英語学習で8割の結果が出る「たった1つの要素」とは?

『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)など数々の英語学習に関する著書を出されている西澤ロイさん。英語の“お医者さん”として、英語学習の改善指導なども行っている西澤さんに「正しい英語学習の方法」についてお話しいただくこのコーナー。第1回目の今回は「英語学習において、まず押さえておきたいコツ」についてです。f:id:k_kushida:20170110172701j:plain

今回は、英語を「読む」「書く」「話す」時に、一体何にフォーカスをすれば効率的に「理解力」や「運用力」を高められるかについて解説します。

英語にも「80:20の法則」が当てはまる

「80:20の法則(パレートの法則)」をご存知でしょうか?

様々な物事において、約80%(大部分)の数値や成果は、重要な約20%(一部)の要素によってが構成されている、という法則です。ビジネスでよく言われるのは、「一部の顧客が大部分の売上に貢献している」ということでしょう。

実はこの法則は、英語学習にも当てはまります。英語を読んで理解する力。英語を話す、書くなどして使う力。そういった「使える英語力」を身につける時に、フォーカスすべき「ある要素」が存在します。

このたった1つの要素に注力して学習をすれば、非常に効率的に英語の理解力や運用力を高めることが可能です。その要素とは「動詞(verbs)」です。

なぜ「動詞」が重要なのか?

英語では動詞が大事…と言われてもピンと来づらいかもしれません。日本語には当てはまりませんから、それも仕方のないことです。

英語において動詞が重要であることには、言語学的にもきちんとした根拠があります。日本語と英語とをちょっと見比べてみましょう。

ジョンは高校時代の友達と渋谷に“行った”。

John “went” to Shibuya with friends from high school.

まず日本語においては、動詞は一番最後に出てきます。極端な言い方をするなら、別に動詞を言わなくても通じてしまうことが多いです。

「ジョンは高校時代の友達と渋谷に…」だけで、言いたいことは大体分かりますよね。

それに対して英語では、主語のすぐ後ろに動詞が来ます。もし動詞を言わなかったとしたら、「John…」だけになってしまい、何も伝わりません。英語では、日本語とは比べ物にならないほど、動詞の役割が重要なのです。

動詞がなければ片言

そもそも言語というものは、ほとんどが名詞(物事を指す言葉)で構成されています。しかし、ただ名詞を並べるだけでは、片言にしかなりません。

ジョン、友達、渋谷

これだけだと「ジョンが友達と渋谷にいるのかな…? それとも、ジョンの友達が渋谷に住んでいるのかな…?」などといろんな解釈が生まれてしまいますよね。意味を明確にするために、日本語では助詞を使って「ジョンは友達と渋谷に」のように名詞をつなげていくのです。

それに対して英語では、名詞をつなぎ、イキイキとした意味を与える役割は動詞が担っています。ですから、英語を読んで理解する上でも、自分で英語を使いこなす上でも、動詞がカギとなるのです。

英語を読むのが楽になるテクニック

英語が苦手なのに、英文を読まなければいけないこともあるでしょう。そんな時には、主語と動詞だけを意識するだけでも、理解度が大きく違ってきます。

例えば先ほどのような英文を「全て」理解しなければいけない…と考えると、気分が重くなってしまう人もいるでしょう。

John went to Shibuya with friends from high school.

しかし、主語と動詞だけ、つまり

John went…

だけをまず理解すれば良いと言われたならどうでしょうか。これならば「ジョンは行った」という意味だとすぐに分かりますし、ずっと気が楽なはずです。

それと同時に「どこに行ったのだろう」などと疑問が出てくることでしょう。つまり、全てを分かろうとするのではなく、動詞を中心に理解しようと努めるだけで、その英文の中で重要な箇所が浮かび上がってくるのです。

仕事上で海外からメールがよく来るという、私が以前指導した生徒さんは、「動詞に色をつけるようにしたら、英文を読むのがずっと楽になりました」という感想をくださっています。

