綱引いてきちゃった
●綱引競技とは
簡単に説明すると、1チーム8人の選手で相手を4メートル引き込めば勝ちという至極単純な競技です。試合時間は無制限でクラスにより体重制限が設けられています。
クラス別とは言っても近年は男子は8人の合計体重600kg(ライトミドル級)、女子は500kg(フェザー級)の1クラスのみとなっています。
時間無制限とは言いますが、ほとんどの試合は1分以内から3分ほどで決着が付きますが、待ちが主体のチーム同士の試合などは4分を超える正気を疑いたくなるような試合になる事もあります。
運動会の綱引きと決定的に違うのは、地面と寝そうになるほど体を寝かせて引くその姿勢だと思います。
選手は他の他のメジャースポーツと同じように家庭や仕事、人生、その他諸々を犠牲にし日々鍛錬を詰んで綱引競技に臨みます。
試合はアシックス製の専用レーンマット(約100万円)、アシックス製の専用シューズ(約1万円)、厚手の生地で出来た綱引用ユニホーム(1万円超)、パワーベルトなどの保護着衣を着けて行われます。
綱引用シューズの靴底には溝が無く手入れをすることにより凄まじいグリップ力を発揮します。
綱は直径3.8cmほどの麻で出来た綱で、それを素手で持つ事になります。
手袋などの着用は不可ですし、Tシャツだけや薄手の服のでは綱で体に擦り傷が出来、そこから破傷風菌が入り死に至ります。
前7人の選手はプラーと呼ばれ、両手と脇のみを使い綱を引く役目です。
最後尾を努める8番目の選手をアンカーマンと呼びます。
アンカーマンだけはルールで決められた方法で綱を体に巻き付けて引くので体を保護する厚さ5cm以内のプロテクターを着用することが認められていますが、基本的にアシックス製(約1万2千円)か、それを改造した物しか認められていないようです。
かく言う筆者もアンカーマンで材料費と革縫製用の道具に数万円かけて革のプロテクターを作ったのですが公式戦では使えないみたいで大好きなお米を毎食1膳しか食べられないほどのショックを受けました。
アンカーマンはチームで一番カレーが好きで体重が重く体格の良い人がやる傾向にあります。
綱を食い込ませて肋骨を折ったり肋間筋を負傷したりするのが主な仕事です。
●反則行為
主な反則行為としては
・ロッキング
綱を手のひらだけでなく肘や膝や腿で挟み込みロックする行為
・シッティング
故意に床に尻をつけ座り込む行為
など11項目ほどがありますが、主に審判から指摘される反則はこの2つになります。
チームで合計3回の反則宣告で、そのチームは負けになります。
●綱引いてみないか?
現在、日本での綱引競技大会は社団法人日本綱引連盟が主体で運営されており、選手権大会に出場するためには綱引きチームに入るなり作るなりして各都道府県の綱引協会に協会費を納め選手登録する必要があります。
それ以外の大会への出場には選手登録する必要はありません。
基本8対8の試合ですが、より気軽に参加してもらうため6人制や男女混合の部などを設けるローカル大会などもよく開催されていたりします。
綱引きの試合は単純なようで実は奥が深く、ただ力が強ければ勝てる物ではありません。
正直、やってる人は頭が少しおかしいんじゃない? と思うほどキツイ競技ですが、勝利の喜びは他のスポーツ競技ではあまり得ることのできない物があります。
格闘技で相手を殴り倒した感覚に近いかもしれません。
いきなり試合するのは敷居が高いので、一度生で試合を見てはいかがでしょうか。考えている以上の迫力と面白さと滑稽さがあるかと思います。
来る3月4日(日)、東京の駒沢オリンピック公園総合運動場体育館において全日本綱引選手権大会が行われます。
当日は綱バカ達による熱い戦いを見られることでしょう。
そして、今年の秋には井上真央主演で綱引きを題材とした映画『綱引いちゃった』の公開が予定されております。
これを機に綱引競技がメジャー競技になってくれればと願ってやみません。
http://www.tsunahiki.jp/
綱引きをやっている女の子はみんなこんなかわいい子ばかりですよ。
ちなみに筆者は忘れもしない2007年の12月に友達から「明日綱引きの大会があるから見に来ない?女の子もいるよ!」と言われ、ホイホイ付いていったところ、「このシューズ履ける?」と、渡されたシューズを履いてみたら、「このユニホーム入る」と、渡されたユニホームを着てみたところ、「ちょっと試合に出てみない?」と、あれよあれよの間にマルチ商法や宗教の勧誘も真っ青な方法で綱引競技に引っ張りこまれました。
気がつくと綱引競技にどっぷりとはまり、先日の県選手権で準優秀となり全日本綱引選手権大会出場権を得ることが出来ました。
ただし前日に行われる特別予選会からの出場となるので本戦出場まで気が休まることがなさそうです…
※この記事はGAGAZINEさんよりご寄稿いただいたものです
ウェブサイト: http://gaagle.jp/gagazine/
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