SNSの「嫌われコメント」と「愛されコメント」の差はどこにある?
「嫌われコメント」が乱す交流の輪
facebookやTwitter、ブログ、インスタグラムなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で行われるコメントのやり取りで、相手の気持ちを害したり、あるいは、自分の気持ちが害されたりした経験はありませんか?
友人や知人とSNS上でコメントをやり取りすることは、対面で会話とすることと何ら変わりありません。人間対人間のコミュニケーションです。したがって、いつでも相手への配慮と気遣いが欠かせません。
ところが、SNS上では、相手の気持ちを無視したり、踏みにじったりする「嫌われコメント」をしばしば見かけます。
目の前に相手がいないと、つい気を抜いてしまうという人もいれば、気をつけているつもりでもうっかり書いてしまう人もいます。「目の前に相手がいないだけで、人はここまで無頓着になれるのか」と呆れることも少なくありません(もちろん、筆者は自戒を込めて、この記事を書いています)。
「嫌われコメント」の共通点は“身勝手さ”
facebookでのコメントのやり取りを一例に挙げてみましょう。
【facebookでの投稿】
昨夜は、久しぶりの休日だったので、家族みんなでルパン三世の『カリオストロの城』のDVDを鑑賞しました。もう何度見たかわかりませんが、それでも感動しました。子どもたちにとっては、初めてのカリオストロ。ルパンのカッコよさに魅了されたようで、見終わってから「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」とルパンの名セリフをマネしまくっています(笑)
この投稿への「嫌われコメント」は以下のようなものです。
【嫌われコメント(一例)】
◆あれ、おまえ、昨日は出勤日じゃなかったっけ?
・嫌われポイント → 投稿と無関係/余計なお世話/本人が伏せている情報の暴露(の恐れもある)
◆家族サービスも大変だねえ。
・嫌われポイント → 余計なお世話/いやみったらしい
◆あんなに天気がよかったんだから、どこか行こうよ。
・嫌われポイント → 余計なお世話
◆宮崎映画としては『カリオストロの城』は駄作だと思うけどな。
・嫌われポイント → 共感する気がない/楽しい気分に水を差す
◆オレは『風魔一族の陰謀』派だな。
・嫌われポイント → 相手がよくわからない話をする(注:『風魔一族の陰謀』はルパン三世の映画のタイトル)/言葉足らず
◆うちはダンナが休日出勤でした(いつものこと)。帰ってきても、ひと言も話をしないし、まったくイヤになるわ。
・嫌われポイント → 単に自分の愚痴を書いているだけ/話が重たい
◆カリオストロで感動するなんてあり得なくない?
・嫌われポイント → 否定的・批判的/共感する気がない/上から目線
「嫌われコメント」に共通するのは“身勝手さ”です。
相手の気持ちやその場の空気を考えずに、自分が書きたいことを書いてしまう。それによって相手や周囲の人が気分を害することがわかっていません。
想像力の欠如に起因する“ディスコミュニケーション”といえるでしょう。
なかには、自分が書くコメントが大勢の人に見られることを忘れてしまう人もいるようで、相手が他人に知られたくない情報をバラしてしまうようなケースもあります。
例えば、相手がSNS上で離婚したことを公表していない人の投稿に対して「早く次の相手をみつけなよ」などと書いてしまうケースです。これなどは“空気が読めない”では済まされない問題かもしれません。
他人の投稿のコメント欄は“人様の庭”である
では、記事投稿者や、コメントのやり取りを見ている周りの人たちに喜ばれたり、愛されたりするコメントとは、どういうものでしょうか?「愛されコメント」のポイントを挙げてみます。
■投稿者の気持ちを受け止める(良し悪しをジャッジしない)
■投稿者の気持ちに寄り添う(共感・同意・賛同する)
■投稿者が返信しやすいコメントを書く
■ユーモアや愛嬌、ひねりのあるコメントで相手や周囲を楽しませる
■どうしても自分の意見を書きたいときは、投稿者の気持ちを、いったん受け止めてから書く
先ほどのfacebook投稿への「愛されコメント」の例を挙げてみましょう。
【愛されコメント(一例)】
◆家族でDVD鑑賞なんてステキな休日の過ごし方ですね!
