職場の「年上女性」にウンザリ…どう対応すべき?
「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、現在では結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん(川崎さん執筆の過去記事はこちら)。そんな川崎さんが、「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に、優しくも厳しくお答えするこコーナー。第一弾は、年上女性とのコミュニケーションに悩む女性からのお悩みです。
<今回の相談内容>
同じ部署の、40代の女性上司とのコミュニケーションに悩んでいます。その方は感情的なところがあり、その時の気分や人に対する好き嫌いで対応が変わります。一番憂鬱なのは毎月のランチ会です。ランチ会では部署の女子で集まり、プライベートな話までしなければなりません。彼氏ができた、結婚する、などは、一番先に彼女に報告しないと気分を害してしまいます。また、他の人の悪口を私に言ってくることもあり、どう対応したら良いのかわかりません。
(27歳・メーカー・女性)
回答者:川崎貴子
1972年生まれ。埼玉県出身。
1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。2017年3月に同社代表を退任し、同年4月よりリントス(株)代表に就任。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子の為のハンティング・レッスン』『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』『上司の頭はまる見え。』『モテと非モテの境界線』がある。株式会社ninoya取締役を兼任し、2016年11月より、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。
<回答>
私は前職を含めると24年近く転職希望の女性達のキャリアカウンセリングをしてきたので、このようなお悩み相談は1,000件近く受けてきた自負がございます。ですから、「そんな会社やめてしまえばいい!」とは簡単に言い難い。私個人で1,000人も、そんな「立場は上司、精神年齢は女子高生」な困った人達を間接的に確認している訳ですから、実際にはその何十倍も、あえて言えばどの会社にも、程度の差こそあれ彼女たちは存在していると思われます。
では、女性の少ない会社や女性上司のいない会社に転職すれば良いのでは?とお思いになるかもしれませんが、「派閥を作るのが好きで、感情の起伏が激しく、人の悪口を言いまくる上司」って実は男性にも多いのです。ですから、下手をすると折角転職したのに新しい職場にも同じような上司がいる!という無間地獄になりかねません。
ここはひとつ、相談者さん自身がスキルアップをして、この面倒くさい状況を打破してみてはいかがでしょうか?転職するのはその後でも遅くありませんし、このような問題は職場だけじゃなく、結婚してからも、子供を産んでからも、ありとあらゆる人間関係の中で遭遇可能性が高いからです。
考えうる解決法を3つご紹介します。
【パターンA】「忙しい人認定」されるべし
この女性上司のような人は、自分以外の人も「噂話が好き」で「悪口を言うのが好き」だと思っています。ですから、ランチ女子会も「女子の結束を固めるためにやっている」という認識があるためやっかいなのです。学生の頃も見ましたよね。そんなボスのいるグループがひそひそやっているのを。そして、それを見てビクビクしたり仲間外れ感を感じたりしている人達も居ました。
思い出してほしいのは、「全く意に関さず、黙々と一人で勉強していた人」です。受験に向かってひたすら勉強している孤高の彼女は、人当たりは良かったけれど噂話には入らず常に勉強で忙しそうでした。「ガリ勉」と陰口を叩かれるもどこ吹く風で、皆に平等に感じが良いため、「あの人は別格」「勉強で忙しい人だから」と、巻き込まれないオーラを放っていた記憶があります。
手にすべきはそのオーラなのです。
私もOLの頃、上司や先輩の数名に大そう嫌われておりました。新人の癖に社員会に出ないし、今でいう社内の女子会めいた集まりにも「忙しくない時しか出ない」からです。でも大抵忙しいのです。私は起業したいと思っていたため、とにかく仕事を覚えたくて他の部署の仕事も知りたくて、社員が受けられる研修やテストも受けまくっておりました。結果、そのような先輩のお誘いも噂話の機会もことごとく「すみません。忙しくて。」でお断り。当然ですが、可愛がられません。陰口も言われまくっていたと思います(知らないけど)。でも、「先輩に可愛がられるためにこの会社にいる訳でもなく、私は起業するためにここの会社で仕事を学ぶんだ」と思っていたので気になりませんでした。
営業で結果を出すようになるのと、先輩たちが「川崎は変わってる。」と認定してくれるようになるのはほぼ同時でした。結果を出すようになってからは、女子会にも「来たいときにおいで」という感じで誘ってくれるようになり、私の夢を応援してくれる先輩も出てきて嬉しかった記憶があります。この成功体験から、私は未だに親戚づきあいもママ友付き合いも「忙しい人認定」されることにより「レアママ」と呼ばれ、良い距離感で多方面にお付き合いをさせていただいております。
「忙しい人認定」に合格する対策としては、嘘やフリではなく、「本当に忙しいかどうか」です。
これを機にキャリアの棚卸をして、何歳までにどんなキャリアを作ってゆきたいか?取りたい資格はないか?など、目標をゴリゴリに設定してみてはいかがでしょうか?
