ダンジョン化する日も近い?「品川駅」が乗車客数で「渋谷駅」を追い抜いたワケ
世界一の利用者数を誇る「新宿駅」を筆頭に、長年、駅の乗車人員ベスト5(※JR東日本発表分のみ)は「池袋駅」「渋谷駅」「横浜駅」「東京駅」の5駅が、多少の順位の入れ替わりがあるものの、ほぼ同じ顔触れが十数年以上続いていました。
しかし今年発表されたランキングでは、「品川駅」が「渋谷駅」を抜いてトップ5に!そこで、今回は「品川駅」をクローズアップしてみます。
なぜ品川駅は渋谷駅を追い抜いた!?
JR東日本が今年発表したレポートが、ちょっとした話題になりました。
それは、2016年度のJR東日本エリア内における、1日平均の各駅の乗車人員数。公表データのある1999年度以降、「新宿駅」を筆頭に「池袋駅」「渋谷駅」「横浜駅」「東京駅」が長年に渡り上位を独占し、品川駅は次点の「6位」が定位置でした。
その不動のランキングに異変が生じたのが、昨年。前年は5位だった渋谷駅を、6位の品川駅が逆転し、初の5位に浮上したのです。
しかしこのような結果になる“兆候”が、すでに2013年からデータに表れていました。
2012年度までは、長年3位の座に位置していた渋谷駅が、2013年度には東京駅と横浜駅に追い越されて5位の転落。その大きな理由は「東京メトロ副都心線~東急東横線の相互乗り入れ」が、2013年からスタートしたこと。
それまで地上にあった東横線渋谷駅が地下に移り、2008年に開業していた副都心線とつながったことによって、乗客の行動に大きな変化が生じました。
それまで東横線に乗って渋谷駅に着いた乗客が他の目的地を目指す場合、必ず他の鉄道やバス等への「乗り換え」が発生します。その何割かの乗客は、JR山手線や埼京線を利用して新宿や池袋方面に向かっていましたが、相互乗り入れ後は、渋谷駅を「素通り」して、そのまま副都心線に乗って目的地に向かう流れが新たに定着。
結果的にJR渋谷駅を利用する乗客が減少します。
事実、2012年度は「1日当たり412,009人」の利用がありましたが、翌年2013年度は「378,539人」と約35,000人も減少。都心のターミナル駅が1年でこれだけ大幅に減少するケースは、滅多にありません。その後も微減を続け、2016年度は「371,336人」となっています。
このような背景の元、渋谷駅を品川駅が追い抜くことにつながったのです。
品川駅の乗客数が大幅に増えている理由
しかし、渋谷駅の乗車数が減っただけで、品川駅が5位に浮上したわけではありません。品川駅自体の乗車数も、年々増加していることも、今回の結果の大きな要因となっています。
データを見ると、1999年度の乗車数は「247,564人」ですが、2016年度は「371,787人」と、この17年で約1.5倍も増えているのです。ちなみに他の主要駅の推移をみると
新宿駅 1999年度:756,772人 2016年度:769,307人
池袋駅 1999年度:574,243人 2016年度:559,920人
横浜駅 1999年度:391,196人 2016年度:414,683人
東京駅 1999年度:376,960人 2016年度:439,554人
と、東京駅がこの中では大きく伸びていますが、それでも品川駅ほどではありません。
ではこの17年の間に、品川駅に何があったのか?
最もインパクトのあった出来事が「2003年10月、東海道新幹線品川駅開業」です。
ご存知の通り、日本の大動脈である東海道新幹線が品川駅に誕生したことで、主に「城南エリア」と呼ばれる、東京の南や西エリアにお住まいの方が品川駅を利用するように。またそのころから新幹線の乗降口が近い「港南口」の再開発が進んで新たなオフィス街が誕生したことも、乗客数の増加につながっています。
そしてもう一つのインパクトが、「2015年3月、上野東京ライン開業」。
それまで上野駅止まりだった高崎線・宇都宮線・常磐線が、東京駅を経由して東海道本線に乗り入れたことで、品川駅に乗り換えなしで行けるようになりました。
さらに今後「2020年度 品川新駅開業」や「2027年度 中央リニア新幹線開業&京急線品川駅の地上化改良&ホーム2面4線化」(※どちらも予定)など、鉄道関連の大型開発が目白押し。
今後、さらに乗客数の伸びが見込まれ近い将来、新宿駅や池袋駅に肩を並べるほどの巨大駅になるかもしれませんので、これからも品川駅の動きに注目していきましょう。
WRITING:山田モーキン イラスト:海月あいる
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