スッキリ暮らす[6] 収納王子コジマジックさん「子どもが片づけ上手になる“収育”を広めたい」

スッキリ暮らす[6] 収納王子コジマジックさん「子どもが片づけ上手になる“収育”を広めたい」

魔法のように100均グッズをアイデア収納に変身させ、スッキリ片づいた空間をプロデュースしている収納王子コジマジックさん。さまざまなメディアで片づけの楽しさを伝える姿を目にしたことのある方は多いのではないでしょうか。芸人として活躍していたコジマジックさんがどうして収納王子となったのか、そしてどんなスッキリライフを送っているのか、片づけに対する熱い思いとともに伺いました。

「片づけ好き・DIY好きが自分の武器になるとは思ってもみませんでした」

真っ白な衣装に身を包み、キラキラの笑顔で活躍中の収納王子コジマジックさん。20代のころから、漫才師として数々の新人賞を受賞するなどの活躍をしていましたが、幼少のころからの片づけ好き、DIY好きという特性を活かし、片づけができて笑いもとれる「収納芸人」という新しい道を切り開いてきました。

「収納芸人になったきっかけは、所属している松竹芸能のホームページで靴箱や机を安くつくるアイデアを紹介したこと。それを見たテレビ局の方が、情報番組で視聴者の部屋を片づけたり改造したりする企画に、私を抜擢してくださったんです」とコジマジックさん(以下同)

これが視聴者にとても好評だったため、「せっかくなら誰よりも片づけに詳しい芸人になろう」と片づけについて体系的に猛勉強し、「整理収納アドバイザー」や「住空間収納プランナー」の講師資格を取得。「収納王子コジマジック」として活動の場を大きく広げていきました。

“収納王子”として活動するほか、コジマジックさんは整理収納の会社「ケイスタイル株式会社」を立ち上げ、モデルルームの収納コーディネートや収納グッズのプロデュースなどの活動を通じて、片づけたい人々のサポートを行っています。また、2014年12月には収納と育児・教育・育成を組み合わせた“収育”を理念として掲げた「一般社団法人日本収納検定協会」を設立。2015年10月からは“お片づけを楽しむ検定”「収納検定」をスタートさせ、今や片づけ界のアイコン的存在になっています。

「幼いころからの片づけ好き・DIY好きという資質が、こうして自分の武器になるとは思ってもみなかったですね」と語るコジマジックさん。「その原点は整理好きの母にあります」と振り返ります。【画像1】「○○王子」が流行っていたので肩書きは「収納王子」!王子といえば白い衣装!マジックのように片づけるから本名の小島をもじって「コジマジック」に!と華麗に転身。つっぱり棒を“魔法の杖”として使っているのもユニークです(写真提供/ケイスタイル株式会社)

【画像1】「○○王子」が流行っていたので肩書きは「収納王子」!王子といえば白い衣装!マジックのように片づけるから本名の小島をもじって「コジマジック」に!と華麗に転身。つっぱり棒を“魔法の杖”として使っているのもユニークです(写真提供/ケイスタイル株式会社)

「片づけなさい!としかるだけでは、子どもは片づけられるようになりません」

「収納力・DIY力を身につけた現在の私があるのは、実は母のおかげなんです。母は片づけ好きで整理上手な人。DIYもよくしていて、古い家具をカッティングシートでリメイクしたり、押入れのふすまを外してロールスクリーンを取り付けたりしていました。私もそれを手伝っていたので、DIYのコツが自然と身につきましたね」

「また母は、私が幼いころ、遊びを取り入れながら親子で一緒に片づけることで、整理収納のコツが自然と身につくようにしてくれました。例えば籠に色付きシートを貼り、『このおもちゃはブルーの籠に、これはピンクの籠に入れる』というふうに分ける遊びをしながら、どこに何をしまうのか幼い子どもにもはっきり分かるような仕組みづくりをしてくれたわけです。母の収納方法を見よう見まねで実践していたので、私も自然と片づけ好きになっていました。部屋をきれいに整理整頓すると母が褒めてくれてすごくうれしかったですね」【画像2】幼少期のコジマジックさんとお母様。「たまに母に会うと、『あなたの仕事のあれもこれも私のパクリだからね(笑)』と言われ、改めて母のおかげなんだなあと気づかされます」(写真提供/ケイスタイル株式会社)

【画像2】幼少期のコジマジックさんとお母様。「たまに母に会うと、『あなたの仕事のあれもこれも私のパクリだからね(笑)』と言われ、改めて母のおかげなんだなあと気づかされます」(写真提供/ケイスタイル株式会社)

