野菜の栄養、茹でるとなくなるは本当?茹で野菜のメリットを紹介

野菜の栄養、茹でるとなくなるは本当?茹で野菜のメリットを紹介

簡単な調理方法や下ごしらえとして、多くの人が活用している「茹で野菜」。手軽な反面、「野菜の栄養が出ていってしまうのでは?」 と気がかりな方もいるようです。もしかして、野菜を茹でると栄養がなくなってしまうから、食べるなら生がいちばん!と思っていませんか?野菜を効率良く、たくさん食べるために、まずは茹でることによる栄養の変化について知っておきましょう。

栄養素がすべて流れ出てしまうわけではない

栄養素がすべて流れ出てしまうわけではない

野菜を茹でると栄養素がほとんどなくなる、というのは誤りです。茹でることで流れ出るのは、主に「水溶性ビタミン」のこと。ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2などがこれにあたります。このほか、カリウムも水に流れやすい成分です。

では、茹でることで、これらの成分はどのくらい減ってしまうのでしょうか。
ほうれん草を例に、減りやすいといわれるビタミンCの残存率を、茹で時間別に見てみましょう。

ほうれん草の茹で時間と、ビタミンC残存率

生のほうれん草が含むビタミンCを100%とすると、
茹で時間1分で残存率は74%、
2分で残存率は61%、
3分で残存率は48%、
5分で残存率は40% に減少する。

これは、ビタミンCが水溶性なのに加えて、実は熱にも弱い性質のため。ただし、おひたしを作るときの茹で時間は、沸騰したお湯に茎から先に入れて1分前後ですから、さほど減らないことが分かります。また、ビタミンB1、ビタミンB2も茹でると多少失われますが、熱には強いためビタミンCほど残存率は低くなりません。このため、洗うときや切った後に水に浸けすぎないようにしたり、小分けして茹でて加熱時間を短縮したりと、調理時の工夫で流出を少なくとどめることができます。

実は、「茹でて食べる」は効率が良い調理法の一つ

実は、「茹でて食べる」は効率が良い調理法の一つ

ところで、もっと野菜を食べようとする場合、生野菜(サラダ)を摂るのもひとつの方法ですが、みずみずしい野菜の食感は楽しめるものの、量を摂るという点では非効率な場合もあります。実はほとんどが水分のため、カサのわりにそれほどたくさん食べることができていないのです。

そこでおすすめなのが加熱調理。なかでも手軽な茹で野菜は、野菜のカサが減り、たっぷり食べられるようになります。特に、葉もの野菜はぐっとカサが減るので、茹でておひたしや和えものにするのが賢い食べ方といえます。

茹でたときの重量変化率(※)

キャベツ…89%
小松菜…88%
ほうれん草…70%
豆苗…65%

生の食品を「100」とした場合に、どれくらい重量が変わるかの割合を示したもの。キャベツの場合、可食部100gを茹でると89gになるということ。

茹でた場合、野菜によっては生の3~5倍の量を食べられます。生の千切りキャベツをお皿いっぱい食べるのは簡単ではありませんが、おひたしや温野菜なら食べやすいですよね。

茹でたブロッコリー

「茹でる」という調理法には、油を使う調理法に比べ、アクやくさみが取れてしっとりした食感になり、野菜嫌いの子どもが食べやすくなるというメリットも。また、油を使わないので、料理のエネルギー量(カロリー)を抑えられるところも重要なポイントです。手軽に1品加えたいときには、おひたしや和えものをプラスすれば、食卓の彩りも豊かになります。

最後に

野菜を効率良く食べる方法として、積極的に活用したい茹で野菜。なるべく短時間で、というポイントを忘れず、上手に取り入れながら、食卓の彩りに役立てていきましょう。カゴメ 「野菜と生活 管理栄養士ラボ」

カゴメ 「野菜と生活 管理栄養士ラボ」

カゴメ管理栄養士による、「食と健康」に関するコンテンツを開発・提案する専門チームです。カゴメがトマトを中心とする野菜の研究活動で培った知見、小売店、中食・外食業態を展開する企業向けの営業活動で培ったメニュー開発・提案力を活かし、「健康セミナー」や「メニューレシピ監修」など日々の健康づくりにお役立て頂けるコンテンツを開発し、提案致します。

最終更新:2018.07.02

文:齊藤カオリ
写真:Getty Images
監修:カゴメ 「野菜と生活 管理栄養士ラボ」
参考文献:『七訂食品成分表2016』香川芳子監修(女子栄養大学出版部)
出典:愛知県栄養士会 ベジタブルランド

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