貴重なオールドボトルが1500本!1杯300円から飲める「お酒の美術館」【京都】
こんにちは、ウイスキーのオールドボトルも愛してやまない、メシ通レポーターの西尾明彦です。今回ご紹介するのは、貴重なオールドボトルをリーズナブルに飲める「レトロパブ お酒の美術館」です。
オールドボトルとは、一般的に、ボトルに詰めてから10年以上経ったウイスキーやブランデー、リキュールなど、アルコール度数が高い蒸留酒のことをいうようです。
10年ひと昔といいますが、10年も経てば、同じ銘柄のお酒でも大抵は微妙に味を変えています。そして瓶詰め後も、時間の経過とともに、少しずつ味は変わり続けます。そんな理由でオールドボトルは、普通に売られているお酒、いわゆる現行ボトルとは違う味わいが楽しめる、というわけです。
「レトロパブ お酒の美術館」は、そんなオールドボトルの宝庫とか。
場所は京都三条烏丸、最寄り駅は地下鉄の烏丸御池駅。大正9年に建てられた珍しい木造の洋館建築、文椿ビルヂングです。
レトロ酒場に、これほど素敵な立地はなかなかありません。
階段を上がった2階にあります。
まずは店内を見学です。
店内には壁一面にボトルがずらり。
天井高4メートル、広々とした店内、ぜいたくな空間です。
こちらは喫煙室。店内は完全分煙です。
ワインセラーもあります。
「フランスを中心に、ビンテージワインも置いています。グラスワインはボトル替わりで、600円でお楽しみいただけます」と、店長の藤本大樹さん。
90年代以降の「ドンペリ(ドン・ペリニヨン)」がボトル1万5,000円均一とは、かなりお得です。
「オールドボトルを中心に、お店にあるのは1500本ほどです。現行ボトルが1〜2割、特級ボトル(1989年に改正される以前の旧酒税法時代のボトル)が7割くらいです」
「スコッチウイスキーを中心に、日本のものなら『サントリー 角』 や『ダルマ(オールド)』、『ブラックニッカ』、『G&G』など、懐かしい終売品や、珍しいものでは特級の『山崎12年』など、いろいろありますよ」
こちらがグランドメニュー。特級表記の「サントリーリザーブ」や「スーパーニッカ」などは、ショート300円/レギュラー500円です。確かに安いですね……。
これ以外にも、その時々のレアボトルがあるそうです。
「オールドボトルならではのまろやかで円熟味を増したおいしさを、もっとたくさんの方に知っていただきたくて。できる限りリーズナブルにお出ししています」
オールドボトルと一口に言っても、保存状態によっては、味が変質している場合もごく稀にあります。こちらでは、ソムリエでもある支配人の中村晋也さんが品質をチェックして、確かなものをお出ししているそうです。
まずはおすすめのハイボールで喉を潤します。
▲特級時代の「ホワイトホース」のハイボール (500円)
現行ものとは全く別モノ。スムースな中にも、まろやかな複雑味とスモーキーな香りが立ち上り、これは確かにハイボールでおいしいボトルです。
ノーチャージ、キャッシュオンデリバリーなので、注文ごとに都度払い。飲み過ぎて、支払い時に青くなる、なんて心配もご無用です。
料理はお酒が進みそうなパブフードがそろっています。
▲厚切りベーコンソテー (500円)
1センチ近い極厚のベーコンは、シンプルなソテーが一番! ハイボールとの相性は唐揚げと双璧です。
▲じっくり煮込んだ「弘」のスネ肉 (900円)
昔懐かしい洋食店のシチューのような、しっかり煮込まれたビーフがゴロゴロ。有名な「京の焼肉処 弘」のお肉だそうで、おいしいはずです。しっかりしたコクがあり、ウイスキーともよく合います。
「『ジョニーウォーカー黒ラベル(以下ジョニ黒)』は60年代のものから、70年代、80年代、現行ものとそろっています。飲み比べセットがあるんですが、いかがですか?」
店長の藤本さん。お気に入りの80年代流通の「ジョニ黒」を手に。
▲ジョニ黒飲み比べセット (1,000円/以下すべてショートサイズ)
ファンにはたまらない、オールドボトルの年代違いの飲み比べ!