そうした幼少期の思い出もあって、今、特に気になるのは子どもの片づけについてだそうです。

「相談に来られる顧客の方から『子どもが片づけてくれないんです』というお困り事をよく聞きくのですが、ただ『片づけなさい!』としかるだけでは、子どもは片づけられるようになりません。子どもは収納や整理整頓についての知識が少ないのですから」

「片づけられない原因は、能力がないとか親の遺伝とかではないんです。片づけが苦手なのは、正しい片づけ方法を知る機会がなかったことが原因。そうした方に、片づけの考え方やコツなどをお伝えすると、どうすれば良いかが明確になって、片づけがどんどんはかどるんです。子どもも同じで、片づけの知識があれば、自分で片づけられるようになります」

「実は『片づけ』イコール『ただ単にしまうこと』ではありません。物の要不要を見極めて、どこに何をしまうと出し入れしやすいかなど効率や動線を考えて収納しないと、物を片づけるハードルが高くなり、逆に散らかった空間になってしまうことも。だから、子どもが自発的に片づけられる仕組みを、親がつくってあげることが大切だと考えます」

「子どもが片づけられるようになる『収育』を食育のように広げていきたい」

今、片づけられない子どもが増えていると言われています。現代は安価な物がいつでも手に入りやすい時代で、子どもの所有物は増加傾向にあり、また、共働き家庭の増加、塾や習い事など子ども自身の時間の減少によって、親が子どもに片づけを見せる・教える機会が減っていることが一因だと考えられます。

「小学5年生の家庭科で片づけのカリキュラムはあるものの、教科書には3、4ページ程度しか掲載されていなくて、もっときちんとした教育が必要だと感じています。人が片づけられないまま人生を送ると、時間やお金を無駄にしてしまったり、心をすり減らしてしまうことがあるからです」

「逆に、片づけ上手になれば、時間的、経済的、精神的に良いことが起こるはずです。成人して、仕事をしていく上でも良い影響が生じます」

片づけられるようになると「3つのお得」が得られる

1.時間のお得 = 物を探す時間がなくなる

2. お金のお得 = 二度買い、三度買いがなくなる

3.心のお得 = イライラがなくなる

「だから今、子どもに適切な片づけを伝える『収育』が必要な時代なのだと思います。近年、広く認知されるようになった食育のように、収育が当たり前である社会になってほしい。そんな夢を持っています」【画像3】コジマジックさんが設立した一般社団法人日本収納検定協会では、収育に力を入れています。協会発行の「収育ガイドブック」は、子どもの年代を8段階に分けて収育方法(親がすること・子どもがすること)を紹介しています(写真提供/ケイスタイル株式会社)

【画像3】コジマジックさんが設立した一般社団法人日本収納検定協会では、収育に力を入れています。協会発行の「収育ガイドブック」は、子どもの年代を8段階に分けて収育方法(親がすること・子どもがすること)を紹介しています(写真提供/ケイスタイル株式会社)

上の画像で紹介した「収育ガイドブック」(一般社団法人日本収納検定協会)では、例えば小学校1、2年生の場合、次のような収育方法を紹介しています。

・目標:自分の物を大切に扱えるようになること

・ステップ1:親子で一緒に、物のエリアを用途別に決める

・ステップ2:親子で一緒に、物の定位置のラベリングをする

・ステップ3:ワンアクションで済む収納を親が設置し、使ったら戻す習慣付けをする

・ステップ4:子どもがむやみに物を増やさないよう、親が物の活かし方を伝える

「わが家には4歳と2歳の子どもがいます。幼くても色と形の区別はできる年齢です。物を区別して分類すること、出したら戻すことを親子で一緒に楽しみながら実践して、上手にできたら子どもを褒める。そうした小さな成功体験を積むことで、子どもは何をどうすれば片づくのか理解し、片づけに対する前向きな気持ちが育つのです。親の根気は子どものやる気につながります」

こうした“収育”は子どもだけのためではありません。「子どもだけでなく、親である自分も片づけられなくて……」と悩んでいる人は、“収育”によって親子で片づけのセオリーに触れ、片づけを実践することで、大きな結果が得られるのではないかと感じました。【画像4】「片づけの基本は『出す→分ける→しまう』の3ステップ。特に『分ける』が重要です。幼いころから、こうした基本を身につけていくのがとても大切なんですよ」(写真撮影/大西尚明)

