被災した“猫の島”の猫たちは今
2011年3月11日に起きた東日本大震災のよる爪あとは、様々なメディアを通して伝えられましたが、その変わり果てた被災地の姿に衝撃を受けた人がほとんどだったのではないでしょうか。
人の気配はなく、瓦礫の山だけが築かれている光景。そこから、地震と津波の恐ろしさを私たちは強く実感しました。
石巻の南に位置し、猫を神として祀る文化を持つ「猫の島」として近年注目を集めている田代島。ここも、東日本大震災で湾岸施設が多大な被害を受けました。
そんな田代島の被災と復興を、猫たちの写真を通して伝える写真集が『のらねこ。 震災を越えて』(中川こうじ/著、エンターブレイン/刊)です。
様々な戦場で撮影を重ねてきた中川さんは、公園でたまたま捨て猫に出会ったことをきっかけに、野良猫の写真を撮影するようになったフォトジャーナリスト。現在では、自ら野良猫保護の支援サイトも立ち上げています。
そんな中川さんは、震災直後から東北に入り、田代島の状況を写真におさめてきました。
田代島の猫たちは震災後、漁業が行えなくなった影響で餌がもらえなくなり、苦境に立たされました。さらに、外部からの通信も断絶し、物資も届かない状況が続きます。
しかし、そうした中でも猫たちは耐えぬきました。
漁ができなくなってしまった島の人たちが顔を上げて確実に前に進みはじめると、猫たちも少しずつ港に姿を見せはじめていきます。そして今、震災を経験していない子猫たち、新たな世代の息吹が生まれ始めているようです。
まだ瓦礫が残る湾岸に佇む猫たちをはじめ、田代島で生きる猫たちの写真で構成された一冊。被災をしたのは人間だけでなく、動物たちも同じです。
島の人たちと共生し、この状況を生き抜こうと強く瞳を輝かす猫たちの姿は、私たちに希望と勇気を与えてくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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