2ちゃんねるがなくなると日本のオタク産業が壊滅するという少し大げさなお話
ここ最近、“警察vs2ちゃんねる”のやりとりが激しくなってきており、警察の『2ちゃんねる』つぶしの動きが手に取るかのように分かるわけなのだが、果たして『2ちゃんねる』はこのままつぶしてしまっていいのだろうか。
巨大なコミュニティの存在
『2ちゃんねる』は1999年に西村博之氏により公開された巨大掲示板群。「板(いた)」と呼ばれるスレッドの集合体があり各「板」にはジャンル毎のテーマが設けられている。ゲーム、カメラ、トイレ、育児など生活に関することから遊びや趣味に関することまで網羅されている。ここで得られる情報はユーザーによるホンネの投稿により成り立っているので、正確な情報が得られる場合もある。
「例えば○○の製品は良いのか?」と聞いたらほかのユーザーが、良いところと悪いところをガチの書き込みで投稿してくれるわけだ。広告で成り立っている媒体の商品紹介とは異なり、ユーザーの生の声が見られるため、オタクだけでなく主婦や若い女性、年配の男性が使うことも増えてきている。
中でも最も活性化しているのは、オタクジャンルではないだろうか。アニメ、ゲーム、マンガなどのジャンルのテーマは『2ちゃんねる』で数多くまとめられており、即レビューされるほどである。ほかのジャンルでは見られないほどの熱気がこれらのジャンルにはあるのだ。こういったジャンルを支えるのが『2ちゃんねる』とまで言うのは大げさだが、なくなったらそれはそれで大問題なのではないだろうか。
世間に与える影響
『2ちゃんねる』が世間に与える影響はいかほどなのか? みんながよくご存じのもので『電車男』があるだろう。あれは2ch発祥の書き込みがドラマ化、映画化され大きな話題となった。その影響からか舞台となった秋葉原にも経済的効果を生んでいる。
そのほかでは『O-Zone(オゾン)』の国内社会現象の火付け役動画となった『のまねこ』である。2chのAAキャラクター「モナー」や「モララー」などモチーフとして作られた動画がネット上で公開されたちまち話題になり、それを知ったレコード会社が国内用にCDをリリースする運びとなった。動画のキャラクター関連で少し騒動もあったが、それも2chらしい。
仮になくなったら
『2ちゃんねる』は公開から10年以上が経過している。今まで『2ちゃんねる』独特の文化や用語が育ち、更にはイベントまでも行ってきた。そんな『2ちゃんねる』が急になくなると、行き場のなくなったオタクたちはほかの場所を探すだろうか。実際そのような行動をとる者はごく一部と言えるだろう。
同時にアニメ、ゲームといった産業の話題も途絶える事となる。少し極端な話だが、日本のオタク文化が一気にシャットダウンされてしまう可能性もあるのだ。同時に『2ちゃんねる』の書き込みを引用している、大手まとめブログの数々も更新が途絶えることとなるわけだ。これが最も痛いのではないだろうか。
散り散りになったオタクユーザーはSNSや『Twitter』などの新たなコミュニティを探すしかなくなるが、意欲もなくなり投稿も激減すると予想できる。
2ちゃんねるがなくなったらどこに行く? アンケート
では皆は『2ちゃんねる』がなくなったら、どこに行くのだろうか。先日1000人を対象にアンケートを採ったのでその結果をご覧頂きたい。
1位:したらば掲示板やその他の匿名掲示板に行く 343 (34.3%)
2位:「これが日本なんだ…」とあきらめる 95 (9.5%)
3位:Twitterに行く 58 (5.8%)
4位:ニコニコ動画に行く 58 (5.8%)
5位:SNSに行く 39 (3.9%)
6位:自分で新たに作る 33 (3.3%)
7位:警察に抗議する 26 (2.6%)
8位:ネットを引退する 24 (2.4%)※上位8件 追加項目は除外
1位は「したらば掲示板やその他の匿名掲示板に行く」という回答だ。似たような掲示板はいくつもあるが、したらば掲示板はライブドアが買収し現在も運営している。
2位は「『これが日本なんだ…』とあきらめる」という消極的な回答。
3位、4位、5位は「Twitterに行く」「ニコニコ動画に行く」「SNSに行く」というほかのコミュニティへ移るという回答だ。
役に立つ情報も沢山
『2ちゃんねる』に依存していない人はそれほど困らないらしい。しかし中には毎日スレッドのチェックをしたり、依存とまでは行かないがスマートフォンで暇つぶしで『2ちゃんねる』を見たりと楽しみ方は様々だ。その中で自由な発言ができるため人が多く集まったのだろう。
今回は「オタク産業」と書いたが、『2ちゃんねる』で扱っているジャンルはオタクジャンルだけではない。生活情報や歴史、文化など役に立つ情報が山の様にある。たった一つの薬物の書き込みのせいで『2ちゃんねる』全てがつぶされてしまうのはもったいなさ過ぎである。
※この記事は、ゴールドラッシュの「ソル」が執筆しました。[リンク]
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