【画像4】「片づけの基本は『出す→分ける→しまう』の3ステップ。特に『分ける』が重要です。幼いころから、こうした基本を身につけていくのがとても大切なんですよ」(写真撮影/大西尚明)

「わが家では、年に1度のバスタオル会議を開催しています」

多くの人に片づけマジックを披露しているコジマジックさんですが、幼いお子さんとご夫婦という4人家族のお宅では、どんな片づけルールがあるのでしょうか。小島家ルールをいくつかご紹介します。

●定期的に収納位置や物の数を見直す

「わが家では片づけについて“家族会議”を開いています(笑)。収納場所や物の数などは1回決めたらずっと同じままとはせず、『これ使いにくい』など家族の意見や要望、環境に応じてより良い方向へ改善することで、暮らしやすさをアップさせています」

「例えば、以前はキッチンペーパーを何気なく冷蔵庫に取り付けていて、使うときには数歩歩いて手に取っていたのですが、使う場所のすぐ近くに設置してみたら、一歩も動かずに済んだということがありました。『何で片づかないんだろう』『何で不便なんだろう』ということがあったら、家族皆で話してみると、1人では気づかなかった原因を意外と発見できるものです」

「以前、こんなこともありましたよ。息子が、毎日のように遊んでいたおもちゃを『もう遊ばなくていい』と自身で判断して、『毎日使っているおもちゃ箱』ではなく『あまり使わないおもちゃ箱』のほうにしまったんです。親が気付かないうちに子どもの興味の対象は変化するものですが、息子が自分でそれを考え、『分類して、しまう』という成長ぶりを見せてくれて、うれしくなりました」

●バスタオル会議を開催!? 定期的に持ち物のリフレッシュを図る

「例えばバスタオルについてですが、わが家では年に1回全部新しい物に入れ替えることにしています。その際に年次家族会議を開催して、今の枚数で足りているかなどを話し合います。収納方法にもルールを設けています。畳んで引き出しに立てて収納し、必ず左側からしまって右側から使うようにしているので、1枚だけ傷みが早いということがありません」

買い替え時を明確に決めることで、古びたタオルをいつまでも使い続けてしまうことがなく、常に気持ちよく過ごせる工夫ですね。

●洋服はハンガー100本分!と総量を決める

「夫婦ともファッション好きなので、洋服の枚数はほかのご家庭より多いのですが、つるして収納する洋服の場合は上限をハンガー100本までと決めています。1枚買ったら1枚減らすということですね。ハンガーを増やさないことで洋服の総量管理がしやすくなりました」

吊るし収納では、衣類がギュウギュウになるまでハンガーを買い足してしまう事態も起こりがち。同じく衣装ケースもパンパンになるまで詰め込んでしまうこともあります。クローゼットには限りがあるので、上限数を決めて、ゆったり収納を保つようにすると、毎日のコーディネートや衣類管理がしやすくなります。

●パパはブルー! ママはレッド! 下駄箱のしまう場所を色分けする

「下駄箱は背の高い順に上から私、妻、長男、長女という順で棚位置を決めています。棚板に色画用紙を敷き、私:ブルー、妻:レッド、長男:グリーン、長女:ピンクと色分けして、誰の場所かを一目で分かるようにしました。こうすることで、幼い子どもにも自分の靴の置き場所がすぐ分かり、自分で率先してしまうようになります」

●迷ったら「優柔不断ボール」へ! 玄関など目立つところに置く

「物を手放す際には納得してお別れすることが大切です。心残りがあるのに無理矢理捨ててしまうと、心が傷つくことになるからです。私は手放すことを迷ったら、『優柔不断ボール(段ボール)』という名の一時保管箱に入れています。この箱のルールは2つあって、保管期限を決めて箱に記入しておくことと、箱を玄関などの目立つ場所に置くこと。こうした物は押入れなど目に付かない場所にしまうことが一般的だと思いますが、目立つ場所にあると早く片づけたいという心理が働き、手放すきっかけもたくさんできます。友人が来た際に『これちょうだい』という状況にもなりやすいですしね。譲る相手に喜んでいただけるので、納得して手放せるようになるのです」

