1日でも早く「仕事ができるようになる」ための3つの質問

12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)。その著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第11回の今回は、「仕事ができるようになるために必要なこと」についてです。

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こんにちは。俣野成敏です。

春と言えば、新入社員が入ってきたり、部署異動があったりと、何かと人が動く季節ですね。この時期になると、先輩社員は後輩を迎える準備に余念がありません。

一方、迎えられる側としては、「新しい環境でうまくやっていけるか?」「仕事に追いつけるか?」といった疑問で不安になっているのではないかと思います。

そこで今回は、そうした新米の方向けに、どのような点に気をつけながら仕事をしていけばいいのかをお伝えしたいと思います。

やり方を真似するだけでは、「真の仕事」に到達できない

私は以前、セミナー受講生から以下のような質問をいただいたことがあります。

「私は、メーカーでエンジニアとして働いている入社2年目です。技術職のためか、これまでは主に派生業務ばかりをやらされてきました。最近になって、ようやく先輩方と同じ業務を行うようになったところ、それまで内心『あまりパッとしないな』と思っていた先輩が、急にすごい人に見えてくるようになりました。1日も早く仕事を覚えようと頑張っているつもりですが、自分が成長している実感がありません。早く先輩のようになるには、どうすればよろしいでしょうか?」

通常、人は新しい環境へ行くと、一刻も早くそこに順応しようとします。ですが、ここで仕事を覚えることばかりに気を取られていると、表面的なやり方を模倣するだけに終始しがちです。

仕事は「覚えてからがスタート」と知る

多くの人は、「仕事を早くこなせるようになる」ことがゴールだと思っています。しかし本当の仕事とは、「そこからがスタート」です。

ご質問の方のように、「先輩がスーパーマンに見える」というのは、とても幸せなことと言えます。なぜなら、そこには「学ぶ理由」があるからです。大事なのは、むしろ仕事に慣れて、先輩が「普通の人」に戻ったあと。それは自分が成長した証ですが、ここで慢心して力を抜くことなく、次の新しいチャレンジを取りに行くことが大切です。

先輩の後ろについて学んでいる今の状態では、成長の実感を持ち難いのはムリもありません。このような時にもっとも大切なのは、まずは実務の習得を通じて、仕事の基礎を学ぶことです。ここで言う基礎とは、仕事に向き合う姿勢や考え方のことを指します。ここを押さえられれば、仕事内容がどう変わっても、応用範囲は無限大となります。

仕事に対する姿勢や考え方は、一朝一夕で身につけられるものではありません。それを身につける方法としては、たとえば仕事のできる先輩がどのように業務を行なっているのかを、よく観察することです。

技は完成形を盗むものですが、姿勢や考え方を学ぶのに一番良いのは、その先輩が「いけていない時にしてきた苦労」です。可能であれば先輩にお時間を頂戴し、「修行時代にどのようなことにこだわっていたか?」をインタビューしてみると良いでしょう。

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「仕事の本当の意味を知る」ための3つの質問

それではここで、私が新しい仕事を始める際に、いつも自分に問いかけている「3つの質問」をご紹介したいと思います。私はいつも、以下の3つの視点から仕事を見るようにしています。

1、そもそも、この仕事は(今もなお)本当に必要なのか?

2、この仕事は、誰のためにどのように役立っているのか?

3、「自分ならでは」の付加価値とは何だろうか?

なぜ、これを自分に問うのか、また万一、問わなかった場合はどうなるのかもお伝えします。

まずは1番の「この仕事は(いまもなお)本当に必要か?」を自分に問いかけることによって、その仕事が組織にとって必要なものなのかどうかが見えてきます。

多くの人にとって、仕事とは毎日同じことの繰り返しです。ところが、実際のマーケットは常に動いており、会社もそれに合わせて日々、変化しています。変化すれば当然、社内では新しい仕事が生まれ、代わってそれまでの仕事が不要となります。

にもかかわらず、人は意識しないでいると、今までの仕事をそのまま惰性で続けようとします。そのことに気づくためには、意識しなければなりません。そのための質問がこれなのです。

人は、意識しないと容易に目の前のことに流される

次に2番目の「誰のためにどのように役に立っているのか?」ですが、これを自らに問いかけることによって、仕事に対する心構えがブラッシュアップされていきます。それと同時に、もっとも重要な「仕事における貢献」の部分にフォーカスが当たるようになります。

言わずと知れたことですが、私たちが仕事をしているのは、お客さまのためです。これは当たり前のようでいて、実際は常に意識しておかないと、人は容易に自分中心的な考え方に陥ってしまいます。あなたの周りにも、自己満足に陥って「仕事をしたつもり」になっている人や、「こんな上司のために働きたくない」などと文句を言っている先輩などがいませんか?そういう人たちと同じにならないようにするための質問なのです。

仕事で他人に貢献することによって、その貢献が評価になり、評価が報酬になり、報酬がやりがいへとつながります。世の中には、貢献もしないうちから「報酬」や「やりがい」を求める人が多くいますが、それでは本末転倒というものです。

続いて3番の「自分ならではの付加価値とは何か?」を自分に問い続けると、自分の強みが見えてきます。自分の強みが見えてくれば、仕事にもやる気や責任感が生まれ、創意工夫をすることが楽しくなります。逆に、この質問を自分にしないでぼんやり仕事をしていると、上司からの指示待ちの時間が増えたり、指示以下の仕事しかできなくなったりします。

同じ仕事をするのであっても、これらを意識するかしないかで、仕事のアウトプットの質が大きく違ってくるのです。

自分への質問が「自分を変える」

この3つの質問を自分にし続けることによって、「誰のための」「何のための仕事なのか?」を見失うことがなくなり、少しずつ行動のズレもなくなっていきます。この質問によって、浮かんだアイデアを書き留めておき、それを次の行動に活かしていくと、やがては自分にしかできない仕事が増え、「替えの効かない」人間になっていきます。

日々の変化は小さくとも、積もり積もれば大きな変化を呼び起こします。ぜひ、この3つの質問を紙に書いて目のつくところに貼り、定期的にご自分に問いかけるようにしてみてください。きっと良い効果をもたらしますよ。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が11刷となっている。著作累計は34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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