どうしたら「やりたい仕事」を選べるようになるのか?

12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)。その著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第4回の今回は、「どうしたら、自分にとって“やりがいのある仕事”ができるようになるのか?」についてです。 f:id:k_kushida:20170106204325j:plain

こんにちは。俣野成敏です。

今回は少し、難しいテーマについて考えてみましょう。「どうしたら、自分にとって“やりがいのある仕事”ができるようになるのか?」についてです。

私は、自分のビジネスを手がける合間に、サラリーマン向けの各種セミナー「プロ研」というものを主宰していますが、そこでしばしば仕事についての相談を受ける機会があります。中でも、よく聞くのが「仕事が面白くない」という類の悩みです。

そういう方に「なぜ仕事が面白くないのでしょうか?」と聞くと、「自分のやりたい仕事ではないから」とか「やっている仕事が自分には向いてないから」といった答えが返ってきます。つまり、「仕事を自分で選ぶことができないから」というのです。

「不本意な仕事」しか回ってこない理由

そもそもなぜ、多くの人が仕事を選ぶことができないのでしょうか?それは、基本的に大部分のサラリーマンは「会社に仕事をもらっている立場」にあるからです。

仕事について考える際に、人の役割は大きく2つに分かれます。それは仕事を「与える人」と「もらう人」です。仕事を与える人とは「他人に与えられるだけの仕事を生み出すことができる人」のことであり、仕事をもらう人とは「それを受けて仕事を遂行する人」ということになります。

では、「どちらが仕事を選べるのか?」といえば、それはもちろん仕事を自分で生み出せる人です。自分で好きな仕事や意義を見出せる仕事をつくり出し、価値を生み出すことができるので、他の仕事を「もらう」必要がないからです。

一方、「もらう側」であるサラリーマンは、基本的には仕事が選べない立場です。世の中では、「適材適所」という言葉が叫ばれるようになってから久しく経ちますが、実際、ほとんどの人はいまだに自分の適性を活かせていないのが現実です。だからといって、それがすぐに「会社が悪い」「上司が悪い」という話につながるのかといえば、必ずしもそうとはいえません。

「会社が自分のことを分かってくれない」ということもあるでしょうが、実は「そういう自分自身も自分のことがよく分かっていない」というケースが大半だからです。

仮に、あなたがある日突然、上司に呼び出されて「今日から好きな仕事をしていいよ。何がしたい?」といわれても、おそらくほとんどの人がすぐには答えられないでしょう。万一、「私はこの仕事がやりたいです!」と即答できる人がいたとしても、それが果たして「自分の強みをどう活かせる仕事なのか?」「それがどう会社のためになるのか?」と問われたら、たいていの人が答えに窮するのではないでしょうか。

※自分の「強み」に関しては、「なぜ『自分には弱みがある』と言える人ほど出世できるのか?」をご覧ください。

では一体どうすればいいのでしょうか?

そもそも「何が向いている仕事か?好きな仕事は何か?」もよくわからないわけですから、いきなり、「好きな仕事や意義を見いだせる仕事」を生み出して、価値を発揮するような人になるのは難しいことです。ですから、段階的に「自分が仕事を選べる状態」を作りだすことが必要となります。

仕事が選べるようになるための「3つのステップ」とは?

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では、「仕事を選べる状態」を作り出すには、具体的にどうすればいいのでしょうか?それには、以下のような3つのステップを踏む必要があります。

【ステップ1】「残りものの仕事」を引き受ける

一般的に会社においては、経験の浅い人ほど比較的平易な仕事、つまり多くの人があまり面白いと感じないような雑務などが割り振られることが多いです。ですからスタート時は、「面白い仕事は自分には回ってこない」と考えておいた方がいいでしょう。会社側が「社員の適性を考慮する」といっても、現実的には、特に経験が浅い段階では「社員の適性などは、あまりわかっていない」と思う方が無難です。

大多数の人は、この段階で止まったまま、つまらない仕事をつまらない顔をして続けてしまいます。つまらない仕事をどんな顔をしてこなすかが最初の試練と言っても過言ではありません。

上司とて人間です。どうせなら気持ちよく仕事を受け取ってくれる部下に、チャンスを与えたいと思うのが人情です。能力で差が付かないのであれば、受け取り方で差をつける。まずはどんな仕事も快く引き受けてみましょう。

【ステップ2】余裕を見せる

上司が新しい仕事を持ってきた時に「これ以上、仕事を振られたら大変」といわんばかりに、目を合わせようとしない人が時々います。しかし実は、こういう時こそチャンスです。

厳しい市場競争にさらされている昨今では、人員がギリギリしかいないのが普通です。もし、あなたが現在、すでに抱えきれないほどの仕事を担当していて、「これ以上は引き受けられない」ということであれば、後は「減らすか」「優先順位を付けてやる」しかありません。

一度自分の仕事を見直して、「やらなくてもいい仕事がないかどうか」を確認してみることをオススメします。確認をするときに、ポイントとなるのが、「自分の仕事がこの後、どうなっていくのか」※を考える、ということです。

※この部分については、拙著『プロフェッショナルサラリーマン』(小学館文庫)に詳しいので、興味のある方はそちらも併せてご覧いただければと思います。

【ステップ3】交渉する

受け取ることばかりを意識していると、どうやっても仕事があふれてしまう日が早晩やってきます。パンクしてからでは周りに迷惑がかかってしまいますから、そうなる前に交渉(取捨選択)をする段階に入ります。自分でなければできない仕事を残して、そうでない仕事は他人に引き継ぐためのステージです。

他人に引き継ぐためには、以下のようなポイントがあります。

1.次の人にいつでも引き継げる状態にしておく

2.誰に引き継ぐのが相応しいのかを考えておく

3.仕事の交渉(交換)は、上司から仕事を依頼された時に切り出す

特に、3は重要です。こちらが頼みごとを引き受けるタイミングは、相手もこちらの希望を聞き入れてくれやすい状態になるからです。これを繰り返していけば、やがて自分の手元に残る仕事は、最初とは相当入れ替わっているはずです。

少しずつ、段階を踏んで仕事の「入れ替え」をする

もしかしたら、中には「仕事を頼まれる度に、自分の仕事を『他の人に引き継ぎたい』と交渉していては、上司としてはよく思わないのでは?」と思われた方もいるかもしれません。

しかし、今のまま、嫌々仕事をやっていても、その嫌な状態がずっと続くだけです。つまらない仕事しかやらせてもらえない状態を変えるには、路線を変えなくてはなりません。

今回、一番お伝えしたかったことは、「いかにして入れ替えるか」ということです。

人は自分以外の周りが変わることを望みがちです。それよりも、「少しずつでも自分から変えていく」ということが重要なのです。

昔ばなしの「わらしべ長者」のようにいくつかの段階を踏んで、自分の仕事の「入れ替え」をしていく。そうすることで、最初は「やらされている」と感じていた仕事も、やがては主体的にやるような、「やりたい」と感じる仕事になっていくでしょう。

【プロフィール】

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。31歳の時にアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』(日本経済新聞出版社)が8刷となっている。著作累計は33万部超。2012年に独立後は、複数の事業経営や投資活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設し、マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等にも寄稿している。

俣野成敏 公式サイトはこちら

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