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残念な人は「理想の働き方」ができない理由を“自分以外のせい”だと考えるーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

残念な人は「理想の働き方」ができない理由を“自分以外のせい”だと考えるーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第5回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

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©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「この持ち点13点の配点を変えるチューニングをしましょう」(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第1巻 キャリア7より)

龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を排出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが・・・。

転職だけでは「自分の総合得点をアップできない」

転職エージェント会社に勤め始めた井野が、初めて担当することになった転職希望者とは、就職2年目の若手・山口。山口がかつて就職活動をした時期は就職氷河期に当たっていたため、必ずしも希望の会社に就職できたワケではありませんでした。本人は「今は転職者にとって有利な売り手市場となっているし、経験も身につけたので転職したい」との希望です。

上司・海老沢に教えられた井野は、山口にまずは五角形を描くように伝え、そこにそれぞれ、仕事において重視している事柄を書くように依頼します。山口が仕事を選ぶ上で重視していることとは「給料」「やりがい」「将来性」「安定性」「労働時間」の5つ。それに現在の会社の状況を5点満点で採点してもらったところ、合計で13点でした。

「転職で、これを20点くらいにアップしたい」と言う山口。しかし井野は山口に「転職だけで総合得点がアップすることはない」と伝えます。「自分を見つめ直して、まずは自分の希望により近い点数配分を考えること。そうすれば企業名だけで会社を選ぶことがなくなり、転職の成功確率が上がる」と説くのでした。

転職とは「条件のチューニング作業」に他ならない

「点数配分を考える」については、賃貸のお部屋探しをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。たとえば人が引越しをしようと考えた時に、必ず譲ってもいい条件と譲れない条件とがあります。「家賃」「場所」「日当たり」「間取り」など、人によって好みの優先順位が違います。

「駅から多少遠くても、広めの部屋で」とか「会社から30分圏内のところに住みたい」といったように、転職もこれと同じような考え方です。

このお部屋探しの例と同じように、自分の実力が変わらないのに、転職先の条件だけが一方的に良くなるということはありません。給料が良い代わりに高成績が出なければ契約打ち切りの条件だったり、将来性が期待できる代わりに環境が整っていなかったりといったように、何かを優先させればその分、必ず何かがマイナスになります。

『エンゼルバンク』で言う転職とは、自分が「何をガマンできて」「何にガマンができないのか?」ということを把握した上で、極力、自分のストレスを軽減できる条件の会社に移ることです。それが「転職をしても総合得点は変わらず、配点が変わるだけ」の意味するところです。

転職の前に、自分の価値を上げておくことが大切

転職者によく見られる誤解の一つが「転職とは人生をリセットすること」だという思い込みです。そういう考え方で転職してしまうと、次の会社へ行っても失敗する確率が高くなります。もし、「自分の総合得点を上げたい」と思うのであれば、自分の価値を上げない限りは難しいのが実情です。

「自分の価値を上げる」と言うと、多くの人が「資格を取る」ということを思い浮かべがちですが、資格が必ずしも将来を保証するとは限りません。特にご注意いただきたいのが、今の仕事と無関係な資格を取ろうとすることです。それを取ったところで仕事に使う機会もなく、資格取得に費やした時間とお金がムダになってしまう可能性があります。資格は「仕事でどうしても必要な場合に、最短の時間で取る」というのが、私の意見です。

それよりも、自分の価値を上げたければ、今の仕事で「社内初」を体験することのほうがよほど効果的です。仕事で結果を出せれば、その実績を持って次へ行けば良いですし、失敗した場合でも、会社の歴史で最初の一人になるという経験は、転職する際の武器となりえます。

定期的に「自分を棚卸し」してみよう

転職する・しないにかかわらず、自分自身について知っておくのは大切なことです。あなたもこれを機に「自分の棚卸し」をしてみることをオススメします。自分の棚卸しとは、

(1)自分は何が得意で、何が得意でないのか?

(2)自分がもっとも時間とお金を費やしてきたことは何か?

(3)どこに向かって行きたいのか?どうしても避けたい条件は?

といったことを見直してみることです。自分の目標に照準を絞るためには、自分のスキルや実績などの現在位置を確認することが必要不可欠となります。

自分の価値を上げられる最善の方法とは、「自分が楽に結果を出せることに注力する」ことです。参考にしていただければ幸いです。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が12刷となっている。著作累計は35万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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