弁護士流 分かりやすい文章を身につける方法

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 ビジネスの現場では、報告書やメール、各種試験の論文試験など、実用文の文章力が必須です。正しく意味を伝えなければ認識に齟齬が起きてしまい、仕事もスムーズにいかなくなります。

 しかし、ひと言に文章力といっても、どう勉強すればいいのか分からない人も多いでしょう。どうすれば文章力を上達させることができるのでしょうか。

 数ある業界の中でも、特に文章の意味を正しく伝えることが要求される司法界。

 その現場で、弁護士として活動する木山泰嗣さんが執筆した『弁護士が書いた究極の文章術』(法学書院/刊)は、判決文を参考にしたまさに新しいタイプの「文章読本」です。

 ここでは全28のヒントの中から、3つのヒントをご紹介します。

■大事なことは繰り返す

 自分が伝えたい箇所は、文章の中に一つで十分。そう思っている人はいませんか?

 読み手は、あなたの書いた文章を精読してくれるとは限りません。忙しいなかで、大量の書類の一枚として、さっと読む程度かも知れません。書き手は読み手の環境を完全に選ぶことはできません。だから、できるだけ読み手に負担をかけないように、読みやすい文章をサービスして書くようにします。

 そのサービスのひとつがリフレインです。「大事なことなので、もう一度いいます」というフレーズがありますが、同じ言葉を繰り返すことによって重要度が高まるのです。

 ただ、同じ文章を二回続けて書くべきではありません。ひとつの文章全体のなかで、言いたいことを何回か繰り返します。冒頭、各章の小活、そしてまとめ。このように繰り返せば、読み手に言いたいことが自然と伝わるのです。

■一文は短くする

 小説を読むと、やたらと一文が長く書かれている文章を見かけます。しかし、読み手に物事を伝えることが第一である実用文では、基本的にNG。一文を短くするのが賢明です。

 どうして長い文章がいけないのでしょうか。それは、主語と述語の関係が不明瞭になるからです。「○○が××した」という、いわゆる単文のほうが分かりやすいのです。

 なお、木山さんは「実用文では、意味があって一文が長いことがある」と述べます。それは、物事を明確にしたくない場合。また、解釈の余地を残したい場合です。だから裁判所の判決文は、評釈されるため長く作られているのです。

■事実と意見を区別する

 「客観的な事実」とは、だれがみても動かしようのない事実のこと。「主観的な意見」とは、その事実を前提とした書き手自身の考えのことです。

 しかし、文章の中には「事実」と「意見」を混同して書いてしまっているケースがあります。そうなってしまうと、個人的な考えが入り込んで事実が歪んでしまいかねません。文章を整理するためにも事実と意見は完全に区別すべきです。

 現在はソーシャルメディアなどを通して、ビジネスパーソンとして個の情報発信が欠かせない時代になりました。そんなとき、誤解を招くような表現をしてしまっては命取りになってしまう可能性もあります。文章力はメールや報告書だけといった直接的なビジネスシーンのみならず、様々なシーンで必要となっているのです。

 本書には、他にも接続詞の使い方や文体、文章の構成などのヒントがつづられており、自分が出来ていないと思うところから重点的に読むことが可能です。

 まずは自分の文章を見直し、それから文章力を身に付けてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)



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