◆私もルパンの『カリオストロの城』が大好きです。またDVDで見たくなっちゃったぞー。
◆『カリオストロの城』は日本のアニメ史上に残る傑作ですよね!
◆「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」のセリフを言い合うダイちゃんとカコちゃん、楽しそう!笑
◆ルパン三世には美学がありますよね!
◆ラストのセリフ、しびれますよね。私は「泥棒です。こんばんは、花嫁さん」も好きです。
◆確かにあの映画は何度もリピートしたくなる。ルパンの美学が詰まっているからね。
◆情操教育の教科書として「ルパン」はもってこいだね!笑
もしも『カリオストロの城』が駄作だと思ったとしても、<思ったことを何でも書けばいい>というものではありません。
他人の投稿のコメント欄は“人様の庭”のようなものです。
どうしても自分の意見や考えを書きたいのであれば、投稿内容への共感を織り交ぜる、あるいは、表現をソフトにするなどして、書き方を工夫する必要があります。
◆『カリオストロの城』は人気あるよね〜。ストーリーがきれいすぎて私はちょっと苦手だけど (^_^;) もう一度チャレンジしてみようかな!?
これくらいの書き方であれば許容ではないでしょうか。
要するに、相手の気分を害するか否かは、書き方次第なのです。
映画の出来栄えについて本気で議論したいなら、然るべき掲示板や、自分のブログで書けばいい話であって、わざわざ“人様の庭”、しかも“ほっこり系の投稿”ですることではありません。
そもそも、くだんの投稿から<映画の出来栄えについて議論しましょう>というニュアンスは微塵も感じられません。
そういう意味では、投稿者がどういう目的、そして、どういう気持ちで投稿したかを察することが「嫌われコメント」の回避には不可欠です。
何を書けば相手が喜ぶか?を考えよう!
投稿者の気持ちを受け止めて、相手が喜ぶコメントをする。
あるいは、投稿者が返信しやすいコメントをする。
これが交流を目的としたSNSのコメントの基本ではないでしょうか。
少なくとも、相手を批判・否定したり、持論を主張したりする場ではありません(そういうコメント欲しさに書かれた投稿でなければ)。
「嫌われコメント」を防ぐためのガイドラインが欲しい方は、コメントを書く前に、以下2点の質問を自分にしてみましょう。
◆投稿者が目の前にいたとしても、本当にその言葉を発するか?
(答えが「発しない」であれば、コメントでも書かない)
◆そのコメントを書いたときに、相手(投稿者)は気分を害さないか?
(自信をもって「害しません」と断定できること以外は書かない)
求められるのは、相手の気持ちを想像する力です。
たかがコメント、されどコメントです。
コメントを見れば、その人の人間性や器の大きさがよくわかります。メールやSNSに限りませんが、相手や周囲を喜ばせられる人、楽しませられる人が、真のコミュニケーション巧者といえるでしょう。
もしも自分が「嫌われコメント」をもらったらドウスル?
もちろん、あなた自身が「嫌われコメント」をもらったときは、そのコメントを真に受けて、相手を反論したり、攻撃したりするコメントを書いてはいけません。相手はあなたが過剰に反応するのを見て楽しむ「かまってちゃん」かもしれないからです。
それに、「嫌われコメント」にいちいちカッカしていたら、精神衛生上よくありませんし、周囲からも同レベルの(=大人げない)人だと思われてしまいます。
あなたの投稿のコメント欄(=あなたの庭)ですので、どう対応するかは、あなたの自由です。もちろん、あまりにもひどい「嫌われコメント」は、スルーしても構わないでしょう。どうしてもコメントを返したいのであれば、くれぐれも感情的にならないことです。
当たり障りのないコメントで、やり過ごすのが気高き社会人の所作というもの。
周囲の人たちも「“大人の対応”をしているなあ」と理解してくれるはずです。
著者:山口拓朗
『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』著者。
伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間に取り組める『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』(総合法令出版)のほか、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)他がある。
山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/
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