【インドネシア・コーヒーの旅】現地に根付く栽培技術と日本流コーヒー文化 『トアルコ トラジャ』のコーヒー豆が集まり販売されるまで

【インドネシア・コーヒーの旅】現地に根付く栽培技術と日本流コーヒー文化 『トアルコ トラジャ』のコーヒー豆が集まり販売されるまで

キーコーヒーの看板ブランドとしておなじみの『トアルコ トラジャ』コーヒー。こちらはインドネシア・カリマンタン島の東に隣接する、アルファベットの「K」の字に見える形をした“スラウェシ島”にある“トラジャ”地方で生産されています。ガジェット通信はキーコーヒーが主催する、『トアルコ トラジャ』コーヒーの産地を見て回るプレスツアーに参加。農場に行ってコーヒー豆の収穫と生産工程を体験したり、コーヒー豆の流通や小売りの現場を見てきましたので、旅の模様を交えてレポートをお届けしていきます。

前回の記事では『トアルコ トラジャ』を生産する現地法人のトアルコ・ジャヤ社が所有するパダマラン農場で、コーヒー豆の収穫や選別など生産工程を見学、体験しました。

【インドネシア・コーヒーの旅】あの『トアルコ トラジャ』の農場でコーヒー豆の収穫と生産工程を体験してきました
https://getnews.jp/archives/1893068

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530ヘクタールの土地に、約35万本のコーヒーの木が栽培されているパダマラン農場ですが、実はこの農場から生産されるコーヒーは年間500~600トンと言われる『トアルコ トラジャ』の全輸出量の約2割程度。残りの8割は、近隣の協力生産農家から豆を買い付けているのだそうです。

近隣の農家から豆が集まるペランギアン出張集買所

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プレスツアーでは、トアルコ・ジャヤ社が近隣の農家から豆を買い付けるペランギアンの“出張集買所”を取材しました。ランテパオの街からジープに乗って2時間ほどの山の上にあるこの集買所。

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収穫したコーヒー豆の袋を頭に載せたりバイクに載せた農家の人たちが、次々と集買所を訪れます。

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持ち込まれたコーヒー豆はその場で品質がチェックされ、トアルコ・ジャヤ社が現金で買い付けるシステム。トアルコ・ジャヤ社がおよそ40年前にトラジャの地にコーヒー農場を開いて以来、このように現地農家との共生を重視してきたそうです。

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“共生”が印象付けられる事実として、パダマラン農場を含むトラジャ地方にあるトアルコ・ジャヤ社の事業所で、日本人は生産担当取締役の吉原聡さんのみ。トラジャの中でもただ1人の日本人なのだとか。ほかの従業員はすべて現地採用のインドネシア人で、インドネシア語を共通語として一緒に仕事をしています。

栽培指導で協力生産農家に根付くコーヒー栽培

トアルコ・ジャヤ社は、現地の協力生産農家から品質のよい豆を永続的に調達するために、コーヒーの栽培指導にも取り組んでいます。

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プレスツアーでは、ペランギアン出張集買所近くの村の集会所で行われた、栽培指導の模様を取材しました。苗木の育成についてトアルコ・ジャヤ社の現地社員から説明があった後、参加した現地農家の人たちから熱心に質問が飛んでいたのが印象に残っています。

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この日は、パダマラン農場で育てられた苗木がトラックの荷台いっぱいに持ち込まれ、参加者に無償で配布されました。

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余談ですが、集会所の近くには小学校があり、栽培指導の撮影にドローンを飛ばしていたら子供たちのヒーローになってしまいました(笑)。

『トアルコ トラジャ』コーヒー農場 ドローン撮影レポート(YouTube)
https://youtu.be/9HBYb5P8ns8

日本流ドリップコーヒーの文化が根付く

インドネシアでの伝統的なコーヒーの飲み方は、粉砕したコーヒーにお湯を注ぎ、上澄みを飲むというもの。砂糖を大量に入れて甘くするのも特徴です。

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「ハンドドリップで淹れたクリーンな味わいのコーヒーを広めたい」と語るのは、トアルコ・ジャヤ社代表取締役社長の河合啓輔さん。同社は南スラウェシ州の州都であるマカッサルに販売の拠点を置き、日本で主流となっているハンドドリップ方式のコーヒーの啓蒙に取り組んでいます。

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インドネシアの家庭でペーパーフィルターを使ってコーヒーを淹れる文化はすぐには定着しないものの、1杯ずつ抽出して飲むドリップバッグタイプのコーヒーは市民権を得ている様子。マカッサルの地元のスーパーでも、『トアルコ トラジャ』製品の棚に粉コーヒーと一緒に、『トアルコ トラジャ』や『キーコーヒー』ブランドのドリップバッグタイプのコーヒーが並んでいるのを見ることができました。

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ちょっと驚いたのは、マカッサルからトラジャへの道中にある峠の茶屋のようなカフェでも、『トアルコ トラジャ』のドリップバッグタイプのコーヒーが出されたこと。観光で立ち寄る人が多い場所とはいえ、ドリップで飲むコーヒー文化が根付きつつあることがうかがえます。

日本のカフェ文化を伝える直営カフェ“トアルコ トラジャ コーヒー”

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プレスツアーは、トアルコ・ジャヤ社が2014年にマカッサルにオープンした直営カフェ“トアルコ トラジャ コーヒー”を訪れました。ここは、ハンドドリップで飲むコーヒー文化を現地に発信する、消費者向けの重要な拠点。

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店内には焙煎機を備え、本格的なドリップコーヒーを味わえるカフェになっています。

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『トアルコ トラジャ』ブランドの9種類のコーヒーを、“ハンドドリップ”“フレンチプレス”“エアロプレス”“サイフォン”の4種類の抽出方法を選んで注文できるのが特徴です。9種類のコーヒーは、豆や粉の状態で購入することもできます。

そんな、産地や抽出方法にこだわったスペシャルティコーヒーを楽しめるお店としてだけでなく、トアルコ トラジャ コーヒーにはもうひとつのユニークな特徴があります。

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それは、日本の洋食文化を持ち込んだフードの充実ぶり。フードメニューには「Omu Rice(オムライス)」「Chicken Katsu Curry(チキンカツカレー)」「Gyukatsu(牛カツ)」「Udon(うどん)」といった、日本でおなじみのメニューが並びます。

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フードはどれも美味! 東京で食べる洋食とほとんど変わりません。それもそのはず、トアルコ トラジャ コーヒーのシェフはキーコーヒーグループの“アマンド”や“イタリアン・トマト”で研修を受け、一部は日本で提供されているメニューをこちらでも展開しているのです。日本のコーヒー文化だけでなく、モダンな食文化も伝える役割を果たしているのが興味深いお店。マカッサルを訪れる機会があったら、一度足を運んでみては?

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トアルコ・ジャヤ社の販売拠点とカフェ“トアルコ トラジャ コーヒー”があるマカッサルは、貿易港として栄えてきた街。トラジャで収穫・精選されたコーヒー豆は、このマカッサルから船で日本を含む海外へと輸出されていきます。コンテナヤードが並ぶマカッサルの港で見られる夕陽は、「世界で3番目に美しい夕陽」として知られているとかいないとか……。

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プレスツアーでは、トアルコ・ジャヤ社の河合社長と吉原取締役に、全行程にわたってお世話になりました。ありがとうございました!

次回からは、プレスツアーの行程で訪れたジャカルタ・マカッサル・トラジャから街ネタの数々をお届けします。

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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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