【パターンB】仕事と割り切って「赤べこ」になるべし
私の友人は、どこのグループに入っても波風立てないスキルをもっています。同調したり共感したりするのがとてもうまいのに、自分が知らない事は「知らなかった!」と言い、「嫌だな」と思った悪口などにはうまーく参加しないからです。上司や、悪口を言いたそうな人の、別の良い所を褒めたりしてとにかく話を変えるのが上手い。結果、彼女が参加するだけで陰湿な集まりにならず、彼女の年上の人達も気持ちよくなり、「今度の社員会で〇〇やりませんか?(笑)」みたいな前向きな話題が多くなるのです。
彼女ほどムードメーカーにならなくても、月に一回ならと割り切って、にこにこ参加しているというのもありだと思います。確かに職場の人間関係が良ければ仕事の効率も上がるという側面もあるので、「月に一回のお勤め」ぐらいの割り切りでやり過ごすのも手です。プライベートな話も、そんな時こそ「嘘も方便」。本当の事なんか言わなくてもいいし、逆に上司へ質問をいっぱいしてあげるといいのではないでしょうか?「ありがとうございます。参考になります。」って。
決してやってはいけないのは、言いたくもない悪口に同調する事です。
ネガティブな同調をしていると自分が嫌いになり、メンタルがやられます。また、質問されたからと言って不用意に自慢話をするのはやめましょう。悪口や派閥がすきな人達は常にハブる対象を狙っています。脇しめて、仕事と割り切って、参加するように致しましょう。
赤べこは同調しているのではなく、首をゆらしているだけですから。
【パターンC】女性上司を育てるべし
過干渉、支配的、感情的、派閥を好み、人の悪口が好き。
質問文を読んだ時、思わず「よっ!お局様!」と大向こうから声を張りたくなりましたよ。
ただ、私は女性上司たちを教育するコンサルティングの仕事を通じて、彼女達の不安や孤独を見聞きする事が多いのですが、「本当はどのようにふるまっていいか解らない。」と悩んでいるケースは多々あるのです。当然ですがこの女性上司の性格上の問題もあります。しかし、もう一方では女性上司のモデルケースは圧倒的に少なく、今でも不十分ですが昔は希少な存在でした。長い事、女性の管理職を育ててこなかった日本の職場では今やっきになってこれを取り戻そうとしていますが、今まさに上司になっている女性達はモデルケース不在の中、手探りで「女性管理職」を演じるしかないのです。本当はとても孤独で、同期の男性はとっくに出世していて、仕事を教えた新人はすぐにやめるし、そうすると男性上司に「やっぱり女はこれだから」って言われるし、若い女性社員と話さなきゃならないけど話題がないし、女性部下の面倒みろという使命だからランチ会やってるのに特別慕われないし・・・みたいな事を常に逡巡して、彼女は誰も喜ばないランチ会を開いているのかもしれないな、とも思ったのでした。あくまでも妄想ですが。
私が彼女と働く立場だったら、彼女の機嫌が良い時に発した何かのフレーズを思い出して、
「どうしてあのような考え方ができるのですか?あのフレーズ忘れられないです。」
など、「部下は上司のこういう言葉が嬉しいです。」を知らしめるために伝え、関連する質問をしたり教えを乞うたりしますね。そして、信用を得るようになった段階で、彼女が意味なく機嫌が悪くなった際に、「どうしたのですか?何か手伝いますので言ってください。トラブルですか?」と、「まさか私の慕う女性上司がこんなにも機嫌が悪くなったのだから、大事が起きたのであろう」というリアクションで彼女に伝える事でしょう。「意味なく機嫌悪いと部下は驚きますよ。」と。
この作戦に絶対に必要なのは、女性上司への「尊敬」です。
文面を読む限り、相談者さんがこの女性に尊敬をいただくのは厳しいかもしれませんが、できればもっと大きく捉えてみてください。私もOL時代に嫌な女性上司がおりましたが、でもそれでも、私たちが今仕事場でたくさんの権利を主張できるのはこの人たちのお陰であるという事は胸の内にあるのでした。それこそ、髪振り乱して頑張って、プライベートの幸せを諦めて出世していった女性達。彼女たちが屯田兵の如く開墾してくれなかったら、今の私達が享受している「キャリアもプライベートもお洒落もあきらめないで済む」「がんばれば女性でもチャンスはある」という社会にはならなかったことでしょう(あくまでも昔に比べてという意味で、未だ未だ不十分なところは多いのですが)。
個人的には「?」でも、先人には大枠の尊敬を持ってして当たると、動かぬ山も動きます。部下に上司を成長させる義務はありませんが、情けは人の為ならず。頭の固い先輩たちを言葉巧みに変化させ、未だ小さかった自社に投資させたり呼び込んだりしたかつての孫正義よろしく、自身が大きく成長できるチャンスと捉えてチャレンジしてみてはいかがでしょうか? →川崎 貴子氏の記事一覧
→川崎 貴子氏のプロフィール
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