リューク役のウィレム・デフォーってやっぱ顔採用っすか? 『デスノート』監督&マシ・オカPを直撃
ノートに名前を書かれた人間は死ぬ――。
言わずと知れた日本の人気漫画を原作に、ハリウッドで実写映画化を果たした『Death Note/デスノート』が、8月25日よりNetflixにて全世界同時配信を開始した。
メガホンを執ったのは映画『ザ・ゲスト』『ブレア・ウィッチ』などのアダム・ウィンガード監督。次回作に『Godzilla vs. Kong(原題)』の製作も決定しているウィンガード監督と、プロデューサーとして今作に携わったマシ・オカ氏(『HEROES/ヒーローズ』)にインタビューを行った。
死神リュークに激似と話題のウィレム・デフォーについて質問したところ、意外な裏話も聞くことができたぞ!
――そもそも、『週刊少年ジャンプ』で連載当時、あるいはその後の『デスノート』は、アメリカでどのように受け入れられていたのでしょうか。
マシ・オカ氏(以下、オカ):地上波ではアニメが放送されていないので、ニッチと言えばニッチかもしれませんね。でも世界中で翻訳されている作品ですし、よく知られた作品だと思います。
アダム・ウィンガード監督(以下、ウィンガード):撮影にあたってバンクーバーの高校をロケハンしていた時には、どの図書館にも『デスノート』のコミックが置いてありました。
オカ:日本の漫画がアメリカに大きく進出するキッカケとなった作品の1つだとは思います。
――原作のライトやLは、ある意味で超人的な人物でしたが、今作ではリアリティを感じる人間味のあるキャラクターになっていました。その辺りのバランスはどのように意識されたのでしょうか?
ウィンガード:今作に関しては、原作のライトが持っていた性質を2人の人物に分けました。ライト(ナット・ウルフ)とミア(マーガレット・クアリー)というコンビにしたんです。リュークが一人の若者に向けてデスノートを与えたのではなく、ライトと周囲の人物との関係性までも視野に入れてノートを落とし、キラという現象を生み出したんです。L(ラキース・スタンフィールド)については一流の探偵という立場は変わりませんが、彼の出自についてはオリジナルでダークなものになっています。舞台をアメリカに設定して物語を伝えるためにどうすべきかを考え、キャラクターを作り上げていきました。
オカ:ライトを普通の高校生に置き換えることによって、視聴者に「もしあなたがライトの立場だったら、デスノートをどのように使うか」を考えて欲しかったんですよね。原作のライトは超人的すぎて、そのまま実写化すると共感が難しいかもしれません。普通の高校生としての葛藤があり、恋愛もする。また、アメリカの映画では必ず主人公の成長を見せることが大切です。スタート地点が普通の高校生であることは必然でした。
――ウィンガード監督はこれまで多くのホラー作品を手掛けられてきました。プロデューサーとしてロイ・リーさん(『ザ・リング』『THE JUON/呪怨』)も参加していたり、今作についてはホラーが重要な要素だと考えられたのでしょうか?
ウィンガード:ホラー映画とは解釈していません。『死霊館』や『ファイナル・デスティネーション』、『オーメン』の影響などを受けていますが、全ジャンルのマッシュアップというか、ホラー寄りなところもあれば、スリラーでもあり、コメディの要素もあり、ミュージカルや恋愛の雰囲気もある。デヴィッド・フィンチャー作品のような視覚効果を狙った場面もあります。リュークについても、恐ろしい存在ではなく、遊び心を意識して撮影しました。
――リューク役(声の出演)のウィレム・デフォーさんは、日本でも「特殊メイクやCGがいらないほど激似」だと話題になっていたのですが、やはりキャスティングの決め手は顔ですか?
ウィンガード:それもあるけど(笑)、第一は彼の声が起用理由です。今作のリュークは、グラムロック的な要素を感じるキャラクターにしたいと思いました。最初はミュージシャンに演じてもらう事を想定していて、実はキャスティングリストのトップ2にはプリンスとデヴィッド・ボウイの名前がありました。まさかそのリスト自体がデスノートになってしまうとは……。その後、早い段階でウィレム・デフォーをキャスティングすることができたので、リュークの造形や顔のパーツには彼の特徴を反映させているのも事実です。彼が実際に8フィートの伸長があれば、そのままメイクなしに起用できたかもしれませんね(笑)。
オカ:ウィレム・デフォーさんに初めて会ったんですけど、めっちゃ小さい可愛いオッサンなんですよ。池乃めだかさんみたいな感じでした。映像で見るのと印象が違って意外なんですけど。
――劇場公開される映画の場合は興行収入という分かりやすい指標があると思うのですが、Netflix作品の場合は何かクリアすべき条件とか、評価の指標になるものはあるのでしょうか?
オカ:もちろん視聴数というのが指標になると思います。ただ、ユーザーはもちろん、我々に対してもデータを一切公開してないので、フィルムメーカー側も把握していません。続編が作られたら評価が高いと思って良いかもしれませんね。Netflixが凄いのは、興行成績を意識しなくて良いので、作り手の自由に撮影させてくれる点です。『デスノート』は本来ワーナー・ブラザースの配給で劇場公開される予定でしたが、その場合、全く違った作品になっていたと思います。しかも、Netflixの場合は190以上の国に同時配信して、1億人以上のユーザーに届く。良い作品は多くの人に見てもらわないと意味がないですからね。
ウィンガード:オープニング週末の心配をしなくても良いのは非常にありがたいです。あとは、「死」に対する描写を恐れずに表現できたのは重要だと思います。劇場公開の映画ですと、興行収入を意識してレーティングを気にする必要があります。今作については、制限なく自分たちが描きたいものを描くことができたと考えています。
――日本でも漫画を原作とした映画やドラマが次々と作られていますが、今後、実写化を手掛けてみたい日本の漫画はありますか?
オカ:いくつか思いつく作品がありますが、実をいうと実際に交渉中の作品もあるので、その他の作品を挙げるとすると、『約束のネバーランド』ですね。アメリカで子どもを扱った作品を作るのは非常に難しいんですよ。でもNetflixであれば『ストレンジャー・シングス』の成功例もあるし、ぜひチャレンジして欲しいなと思っています。
ウィンガード:次回作が『Godzilla vs. Kong』なので、日本の影響を大きく受けた作品になると思います。他に挙げるとすると、『マクロスプラス』ですね。テストパイロットたちの人間模様が丁寧に描かれた作品なので、実写化に向いた作品だと思います。
――『Godzilla vs. Kong』については、監督の口から何も話せないと思うので、この機会にマシ・オカさんが期待することを伝えていただけるでしょうか。
オカ:僕を映画に出してください!
ウィンガード:ハハハ! じゃあ、ゴジラを演じてもらおうかな(笑)。
オカ:スーツアクターね。やりますよ!
――それは楽しみです(笑)! 本日はありがとうございました!
ハリウッドで実写映画化!『Death Note/デスノート』予告編(YouTube)
https://youtu.be/65FBJXY-EOw
Netflix公式サイト:
http://www.netflix.jp
Netflixオリジナル映画『Death Note/デスノート』
8月25日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
<メイク>
監督:寺田英美
マシ・オカさん:山田くによ
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