「東京・名古屋・大阪」でこんなに違う?!ビジネスの気配り

見知らぬ土地に行くと、自分の地元とは異なる文化に出会うことがあります。そんな文化や風習の違いは、ビジネスシーンにおいても存在しているようです。

そこで今回は、実際に「東京・名古屋・大阪」の三大都市に住んで、その土地ならではの「心を動かす気配りのツボ」を研究した、広告代理店マンとして3000人以上のVIPと交流した経験を持つ「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに話を伺いました。

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■カルチャーショックは武器になる

その地域の方たちが「意外と意識していない県民性」というものは確実に存在しています。

東京の人はスタイリッシュ、名古屋の人はブランド主義、大阪の人はグルメなどと一般的に言われるものの、実際に他県に足を運び人と接した際に、改めて違いを感じる場合があるものです。

抱いた違和感をきちんと武器にしていますか? デキるビジネスパーソンは、その気づきが武器になることを知っています。相手の文化や慣習にのっとった心遣いを仕掛ければ、「おっ、この人は自分のことをよくわかってくれている」と思わず心を許すものです。ビジネスシーンで「東京・名古屋・大阪」の気配りの違いを把握し、心遣いを仕掛けてみませんか?

■東京・名古屋・大阪の基本的傾向

私が実際に住んでみて感じた各エリアの特徴を挙げてみます。もちろん、業界による特殊性もあるかもしれませんが、ビジネスシーンで参考になるポイントがあるのでは。

東 京:東京には全国から人が集まっています。47都道府県の集合体であるため、多様な価値観の最大公約数的なものが好まれます。そのためシンプルで整然なファッションや行いがベター。また人付き合いは深入りせず、中立的な接し方が一般的です。

名古屋:地理的に日本の中心に位置し、経済圏にトヨタ自動車の本社があるためか、「日本を動かしているのは実は名古屋」と考えている人が多いように感じます。とはいえそれが世間的に認められていないこともあり、形あるものや世間の評価が定まったブランド品などを好む傾向が強いように思います。好きな言葉は「ど真ん中」。

大 阪:他人と快適に過ごすことを最優先するため、見栄や体裁より実を取る傾向に。組織特有の縦社会を苦手とする人が多く、個人あるいは小さな組織で働くのが好き。ざっくばらんで、気取りのない付き合いを好みます。

■「ビジネスファッション」における気配り

東 京:年齢・性別・職業を問わず、どんなTPOにも適しているシックな黒系のものを選ぶのがベター。

名古屋:誰が見ても「確かなものを着ています」とアピールできるブランド品を選ぶ人が多い傾向が。そのため、ブランドロゴが分かりやすく見えているファッションでも嫌味になりにくいようです。

大 阪:黄色、ピンク、赤、緑など華やかな暖色系を靴やネクタイなどのワンポイントに使うと好印象を与えられます。

■「企画書」における気配り

東 京:エコや無駄の削減に最大限配慮するため、企画書はデータを送付(持参)し、プロジェクターに投影する。プリントアウトは状況に応じて行います。

名古屋:企画書は見栄えを重視し、表紙の質感はもとより全体的な重量感にも気を配ると好印象。資料をつけ、企画書に厚みと重みを出すととても喜ばれました。

大 阪:エコに配慮するものの、基本的にプリントアウトする。ただし製本まではせず、シンプルにクリップで留める形式です。

■「何気ない手土産」における気配り

東 京:例えば「伊勢丹新宿本店」など、特定の場所でしか扱っていないような「希少なお菓子」が喜ばれる傾向にあるようです。

名古屋:1889年から続いている坂角総本舗の名古屋限定「ゆかり」黄金缶を、あえて「松坂屋名古屋店の紙袋」に入れてもらうと喜ばれました。なお、ご年配の場合は松坂屋への信頼が厚い方が多く、坂角総本舗の紙袋のままでない方が良いようです。

大 阪:阪神百貨店梅田本店地下1階にある大阪名物「いか焼き」が鉄板。冷凍いか焼きセットも通販しています。

■「接待の待ち合わせ時間」における気配り

東 京:19時30分がベスト。ただし就業開始が10時だったり、残業体質の会社がまだ多かったりするため、全員が集まるのは20時過ぎになる場合がある。そのため料理の配膳ペースに注意が必要。

名古屋:製造業が中心の土地柄のため、就業時間は8時台スタートの会社が多い。そのため19時スタートがベストです。

大 阪:大阪も東京と同様に19時30分スタートがベストのようです。ただし一日中開いている酒場も多数点在しており、16時という番外編も存在します。

■「オーダー」における気配り

東 京:店員さんに声をかける際、「フロア全体の和」を意識しないと、同伴者に恥をかかせることになります。そのため大きな声は出さず、あくまで店員に視線だけを送り、相手が気づくのを待ってから声掛けするとスマートです。

名古屋:東京と同様に、「フロア全体の和」を考慮しつつも、「自分の存在」をさりげなくアピールするといいかもしれません。軽く手をあげて、店員さんに存在感を示します。

大 阪:「同伴者の時間を節約する」ことを重視し、若干大きめの声で積極的に店員に声掛けして、注意を引くようにすると良いでしょう。

――ビジネスシーンの気配りにおいて、「東京・名古屋・大阪」という三つの大都市で確かに違いはみられます。これまでのやり方が当たり前と最初から決めつけず、「この土地の人は何を好むのだろうか?」と一度考えてみてください。味方をどんどん増やす人は「何となく気遣う」のではなく、意識的に相手の文脈にあった気遣いをビジネスに仕込んでいます。どうせなら、やればやるほど味方を増やす気遣いをしてみては。

心理学の「返報性の法則」のように、相手の重要感を満たせば満たすほど、相手も同じようにあなたを重要視してくれるものです。ぜひ気遣いを意識的に変えてみてください。たったそれだけで本当に信じられないくらい、いろいろなことがどんどんつながりはじめ、人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。

著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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