会社員だった僕が「3足のわらじを履く」に至るまでに意識した“3つのこと”
本業をしながら別の活動もしている、いわゆる「2足のわらじ」を履く人が増えているといいます。3年前まで会社員だった私も、会社員をしながら副業として他社のお手伝いもしていました。そしてその後、それだけではなく本を書いたり講演をしたりという「著者活動」も並行して行っており、現在では自社・他社・著者という「3足のわらじ」を履くに至っております。
今回は、そんな普通の会社員だった私が「3足のわらじ」を履くに至るまでに経緯について紹介させていただきます。その時に意識していた“3つのポイント”について、また「複数のわらじを履く」ことがどのように求められていくのかについて、解説させていただきたいと思います。
【ポイント1】「好きなこと」を徹底的に突き詰めた
「3足のわらじ」を履くに至るまでに意識したこと。まず1つ目に意識したのは、仕事のなかで自分がやっていることが「好きなことであるかどうか」ということです。
どんな仕事でも、向き不向き、好き嫌いがあります。そこで、まずは自分がどんな仕事が好きなのかを意識するようにしました。私の場合でいうと、「文字情報によって人を動かすこと」に昔からこだわっていたのです。
元々はコールセンターでメール対応を担当していたんですが、そこで「どうやったら相手を怒らせずに納得してもらえるか」「どうやったら満足感を抱いてもらえるか」といったことを密かに研究していました。結果的には、いわゆる「顧客満足度調査」でも高い評価をいただくこともできたのですが、とにかく「文字を書いて人を動かすこと」が好きだったのです。
それを自覚してから、さらにその部分を磨いていこうと考え、文章術の本を読み漁ったり、コピーライターの講座に通ったりもしました。磨けば磨くほどしっかりと結果に結びついていき、社内では「文字を書いて人を動かす」仕事を次々に担当するようになりました。
さらに、「文字を書いて人を動かす」ための最上の手段ともいえる「出版」の勉強もはじめ、2年後には著者としてデビューを果たし、「わらじ」を増やすことができたのです。
ポイントはやはり、「好きなこと」を徹底的に突き詰めていったことでしょう。
これが、「お金が儲かりそうだ」とか「みんながやっているから」というような理由でやっていたら、しっかりと力を伸ばすことはできなかったと思います。私の場合はたまたま「書くこと」でしたが、この部分は人によって千差万別だと思います。
極端な例ですが、私の知り合いに日々の通勤電車で「どうやったら座れるか」を考えることが好きで、毎日通勤途中に研究している人がいました。 その人は、研究に研究を重ねて分かったことを次々にブログで書いていったところ、徐々に人気を集めました。やがて「通勤電車で座る技術」という書籍の出版に繋がり、のちに映画化されたりもしたのです。
【ポイント2】「他人と同じこと」をしなかった
好きなことを突き詰めるうえで意識したのが、「周囲と同じことをしない」ということです。同じことをしない、と言っても「ボクは君たちとは違う道をいく!」などといってしまうと組織の一員としてはよろしくありません。そうではなく、“少しずらす”というイメージです。
例えば前述のコールセンターでメール対応を担当していたのも同じことです。コールセンターですから周囲はみんな電話対応を得意としていました。電話対応の上手い人が山ほどいるなかで、周囲と少しずらすことを意識し、みんながあまり得意としていないメール対応を磨いていったのです。そのおかげで厄介なメールが来るとすぐに「お願いします」と頼られる状態になりました。
この考え方は、マーケティングにおける「バリュープロポジション」というものにも当てはまります。バリュープロポジションというのは簡単に言うと以下の3点を満たすポジションです。
・自分が得意としている
・顧客が望んでいる
・競合とかぶらない
2つ目の「顧客」は、社内であれば「上司」や「組織」にも置き換えられます。3つ目の「競合」は「同僚」にも置き換えられます。このコールセンターでは、自分にとってのバリュープロポジションがまさに「メール対応」だったのです。
その後も私は、このポジショニングを意識して社内で仕事を続けていきました。
ホームページの担当者が社内にいないけれど、会社はホームページを新しくしたがっている。そこで、自分はホームページをいじるのが好きだから、アピールして担当者になれるよう働きかけたりもしました。