このように少し伺っただけでも、参考になる楽しいスッキリアイデアをいくつも教えてくれるコジマジックさん。お話を伺って、片づけたいからと1人で抱えず、「何で片づかないんだろう、何で不便なんだろう」と家族で話をして常に見直しを考えるからこそ、スッキリライフを持続していくことができるのだと感じました。【画像5】スッキリ整理整頓されたコジマジックさんのオフィス。「会社も家と一緒で、居心地のよい空間づくりが大切です。デスクに置くのはそのとき、使う物だけ。使っていない物は収納棚にしまうことを徹底しています」(写真撮影/大西尚明) 【画像5】スッキリ整理整頓されたコジマジックさんのオフィス。「会社も家と一緒で、居心地のよい空間づくりが大切です。デスクに置くのはそのとき、使う物だけ。使っていない物は収納棚にしまうことを徹底しています」(写真撮影/大西尚明)【画像6】スタッフの方々が使うパソコンやケーブル、文具、書類を一手に収納している白い棚。ラベリングでどこに何があるのか分かりやすくしています(写真撮影/大西尚明) 【画像6】スタッフの方々が使うパソコンやケーブル、文具、書類を一手に収納している白い棚。ラベリングでどこに何があるのか分かりやすくしています(写真撮影/大西尚明)【画像7】左/細々した文具類もさっと取り出しやすく。右/かなりの枚数の名刺も棚の一角に。「名刺の分類は社名50音順が一般的ですが、私の場合、職業別や地域別などの目的別に分類しています。自分に合った分類方法にすると時短につながりますよ」(写真撮影/大西尚明) 【画像7】左/細々した文具類もさっと取り出しやすく。右/かなりの枚数の名刺も棚の一角に。「名刺の分類は社名50音順が一般的ですが、私の場合、職業別や地域別などの目的別に分類しています。自分に合った分類方法にすると時短につながりますよ」(写真撮影/大西尚明)【画像8】著書は来客が手に取りやすい場所にディスプレイ収納。ストック本はその下にしまっているので、どこにあるのか一目瞭然(写真撮影/大西尚明)

【画像8】著書は来客が手に取りやすい場所にディスプレイ収納。ストック本はその下にしまっているので、どこにあるのか一目瞭然(写真撮影/大西尚明)

「お掃除は人に頼めますが、片づけは、物の要不要を見極めることが必要なので人任せにできる部分は限られています。どうせ自分でやらないといけないことなんだから、楽しんでやりましょう! それに片づけって、いいことしかないんですよ。やって得られるのはメリットだらけです(笑)」

日々、多くの片づけられない人々に、片づけのセオリーを身につけることの大切さや効率的な実践方法を伝えているコジマジックさん。そうした活動だけに留まらず、「幼いころからの『収育』をもっと広め、親子で片づけを楽しく進められるご家庭を増やして、みんながスッキリ暮らせる世の中に変えていきたいですね」

そんな広い視野で大きな望みを語るコジマジックさんの姿に、思い切り大きな声援を送りたくなりました。【画像9】片づけ業界がもっと認知された存在となるよう、日々活動しているコジマジックさん。「子どもの憧れる職業ランキングの上位に入るよう、片づけや整理収納の仕事を皆さんにもっと知っていただけるようにしたいですね」(写真撮影/大西尚明)

【画像9】片づけ業界がもっと認知された存在となるよう、日々活動しているコジマジックさん。「子どもの憧れる職業ランキングの上位に入るよう、片づけや整理収納の仕事を皆さんにもっと知っていただけるようにしたいですね」(写真撮影/大西尚明)●取材協力

収納王子コジマジックさん HP

男性ライフスタイル系タレントのパイオニア的存在。松竹芸能で20年以上の芸歴を積み、片づけ・収納・住まいに関する確かな知識と実績をもったプロフェッショナルとして主婦層に圧倒的な支持を受ける。笑いを取り入れた収納セミナーが話題となり講演依頼数は年200件超、著書・監修本は累計35万部を超える。収育を理念とする一般社団法人日本収納検定協会を設立し、収納検定を開催するなど幅広く活躍。フジテレビ「ノンストップ!」にレギュラー出演中●【連載】スッキリ暮らす記事一覧

・スッキリ暮らす[1] 1年半かけて汚部屋を卒業、池田暁子さん

・スッキリ暮らす[2] 物はなくても何とかなる、門倉多仁亜さん

・スッキリ暮らす[3] 「持たない暮らし」が快適、佐々木典士さん

・スッキリ暮らす[4] 小さな家でも「持ちたい物は持つ」、さいとうきいさん

・スッキリ暮らす[5] 片づけの第一歩は心の整理から、佐原美和さん

・スッキリ暮らす[6] 収納王子コジマジックさん「子どもが片づけ上手になる“収育”を広めたい」
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