実家は相続発生前に売り抜けろ!
実家を相続発生前に売るべきか?
高齢化社会の中、実家の相続で困る例が出てきています。
親が実家に住んでいて、死亡すると、10か月以内に相続税を納めなければなりません。10か月なんてあっという間、兄弟の中が悪かったり、後妻がいたりするなど家族環境が複雑な場合は、期限に納められないかもしれません。
また、親の財産が不動産だけのことも多く、納税用の現金も用意できないことだってあります。
そして、空き家問題に代表されるように、今の日本は価値のつかない不動産が増えてしまいました。
そこで、今回は相続前にも売り抜けるべき実家のポイントを挙げてみましょう。
このポイントに数多く当てはまれば、早いうちから実家の売却準備をしておくのが吉です。
相続前に売り抜けるべき実家のポイント
・実家が市街化調整区域にあるか
市街化調整区域とは「市街化を抑制するところ」言い換えれば農業をするところです。
市街化調整区域の家は、増築、大規模な改築のみならず、用途変更まで厳しく規制されています。
もし実家が田んぼの真ん中にあれば、市役所で市街化調整区域に該たっているか確認して、該当していれば売却が難しいことを覚悟しておきましょう。
・実家の相続人は3人以上か
実家の相続が起きると、配偶者と子供に均等に相続されます。
そして子供が複数ならさらに何分の1かになります。
そして、不動産の場合には相続人の共有の持ち物になるため、売却するにも相続人の数だけ実印が必要です。
現金や株式のように分割して分けることができません。
経験上、3人以上だと、兄弟の一人が遠方にいるとか、仲が悪いとか、そんな話になることも多いので、なるべく生きているうちに売却の心づもりをするのが吉です。
また、遺言書を書いたり、家族信託という方法もあります。
・実家の境界はちゃんと確定しているか
お隣さんと境界がはっきりしているかどうか、これはとても重要です。
境界がはっきりしないと、買う側も何を買っているかわからなくなるからです。
これも親が存命のうちに境界を確定させておくことが必要です。
・実家のまわりに「田んぼ」があるか
知っている人も多いと思いますが、農地の売買は農地法により厳しく規制されています。
農地の譲渡には、購入する人が農業できる知識と経験、資力があるかどうかまで農業委員会という公の場で担当者が説明し、他の委員に納得してもらう必要があります。
田舎暮らしにあこがれる「ぽっと出」が買えるようなものではありません。
また、今のご時世、田を購入しても全くといっていいほど儲かりませんので、買う人もほとんどいないのが実情です。
・自治会活動が強力な地域かどうか
自治会というと、もう80代のおじいちゃんが実権を握り、「法律よりも自治会の取り決めが優先だ」という戦前の考えで凝り固まっているところがあります。
こういう場所では、新しい住人とトラブルを起こすようなことになりかねません。
そのことが知られている場所では、売却期間も長期にわたることになります。
いかがでしょうか?「不動産」が「負動産」と言われる時代。
これらに当てはまれば、親が生きているうちに実家を売り物としていつでも出せるように、早いうちから考えておくのが適切です。
(中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士)
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