ワタナベマキ流“作りおき”のコツは? 料理の本棚チームで座談会をやったら勉強になった!

シンプルな調理法と調味料で、びっくりするほど美味しい野菜レシピを手際よく生み出すワタナベマキさんと、レシピブック「料理の本棚」シリーズの編集担当Wと一緒に、座談会形式でお届けします。テーマはもちろん、ワタナベマキさんの新刊『ひとつの野菜で作りおき 色のきれいな5色の副菜100』

“ひとつの野菜”だから、買い物に行かなくても「あ、今これ作れる」が見つかる

編集担当W 使う野菜、調理法、調味料……。作りおきって、ついつい毎回同じようなものばかり作っちゃうんです。そんな自分の凝り固まっていた部分を、あぁこういう使い方もあるんだ〜って、マキさんのレシピによってほぐされた感じです。

ワタナベさん 例えば3本のナスを買ったけど、1本しか使わなくて2本余っちゃった、なんてことよくあると思うんですよ。でもナスさえあればちょっとしたものがパパっと作れるんですよね。

広報担当I 冷蔵庫にナスしかないとき、買い物行かないと何もできないーっ、てなりがちですもんね。

ワタナベさん アレも買ってコレも買って、とやってたらちょっと大変ですし。最後には、あーアレも残ってる、あーコレも食べなきゃ、てなっちゃうでしょう?(笑)

編集担当W 確かに!(笑) この本の中で、マキさんが実際によく作るレシピってありますか?

ワタナベさん  「焼きパプリカのはちみつレモンマリネ」「いんげんの山椒じょうゆ漬け」はよく作りますよ! 山椒はこれからが季節なのでいいですよね。

作りおきを侮るなかれ!突然のお客様への「おもてなし」にも使える

ワタナベさん あと、ブロッコリーを半分茹でて食べたけど半分残ってしまったときは、じゃこと一緒に炒めて「ブロッコリーのじゃこ炒め」にしたりも。すごくシンプルな料理ですが、突然お客さんが来たときでもササッと作って出せちゃいますよ。

編集担当W 作りおきが「おもてなし」にもなるわけですね!? たとえば「グリーンアスパラガスのマスタードマリネ」なんかは華があるので、おもてなしにはぴったりですね。縦に切るって、オシャレ〜。

ワタナベさん 縦に切れば1本丸まる食べられるから、先っぽがいい、下は嫌ってみんながケンカしないですむでしょう?(笑) 

広報担当I 確かにー!たい焼きも同じ問題が勃発しますよね(笑)。それにしても、ひとつの野菜でパパっとオシャレな作りおきができて、さらにそれが野菜の色別に分けられていて、忙しい人にとってはありがたいです。

「酢」「油」「塩」は日持ちと美味しさのポイント

ワタナベさん 保存する上で「酢」「油」「塩」って絶対かかせない調味料なんですね。この組み合わせや使い方を覚えたら、必ず美味しくなりますし、どんな野菜にも応用できますよ!

広報担当I 「酢」「油」「塩」はどんな種類を揃えておくのが良いでしょうか?

ワタナベさん 初心者だったらまずは普通の米酢。油はごま油かオリーブオイルがあれば、美味しくできますよ。あと私は「ナンプラー」が大好きなのでよく使っています。魚を発酵させて作る魚醬で旨味が強いから、茹でた野菜にナンプラー、レモン汁、オリーブオイルをかけると、それだけですーっごく美味しくなる。

編集担当W この本には、五香粉(ウーシャンフェン)とか花椒(ホワジャオ)も載っているけど、ちょっと上級に感じる人は、ナンプラーや塩、オリーブオイル、米酢といった調味料で作れるレシピから試してみて欲しいですよね。それがあれば、何品も作れちゃいますから。マキさんは塩は、沖縄の「粟国(あぐに)の塩」をおすすめされてましたよね。

野菜はサッと茹でるかクタクタに煮るか、二択!

広報担当I ついつい野菜を茹で過ぎて、美味しくなくなっちゃうときがあるんですが……。

ワタナベさん 「茹で加減」は結構大事。クタクタになるまで煮るか、歯ごたえを残してサッと煮るか、どっちかにします。例えば、玉ねぎはサッと茹でてシャキシャキっとさせた状態で食べるのも、逆にしっかりクタクタに煮て食べるのもどちらも美味しいですよね。野菜は中途半端に茹でるのが一番美味しくない。ただし、カリフラワーやブロッコリーは歯ごたえを残したい場合が多いのですが。

広報担当I ブロッコリーを茹ですぎてボロボロに崩れてしまったこと、何度もあります。こうなると美味しくないし使いみちに困るんですよね(笑)。

ワタナベさん そういうときは、粗くみじん切りにして茹でたじゃがいもを一緒に混ぜて、サラダにするのもいいですよ!

編集担当W それは美味しそう〜! この本のレシピは全部、材料もシンプルだし、工程もシンプルですけど、あえてポイントがあるとしたら?

切り方を変えると、野菜の味も変わります!

ワタナベさん やはり「切り方」ですね。野菜をせん切りにするとか、輪切りにするとか、太めに切るとか、それだけで食感も味もだいぶ変わってきます。例えばナンプラー、酢、油という同じ調味料を使って、にんじんの切り方をせん切り・輪切り・ピーラーで削ぐという3種類に変えると、全然味が違うことに気づくと思います。そういう楽しみ方もありますよ。

広報担当I 同じ味付けでそんなに違うんですか!? なるほど、すぐ自宅でやってみよっと。

編集担当W こんなにシンプルに何種類も作れるなら、おつまみやお弁当にも使いたいし、サンドウィッチの具材にも使えるかな?

広報担当I マキさんのレシピは大人っぽいので、お酒にも合いそう〜!

ワタナベさん よく言われます(笑)。

編集担当W この間、ポットラックパーティに持っていったらすごく喜ばれましたよ。「これ、作りおきのレシピブックからなんだよ」と言うと、皆「えーっ!?」てすごく驚く。

ワタナベさん 野菜がおいしい季節なので、この本のレシピで「あ、野菜食べたーい!」って思ってくれる人がいたら、すごく嬉しいなーって思います!

広報担当I はい。今、野菜をすごーく食べたい気分です(笑)。どうもありがとうございました!

《NEWS》
著者のワタナベマキさん、この本のスタイリングを担当した佐々木カナコさん、料理家今井ようこさんの3人のお店「STOCK THE PANTRY」が6月上旬、世田谷の上町にオープン予定!
Instagram @stockthepantry

料理の本棚『ひとつの野菜で作りおき 色のきれいな5色の副菜100』[リンク](立東舎)
著者:ワタナベマキ
定価:(本体1,360円+税)

ワタナベマキ PROFILE
グラフィックデザイナーを経て、2005年「サルビア給食室」として料理家活動をスタート。旬の食材の持ち味を生かした、シンプルで作りやすいレシピが好評。自然体のライフスタイル、ファッションも人気で、雑誌や書籍、テレビ、イベントなど幅広く活躍中。デザイナーの夫、小学生の男児との3人暮らし。近著に『食材2つでささっとメインディッシュ』(主婦の友社)、『漬けるおかず』(世界文化社)などがある。

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