アクアマンとサイボーグを知れば映画がもっと楽しくなる! 『ジャスティス・リーグ』原作設定を総ざらい

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原作のキャラクターを知ることで、映画が何倍も何十倍も楽しめるかも! ということで、いよいよ11月23日(木・祝)に公開の映画『ジャスティス・リーグ』から、今回はあえて……いや、今こそ語るべき2大超人、荒くれ者の海の王“アクアマン”と人間デジタルデバイス“サイボーグ”に大注目。

バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュにも負けない超個性的な2人のキャラクターに迫るべく、数々のアメコミ翻訳も手掛けるアメコミライターの光岡三ツ子さんを直撃! 原作の設定やエピソードなど、豊富な知識をもとにした濃厚トークをお届けします。

バカにされがちなキャラ設定? 映画では格好良いアクアマンに期待!

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――今回はアクアマンとサイボーグについて教えていただきたいのですが、そもそも、原作のジャスティス・リーグでもお馴染みのメンバーなのでしょうか。

光岡三ツ子さん(以下、光岡):アクアマンは1960年の創立メンバーのひとりですが、サイボーグは2011年にスタートした『THE NEW 52!』という新シリーズから参加しました。アメコミによくあることで、時代にあったDCコミックスの意義を捉え直すためや、新しい読者を獲得するためにヒーローたちの物語もリニューアルを繰り返しているんです。同じジャスティス・リーグでもたくさんの設定があって、現在のDC映画シリーズは歴代シリーズを意識しつつも、この『THE NEW 52!』など現在連載中のコミックと連動しながら展開されています。

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▲『ジャスティス・リーグ:誕生(THE NEW 52!)』(小学館集英社プロダクション)

――では、その『THE NEW 52!』で描かれる設定に沿って、まずはアクアマンのオリジンからお願いします。

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光岡:海底王国アトランティスの王女と地上の灯台守の間に生まれたのが、アクアマンことアーサー・カリーです。普通の人間のふりをして成長しますが、自身のルーツを辿り、アトランティスの王位を巡る戦いに巻き込まれていきます。王座に就いてからはアトランティンス人と人間のハーフという出自に思い悩み、一度故郷を離れたところでジャスティス・リーグに参加することになります。

――まさにヒーローの素質満点のキャラクターですね。

光岡:でも、長年の人気を保ってきたキャラでありながら、時にアクアマンは影が薄くなりがちでした。水中では無敵、地上でも怪力を誇るヒーローですが、アトランティスの王ということは、地上での活動が制限されるわけです。あとは神話を基にしていたり、海の中の物語だったり、ドラマの展開が難しいキャラクターというのがその要因かもしれません。

――ジャスティス・リーグの創立メンバーなのに、影が薄いキャラクターなんですね。

光岡:その一方で、いじられキャラでもあるんですよ。お寿司にまつわるジョークのネタになったり、『ビッグバン☆セオリー』という海外ドラマでは、ハロウィンでジャスティス・リーグのコスプレをすることになっても、誰もアクアマンに扮装したくないというギャグに使われたり。

――愛されキャラと言えばそうですが、ちょっとかわいそうです(笑)。

光岡:1970年代の『スーパーフレンズ』という低年齢層向けのアニメシリーズに登場したことで、アクアマンは悪と戦うヒーローというよりも、「海洋生物と喋る人」というイメージが強烈に定着してしまったんですよね。アニメでは、海藻に絡まっちゃって魚に助けてもらうとか、格好悪いエピソードが多く放映されていました。子どもたちにとっては魚と話せるという能力がキャッチーで、タツノオトシゴとかイルカと仲良くする姿がフィーチャーされました。

――7つの海を支配する王のはずなのに……。ちなみに、原作ではヒゲ面じゃない姿の方がメジャーなんですか?

