暴対法、暴排条例は「自由の死」 作家・宮崎学らが反対声明

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「暴力の質が、警察のいう暴力から変わってきている」と宮崎氏

 作家・宮崎学氏をはじめ、ジャーナリストの田原総一朗氏、評論家・西部邁氏らが2012年1月24日、暴力団排除条例の廃止を求めると共に現行の暴力団対策法の改定に反対する共同声明を発表する記者会見を開いた。声明のなかで宮崎氏らは、暴力団排除条例を表現者としての存在理由を否定し、「『自由の死』を意味する」ものであるとした。

 会見では、”保守”の西部氏が暴対法、暴排条例を「過剰なアメリカ的民主主義の産物」とし、「世論がそちらに向いたらそれに従いましょう」という方法では少数派を排除することになると訴えた。一方、”リベラル”としてコメントした佐高氏は、「こういうもの(=暴対法、暴排条例)は無菌社会を予想している。無菌社会は極めて弱い」とし、考え方の出発点が「官僚的、エリート的である」と批判した。

■「”暴力”について変なことが起こっている」

 ニコニコ動画の七尾記者から「『暴力団』というワードが全面的に出ているがゆえに、根幹にある『自由の死』という問題が見えにくい。また、政治家がこの法令や改正案におかしいと思っても『暴力団排除』という言葉があるため表立って反対しにくい。この点をどう乗り越えるのか」と問われると、「僕もそういうことは気になっていた」という西部氏は、「暴力について変なことが起こっている。『暴力反対』と言うが、たとえば明治維新も暴力。徳川の法律が支配していた」とし、

「暴力団を礼賛する気は毛頭ないが、文明の進歩を一方で称えておきながら、不法の力としてのバイオレンスが巨大な力を発揮したことを認めておきながら、どうして目前のことになると黄色い声だけで済まそうとするのか」

と疑問を呈した。また、宮崎氏は

「ここ10年くらいの暴力の現場というと殺人事件になると思うが、(そのうち)50%台を常に保っているのは親族殺しや親子殺し。暴力の質が、警察の言う暴力の質から変わってきているのが現代の社会」

とし、暴対法や暴排条例は「まったくの的はずれ」であると述べた。

佐藤氏は治安維持法を例に挙げた

 さらに、会場を訪れていた元外交官の佐藤優氏は、コメントを求められると七尾記者の質問に触れ、

「Xという団体に加盟している人間と付き合いの人間は排除する。こういう法律がどういう風になるかを考えると、治安維持法がある。最初は(対象が)共産党だった。ところが死刑に加わって、それに対する労働運動、さらに宗教団体。最後には大本教のような国家権力に近かった宗教団体まで弾圧を受けた。私の皮膚感覚で言えば、かつてXは鈴木宗男とその一派だった。ああいったことはいつでもある」

と、戦前の治安維持法を挙げると共に、自身が鈴木宗男事件にからみ有罪判決を受けた経験をまじえて語った。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「自由の死という問題が見えにくい点をどう乗り越えるのか」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv78471932?po=news&ref=news#56:43

(土井大輔)

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