「仕事仲間と行きたい」心に残る東京の“鍋料理店”4選
鍋はちょっとしたイベント。できあがるのを心待ちにしながら、目の前でグツグツと煮えるさまを皆で楽しみます。しばらくして空腹が頂点に達した時にふたをオープン。その瞬間、たとえ口には出さなかったとしても、上司も部下も、同僚もライバルも、心の中で「おー、うまそう」と言っているはず。すべからく、おいしい鍋の前では皆平等になるものです。今回はそんな、参加者が立場を越えて親しくなれそうな”鍋力”が高い店を紹介します。
老舗の味に舌鼓、浅草一文の「ねぎま鍋」(浅草)
写真提供:浅草一文まるで霜降り肉に見える具材の正体はマグロのトロ部分。思わず生で食べたくなるトロを、江戸野菜の千寿ネギと一緒に煮るのが「ねぎま鍋」です。まず鍋の中にネギや白菜といった野菜を入れます。そこにトロの中でも脂が多いカマトロを思い切って投入、テンションが上がらずにはいられません。煮込まれていくうちに、トロの脂は出汁に溶け出していき、そのうまみがネギや白菜に移ります。
いつもは薬味に甘んじることが多いネギですが、大きくカットして味わうと、ここまで甘くおいしくなるのかと驚かされます。肝心のトロはといえば、こちらはホロホロに。とはいえ煮魚になってもそこはトロ、口の中でふわりと溶けるような感触は、他では得難いものではないでしょうか。
霜降り肉と見間違えるほどのトロを千寿ネギといただく気になる値段はメバチマグロを使った「江戸ねぎま鍋(2人前)」が3600円。本マグロを使った「上江戸ねぎま鍋(2人前)」が6000円。「ねぎま鍋のコース」は3000円からになります。さて、どうしてトロを煮るぜいたくな鍋ができたのか? 事の次第は江戸時代までさかのぼります。江戸の庶民にとってマグロはけっして高級魚ではなく、さらにトロは食べずに捨てる部分でした。トロは脂が多いためしょうゆをはじいてしまい、塩分を上げることによる保存が難しいので捨てたのです。それを何とか工夫して食べるために「ねぎま鍋」が考案されました。現代ではけっして安くない料理となりましたが、昔は庶民に親しまれた鍋だったようです。
●浅草一文 本店
電話:03-3875-6800
住所:東京都台東区浅草3-12-6
休み:無休(正月を除く)
時間:18:00〜23:00、土・日・祝日は17:00〜22:00(LOは1時間前)
※値段は税込
インスタにアップしたくなる肉の山、九州黒太鼓の「肉肉肉×29盛り鍋」(池袋、新宿、品川、他)
写真提供:九州黒太鼓お分かりいただけるでしょうか。これは火山を表現した現代アートではありません。2015年から2016年にかけて登場し、話題をかっさらったマウンテン肉鍋こと「肉肉肉×29盛り鍋~辛味噌火山仕立て~」です。鍋に盛られた高さ29センチの豚肉は、写真を撮らずにはいられないインパクトを放っています。
いったいどうやって食べるのかというと、上の方から1枚ずつ肉を剥がしていき、辛味噌味のスープで煮ていきます。やがて肉の山の標高が低くなると、土台には新鮮なキャベツが出現。野菜も摂れる寸法です。注文は2人前から、値段は1人1580円になります。
提供しているのは、九州の料理と焼酎のメニューが豊富な九州黒太鼓。なぜか池袋店のマウンテン肉鍋が有名ですが、品川店や新宿店など、他店でもオーダーをすることができます。もしも写真を見て「割と普通じゃないか」と感じたのであれば、よりインパクトが強い別メニュー「29盛り豆乳チーズ鍋〜雪山仕立て〜」がありますので、そちらに挑戦してみましょう。
●九州黒太鼓 池袋店
電話:03-3985-2191
住所:東京都豊島区南池袋2-16-8 藤久ビル東3号館B1
休み:無休(正月を除く)
時間:17:00〜24:00、金・土・祝前日は17:00〜翌3:00(LOは1時間前)
※値段は税抜
コタツがあるテラスで食べる、両国テラスの「鶏白湯鍋」(両国)
写真提供:両国テラス両国テラスは、「食と健康を楽しむ」をコンセプトとして造られた複合施設です。アスリート向けメニューを提供する食堂などがあって、隅田川の遊歩道を走るランナー向けのスポットとなっています。紹介するのはそこにあるテラスカフェで食べる鍋。同店には暖かい店内スペースに加えて、旧安田庭園の緑を背景とした、開放的な屋根付きテラス席があり、冬場になると掘りゴタツが設置されます。(なお夏場はテーブルと椅子に戻る)
コタツは人気が高く混雑時は2時間制ここで仲間と食べることができる鍋は3種類。ひとつは写真で紹介した「鶏白湯鍋」で、鶏肉(骨付きのもも肉、ささみ、つくね)と、野菜にキノコ(キャベツ、ニンジン、水菜、シイタケ、エノキ)を、8時間じっくり煮込んで作ったスープでいただきます。値段は90分の飲み放題と、〆のうどん、サイドメニューが6品付くコースが5000円です。他には「洋風トマトすき焼き鍋」のコース(5500円)、「豚肉とレタスのしゃぶしゃぶ」コース(5000円)があるので、参加メンバーの好みを考えて選ぶとよいでしょう。なお鍋は午前11:30からはじめられ、事前に3日前の予約が必要、予約は4人からになっています。
●両国テラスカフェ
電話:03-5608-7580
住所:東京都墨田区横網1-12-21
休み:無休(正月を除く)
時間:11:30〜23:00、土・日・祝日は7:00〜23:00(LOは1時間前)
※値段は税込
パクチーが脇役から主役に! 999(カオカオカオ)の「パクチー鍋」(中野)
写真提供:9992016年の年末に、ぐるなび総研が発表した「今年の一皿」はパクチー料理。選定理由のひとつは、サラダや鍋など、さまざまな料理でパクチーが脇役から主役に転じたことでした。調べてみると、どうやら2015年前後からパクチーを売りとする店が急増し、パクチードレッシングもヒット、パクチー愛好家「パクチスト」なる愉快な語感の言葉が現れていたようです。好き嫌いが分かれる個性的な脇役から、主役の座を射止めたパクチーさんの強運にあやかろうということで、写真は中野にあるタイ料理店・999(カオカオカオ)のパクチー鍋になります。
ご覧あれ、山のように盛られたパクチーを! さすが山盛りパクチーメニューで有名な店の鍋といったところです。パクチーは、甘みが特徴の岡山産ブランドパクチー。これにしゃぶしゃぶした国産ブランド豚を巻き、タレを付けていただきます。鍋の総量は約1キロですが、「それでも足りない」というパクチストも安心してください、500円で追加パクチーができます。
このパクチー鍋が食べられる「伝説のパクチー鍋コース」は、鍋の他に生春巻き、生レモングラスのサラダ、タイ式卵焼き、空心菜炒め、メインのごはんものが付いて5980円。数日前からの予約(4人から)がいるので、事前に店への連絡を忘れずに。
●999(カオカオカオ)
電話:03-3386-0383
住所:東京都中野区中野5-53-10
休み:月曜(祝日の場合は翌日休)
時間:ランチは火〜金のみで11:30〜14:00、夜は17:30〜24:00(土・日・祝日は17:00〜)でLOは1時間前
※価格は税込、追加パクチーは税抜
文:本山光
編集:富樫政友/渡部真人/大山勇一(アーク・コミュニケーションズ)
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