夏は尿酸値が上がり痛風になりやすい季節 – 対策で大切なことは

夏は尿酸値が上がり痛風になりやすい季節 – 対策で大切なことは

尿酸が高いことによる痛風

高尿酸血症(基準値は、男性 7.0 mg/dL以下、女性 6.0 mg/dL以下)が持続すると、尿酸塩(針状)が体内組織に沈着して、関節に沈着すれば急性関節炎、腎臓に沈着すれば間質性腎炎、尿路結石、皮膚に沈着すれば皮下結節を生じます。
高尿酸血症の原因としては、腎や消化管からの尿酸排泄現象が関与しています。
尿酸はプリン体の最終代謝産物であるので、痛風は核酸(プリン体)の豊富な食物の過剰摂取により生じます。
血液中で尿酸が高いことを高尿酸血症。
体内組織どこかで結晶化すれば痛風。
急性関節炎を痛風発作といいます。
混同しないようにしましょう。

尿酸が高いと、痛風発作が起こりやすい

血液中で尿酸値が上昇すると、結晶化(尿酸塩ができやすい)しやすくなります。
結晶化は、主に関節で起こりやすく、足の親指の付け根などが有名です。
関節で結晶化した尿酸は異物と判断され、白血球(好中球など)により貪食され、炎症が起こります。
その炎症は、ものすごく痛く、患部も腫れあがり、急性痛風性関節炎を発症します。
発作時、患部に風があたっただけで痛いことから、痛風発作と呼ばれています。
経験した方なら、うなずいていることでしょう。
尿酸値が8.0mg/dLを超えると、いつ痛風発作を発症しても不思議ではない状態になり、一度発症すると再発の可能性が高くなります。

高尿酸血症はどうして起こるのか?

高尿酸血症は尿酸産生過剰もしくは尿酸の排泄障害で起こります。
尿酸は消化管への排泄および腎臓で濾過され、尿中に排泄されます。
産生が多くなり、排泄が少なくなれば、血液中では尿酸値が高くなるのです。

もともと腎臓を介しての尿排泄が多いと考えられ、尿酸と呼ばれていますが、最近の知見では、消化管からの尿酸排泄障害が高尿酸血症や痛風に関与していると言われております。
直接的に、消化管排泄された尿酸値を測定する手段が今のところないのが現状ですが、それは遺伝子に左右されることも分かってきました。

脱水が尿酸値を高くする

夏は、気温が高くなり汗をかきます。
汗をかくと体内の水分は失われます。
水分不足になると、消化管や尿への尿酸排泄が低下します。
尿酸の排泄が低下すると血液中の尿酸濃度は高くなります。
痛風発作は中年男性に圧倒的に多いのですが、例えば、夏にゴルフに行ったとします。
運動をして汗をかきます。夏ですので、とくに汗の量も多いです。
お昼に生ビールもおいしいことでしょう。
場合によっては、反省会として夕食においしいものを食べながら、また、お酒がすすみます。

ここで、体内水分と栄養摂取をポイントに考えてみましょう。
運動や暑さにより汗をかき水分が多く失われ、アルコール摂取によりさらに水分は失われます(アルコールは体内で分解されるときに水を必要とします)。
さらにプリン体の多い、栄養価の高い食事をとります。
これは、体内の尿酸の産生過剰と水分不足による尿酸排泄障害のオンパレードです。
そして、夜中に足が痛くなってくるのです。

対策で大切なことは?

もう、お分かかりかと思いますが、十分に水分を摂取しましょう。
ただ、水だけを飲用しても吸収効率が良くありません。
体内への水分吸収は、糖分とナトリウムが必要ですので、スポーツドリンクが簡単で良いでしょう。
また、プリン体過剰摂取も気をつけなくてはなりません。
肉類(レバー)や干物や鰯、鰹などのプリン体の多い食材は控えましょう。
野菜やきのこ、海藻類など、尿をアルカリ化する食材は尿酸の排出を助ける働きがあるので、積極的に摂りましょう。 

(及川 寛太/内科医)

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