでしかないのだが、たしかに子どもをその腕に抱き、毎日下の世話をして、夜中に起きて泣き出したら自分も起きることで少しずつ父親としての自覚が目覚めるもので、このセリフの通りなのかもしれない。
生まれてくる子どもを待つ妊娠期間中の夫、“プレパパ”はどうやって父親の自覚を持つのか。実際に“プレパパ”の状態にある夫婦を集めて、ある実験を行ったWEB動画が、公開から2週間足らずで50万再生を超えており、ひそかに人気を集めている。
カウンセラーからのインタビューという形で、プレパパたちの父親(プレおじいちゃん)にインタビューを行う。カウンセラー役はイヤーモニターでプレパパが指示した質問をプレおじいちゃんに投げかけ、父子間では聞きづらかった子育てのことを聞くというもの。
産婦人科・小児科系クリニックのベルネット(医療法人葵鐘会)が公開している特設サイト「#パパトーク -パパになるってどんなこと?-(http://kishokai.or.jp/papa-talk/)」によると、日本人は西側諸国に比べて父親の育児参加時間が短いという。先述の動画にも、育児に関わってこなかった父親たちが、妻の負担を想って後悔を見せているシーンがあった。
また、2歳以下の子ども(妊娠中含む)を持つ30代の男女400人に行った妊娠期間中の男女の意識の差についてのアンケートによると、出産前の準備について夫が協力的だったかどうかについて、夫は88.5%が協力的だったと思っているのに対して、妻の方は72.5%と、夫が思う協力体制は思い込みまたは的がはずれていたことがわかる。
具体的にどんなことを協力してほしかったのかは、やはり「家事」が71.5%でトップ。男性が意識していない部分では「外出の補助」や「時間の確保」が挙げられた。女性のリアルな意見の中には、「急変することがあるのに、臨月までお酒を飲んだり旅行に行ったりしていた」、「一緒に買い物に行くと歩くスピードが早い」など、プレパパの境遇に立たされないと気づかないようなところで、不満を感じることもあるようだ。
多くのプレパパが準備ができているつもりでできていない、または自覚が浅いということがわかった。このような状況もあって、妊娠期間中のプレパパが悩みを誰かに相談することは少なく、実に54%が誰にも悩みを相談しないままだったという。自覚の浅さから悩みを認識できていないことも考えられるが、まわりに相談できる人がいないということもあるだろう。
しかし、ほとんどのプレパパにとって、身近に経験者がいる。それは、自分の両親だ。子どもが生まれれば、両親は祖父祖母となり、協力してもらえるかどうかで子育てにかかる母親の負担やストレスが変わってくる。
SNS時代のマーケティングのトレンドでは、商品ができあがるまでの過程を見せることで、共感を呼び商品のファンになってもらうという手段がある。子育てでも、妊娠期間から悩みを相談していくことで、生まれてきたあとの祖父祖母の協力態勢もより手厚いものとなるかもしれない。
#パパトーク -パパになるってどんなこと?-http://kishokai.or.jp/papa-talk/
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