ソーシャルメディアをやらなければいけないという社内の空気があるけれど、「誰がやるんだ?」という状態になっている。プライベートでSNSを使いこなしている自分が手を挙げて、ソーシャルメディア担当になろうと働きかけたりもしました。
そういった動きを続けていくことで、“自分のポジション”を築いていったのです。そして、ある時にさらなるステップアップを図り転職の意思を伝えると、その会社から「継続して仕事を任せたい」と業務委託契約を打診されたのです。
転職先の副業規定が厳しくなかったこともあって、晴れて「わらじ」を増やすことに繋がったというわけです。
【ポイント3】「外」に出ていった
3つ目に意識したのは「外」です。まずは「外に出る」ということ。会社内の人ばかりと接点を持つのではなく、積極的に外に行きました。
尊敬する偉大な経営者たちは、口をそろえて「人が縁を連れてくるものだ」と言います。確かに、社外の人と知り合うほどに仕事のチャンスは増えていきました。
ただ、そんな時も「ひたすら名刺を配る」なんていうのはナンセンスです。「自分に何ができるのかを分かりやすくしておくこと」や「まず相手に貢献すること」を意識しなければいけないと考えるようになりました。
それから、前段でも触れましたが「外部への発信」も重要です。自分がやっていること、どんな強みがあるのか、といったことを積極的に発信していく必要があります。
どんなに優れた能力を持っていても、どんなに素敵な商品を持っていても、それを知られなければ“存在しない”ことと一緒です。幸いなことに、今は個人が発信するためのツールが山のようにありますから、これを使わない手はないでしょう。
ホームページを作ってブログ記事を更新する、FacebookやTwitterなどで積極的に情報を発信する、そういったことを継続していきました。そうすることで実際に、ブログやFacebook経由で仕事の依頼や執筆のご依頼をいただくことも増えていきました。
この国は、「わらじを履く」方向に舵を切りはじめた
前述した通り、わらじを履く際には「副業規定が厳しくなかったから」というラッキーな要因もありました。
ただ、今は世の中も変わってきています。先日新聞で、こんな記事が掲載されました。
“政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。”
具体的には、就業規則のベースとなる厚生労働省の「モデル就業規則」から、副業・兼業の禁止規定を年度内にもなくすというのです。
これまでは「原則禁止」という企業が多かったと思いますが、今後は国が「原則容認」に転換するということなのです。
これは非常に大きな動きではないかと思います。実際すでに副業を認める大企業も増えつつありますし、「副業先として弊社で働きませんか」という企業も出てきました。
まさに、「働き方」が変わる曲がり角。副業をするのが当たり前になる時代もすぐそこまで来ているのでしょう。
もちろん、副業を理由に本業がおろそかになってしまってはいけません。本業でもしっかりと結果を出しつつ、わらじをたくさん履けるよう自分を磨いて発信していくことが、今後より一層大切になってくるのではないかと思います。
【プロフィール】
原マサヒコ(ハラ・マサヒコ)
株式会社プラスドライブ代表取締役CEO
2010年、これまで神奈川トヨタ自動車の現場でメカニックとして成果を挙げた経験を踏まえて「カイゼン」関連の執筆や講演活動を展開開始。2014年の転職を機に、1社に所属しながら他社との業務契約を複数展開し、副業を拡大していく。
2015年3月にはライティングに特化したWEBマーケティング会社、株式会社プラスドライブを設立し、ソーシャルメディアを中心としたマーケティングにより、クライアント先の業績拡大や認知向上に貢献する。
会社を経営しながらも、引き続き企業内講演や全国の商工会、各地でのビジネスイベントに登壇しながら書籍も刊行し続けている。
著書に「トヨタの自分で考える力」(ダイヤモンド社)、「まんがで身につくPDCA」(あさ出版)、「トヨタで学んだすごい時短術」(かんき出版)などがある。
◆原マサヒコ公式サイト
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