英語を話す時こそ動詞にフォーカス

f:id:k_kushida:20170110182838j:plain

英語を話したり書いたりする上でも、動詞が非常に重要です。なぜなら、日本人が英語をうまく使えない大きな原因の1つが「語順の違い」だからです。

先ほどもお伝えしましたが、日本語では動詞(述語)は文の最後に来ます。ですから、日本語の感覚のまま英語をしゃべろうとすると、なかなかスムーズに話すことができません。

英語を使う時には、いきなり

「私、食べました」

「俺、買ったんだ」

などと言うつもりで話すことが大切なのです。

日本語的な感覚からすると、突然「俺、買ったんだよ!」なんて言われたら、一体何を買ったのか非常に気になることでしょう。かなり大袈裟な言い方ですよね。

しかし英語では、その語順で伝えるのが普通であり、「I bought…」のように話し始めないといけないのです。

日本語ネイティブとしてはつい、買った店や場所、買ったものを先に言いたくなることでしょう。

「駅前のデパートで、美味しそうなケーキを…」

しかし、英語を話す時には、まず最初に「誰が、何をした」のかを考えてください。

I bought…

このように「私は買った」と伝えたら、次に「何を」買ったのかを言いたくなることでしょう。

I bought some cake…

そうしたら、次に「どこで」買ったのかを伝えたくなりませんか。

I bought some cake at a department store.

このように、まず「主語」と「動詞」を考え、そこから伝えてみてください。それだけで、英語を話すことがずっと楽になりますよ。

まとめ:動詞が一番大事な入り口

動詞の重要性がお分かりいただけたことと思いますが、これが英語の理解力や運用力を高める上での大事な「入り口」に当たります。

ご参考までに、その先には「様々な動詞の意味を理解すること」、「文型(動詞の使い方)」や「句動詞(動詞+前置詞)」を押さえることなども大切です。

しかしまずは、今回お伝えした、「動詞にフォーカスする」ことをぜひ試してみてください。かなり即効性がありますので、すぐにその効果を実感していただけること間違いなしです。

コラム:英語が楽に読めるお助けツール

もちろん、実際の英文はもう少し複雑なケースもあるでしょう。難しい単語がたくさんあって、調べるのが大変だと思う人も多いはずです。

そんな場合に、非常に役立つお助けツールをご紹介しておきます。「英読(えいどく)」という無料のスマホアプリです。

「英読」iPhone版(iOS)

「英読」Android版

このアプリに英文を読み込ませると、難しい単語にだけ日本語訳を表示してくれます(難しい漢字にルビを振るような感じです)。なお、訳を表示する単語のレベル指定が可能(例えばレベル1なら中学1年生レベルを除く単語に訳を表示)。

英語のメールならば、コピーして貼り付ければOK。読みたい英文記事などのURLを指定することもできます。

私自身も英読のユーザーであり、レベル4(高校レベル以上の単語に訳を表示)に設定していますが、英語ニュースなどを読む際に重宝しています。知らない単語や、理解があやふやな単語などが出てきた時に、いちいち辞書を引く必要性がかなり減りますので。

西澤ロイ(にしざわ・ろい)

イングリッシュ・ドクター

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。

TOEIC満点(990点)、英検4級。

獨協大学英語学科で学んだ言語学に、脳科学や心理学も取り入れ、英語流の「発想」や「考え方」を研究、実践することで、大人だからこそ上達する独自のメソッドを確立する。

暗記の要らない英会話教材「Just In Case」、正しいリスニング方法が身につくトレーニング教材「リアル・リスニング」も好評を博している。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)他、著書多数。

f:id:k_kushida:20170110181308j:plain

西澤ロイ 公式サイトはこちら

西澤ロイ 公式ブログはこちら

関連記事リンク(外部サイト)

仕事が速いリーダーは「選択肢」が多い
どうしたら「やりたい仕事」を選べるようになるのか?
コミュニケーションの要は「聴き方」にあり

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 英語学習で8割の結果が出る「たった1つの要素」とは?

リクナビNEXTジャーナル

ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。

ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/

TwitterID: rikunabinext

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

記事ランキング