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光岡:90年代にリニューアルして、海賊のようなワイルドな風貌になった時期があったんですけど、その後はまたデビュー当初の姿に戻りました。ちなみに短気な性格は、「海の男=荒くれ者」というイメージから来ているようです。映画では90年代の姿を採用して、アニメ版で世間に定着したダサいイメージが一新されています。(アクアマンを演じる)ジェイソン・モモアをバカにできる人なんていないですよね。

――絶妙なキャスティングですね。魚と話す設定は映画でも活かされそうでしょうか。

光岡:実は、『THE NEW 52!』シリーズでは、アクアマンが魚と話しているわけではなく、「テレパシーで操っているだけだ。魚に高い知能はない」と言う場面があってファンの間では凄く話題になったんです。レストランでフィッシュ&チップスを注文して周りをザワつかせたり。イメージの刷新を図るために触れずにはいられない設定だったわけですが、映画ではどうなっているか楽しみです。

父の手で蘇った現代っ子ヒーロー! サイボーグの成長が物語のカギ?

――続いて、サイボーグについても教えていただけるでしょうか。

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光岡:DCコミックスで描かれることが多い父と子の関係、先代からの継承という大きなテーマを反映した王道のキャラクターと言えるかもしれません。サイボーグことビクター・ストーンは学生アメフトの花形選手として活躍していました。

――ジョックス系のヒーローという点では珍しいかもしれないですね。

光岡:でも優秀な科学者である父親は、スポーツマンとしての自分を認めてくれず、ケンカが絶えない関係が続いています。ある日、父親の務める研究所を訪れると、不幸な事故に巻き込まれてしまい、ビクターは身体の大部分を損傷してしまいます。その研究所というのが、スーパーパワーや地球外の物質を秘密裏に研究する施設で、父親は研究所にあるすべてのテクノロジーを活用して、ビクターを蘇らせます。

――『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で、上半身のみのビクターが映るシーンがありましたね。

光岡:奇妙な黒いボックスを起動すると、機械の身体が出来上がっていく、という描写がありましたよね。あれはマザーボックスと呼ばれる原作でも重要なアイテムで、異星のスーパーコンピューターです。あらゆる知識が詰め込まれていて、所有すると非常に強い力を手に入れることができるわけです。

――一瞬だけど意外と重要なシーンだったんですね!

光岡:そのマザーボックスを地球外から強力なヴィランが奪いにやってきて地球のヒーローと戦いになるのですが、ビクターはマザーボックスとリンクしているので、自分の意志とは関係なくジャスティス・リーグの戦いに巻き込まれていくんです。ヒーローとして成長していく姿が見られそうですし、マザーボックスとリンクしているという点においても、映画版で非常に重要な役割を果たすキャラクターだと思います。

――見た目の通り、やはり戦いにおいても活躍が期待できるキャラクターでしょうか。

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光岡:アクアマンと同じくもの凄くパワフルなキャラクターです。肉体が強いのはもちろん、空を飛んだり、ビームを出したり、肺も人工なので水中で活躍できたり。中でもコンピューターのハッキングが一番の強みで、あらゆるネットワークに接続することができます。チームを頭脳面でも支えて、連絡係としても外せないキャラクターです。現代を象徴するヒーローとしてチームに大抜擢されたのも頷けます。

――予告映像では、サイボーグとアクアマンが一緒に空を飛ぶシーンもあったりします。

光岡:ジャスティス・リーグのメンバーは一人ひとりが強いので、力を合わせなくても十分パワフルなんですが、バットモービルに乗ったアクアマンが高笑いする映像が公開されていたり、連携を活かした映画ならではのシーンが登場するかもしれませんね。

――お話を聞いた限り2人とも所在のなさを感じていそうなキャラクターですし、そういった場面がチームものならではの醍醐味ですね。

光岡:それぞれ心に闇や葛藤を抱えて暗くなりがちなキャラクターたちですけど、チームとして集まってひとつの目的のために邁進することがこんなに楽しいんだ、という姿が見られたら良いですね。個性の違う者同士が互いに学び合って尊重し合うというのが原作のジャスティス・リーグの在り方なので、我が強いヒーローたちがどうやってまとまって戦っていくのか、とても楽しみです。

『ジャスティス・リーグ』をもっと知るには特集ページへGO!
https://getnews.jp/justiceleague

光岡三ツ子さんプロフィール

翻訳家、ライター。翻訳コミックの他、『別冊映画秘宝アメコミ映画完全ガイド』シリーズ(洋泉社MOOK)など、共著も多数。

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▲光岡さんオススメの1冊『DCキャラクターズ:オリジン』(小学館集英社プロダクション)。『ジャスティス・リーグ』にも登場するキャラクターたちのルーツを描き下ろした短編集。

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よしだたつき

よしだたつき

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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