左から70年代、80年代、現行もの。左のものほど、色が濃いのが分かります。
飲み比べると同じ銘柄でも、構成原酒の配合比率や原料の麦芽の違いか、時代によって全然味わいが違います。
70年代は、華やかな香りの中に、複雑な甘み。
80年代は。甘さとともに、スモーキーさを含んでいます。
現行ものは、ストレートで飲むのは久しぶりですが、あらためて飲むと、スムースでバランスが良いですね。
続いて、シングルモルトウイスキーのオールドボトルに挑戦です。
▲80年代流通の「グレンフィディック8年」 (500円)
「グレンフィディック」は世界一売れているシングルモルトウイスキーなので、オールドボトルも比較的見かける方ですが、ワンコインではまず飲めません。8年熟成はかなり前に終売となったアイテムです。
過去に飲んだボトルでは、もっとフルーティーな印象でしたが、燻製香のようなピート香とともに、重厚な味わい。実にパワフルなタイプでした。
同じ銘柄で同じ熟成年数でも、製造年度の違いなどで、ボトルによっても違う味わいだったりするのが、オールドボトルの面白いところでもあります。
▲「弘」のハンバーグサンド (700円)
「弘」の特製ハンバーグをトーストで挟んだ、肉のうま味が詰まった一品。シンプルな料理こそ、食材の良さが際立ちます。パブやバーのサンドイッチはなぜ、こうもおいしいのでしょう。
ラスト1杯は、何か珍しいものが飲んでみたいとお願いすると、先ほどのバックバーの一部が左右にスライドして、新たなボトルが登場しました。
「こちらの棚には、その時々のレアボトルなどもあるんですよ。先日は特級の『スプリングバンク8年』がありましたが、あまりにおいしくて、速攻でなくなっちゃいました」
やはり、オールドボトルとの出会いは一期一会、出会った時に飲むべきですね。最後に貴重な1杯。
▲シングルトン オブ オスロスク1978 12年 (2,000円)
グラスを近づけると香り立つ、華やかで甘い香り。モルトの風味から、フルーツのような甘い、心地よい余韻がス~っと長く続きます。
幸せな気分で終えられそうです。
それにしても、オールドボトルをこれだけたくさん、リーズナブルに提供するお店は、関西どころか、日本全国にもないであろう、圧倒的なボリュームです。
こちらには、早い時間は、お得なサービスがあるので狙い目です。
14時から17時までは、このカウンターの上に並んでいるボトルなど、オールドボトル含む120種類以上のウイスキーやハイボールを始め、ブランデー、カルバドス、ワイン、カクテル、焼酎まで150種類が2,000円で飲み放題!
そして、17時から20時までは「ハッピーアワー」。入館料500円を払うと、グランドメニューのお酒約100種類が、すべて半額です。
「普段はハイボールしか飲まれないような方や学生の方でも、いろんなハイボールから、オールドボトルの魅力にハマる方もおられますよ」
魅惑のオールドボトルの世界への入り口として、最適なお店ではないでしょうか。グラスを重ねながら、何時間でもボトルを眺め続けられる、素敵な空間です。
お店情報
京都三条烏丸 レトロパブ お酒の美術館
住所:京都府京都市中京区御倉町79 文椿ビルヂング 2F
電話番号:075-746-6909
営業時間:12:00~24:00
定休日:無休
Facebook:https://www.facebook.com/liquormuseum/
※この記事は2017年10月の情報です。
※金額はすべて税込みです。
書いた人:西尾明彦
外食ライター&コピーライター。食と酒を中心に、堅めのビジネス系など執筆中。趣味は酒蔵巡り。北は北海道から南は四国まで50蔵以上を訪問。大阪在住のきき酒師。
HP:大阪のコピーライター西尾事務所
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