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なぜ「自分には弱みがある」と言える人ほど出世できるのか?

12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)。その著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第2回の今回は、「自分の弱み(欠点)とどう向き合うか」についてです。f:id:k_kushida:20161220211212j:plain

こんにちは。俣野成敏です。

多くのビジネスパーソンが抱えている仕事上の悩みのひとつに、「一生懸命やっているのに評価されない」というものがあります。その原因としては、「やっている仕事が合わない」「能力がない」「上司の見る目がない」「周りが非協力的」などが考えられるでしょう。

私は独立前の19年間、一部上場の老舗時計メーカーに勤務し、グループ現役最年少役員や史上最年少の上級顧問を務めていましたが、そのことを知った方から時々「俣野さんには特別な才能があったんですよね?」とか「欠点なんてないんじゃないですか?」といったことを言われます。そこで私が「むしろ欠点だらけです。弱みがある方が成功する確率が高いですよ」と答えると、たいてい相手は狐につままれたような顔をします。

ライバルに勝つ方法とは「自分の強みを伸ばすこと」

この文章では、仕事における自分の得意分野や長所のことを「強み」、不得意分野や短所のことを「弱み」と呼ぶことにしましょう。マネジメントの巨匠とされる、かのP・F・ドラッカー博士は、著書『マネジメント』の中で、「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである」と述べています。

先に結論をいってしまうと、「弱みがある人の方が成功する可能性が高い」というのは、「弱みを捨てて強みに注力することで、その分野においてライバルに勝てる確率が高まる」からです。弱みを触らないで済むように徹底的に仕向けることが、セルフマネジメントの真髄なのです。

一体、人の強みと弱みとは何でしょうか?有名な話でいうと、たとえばパナソニックの創業者・松下幸之助氏は体が弱く、自らバリバリと働くことができませんでした。松下氏にとってはそれが弱みといえましたが、彼は「自分の体をムリに鍛える」といったことはせずに他人に任せた結果、かえって経営者としての才能を存分に開花させることができたといいます。

また、百田尚樹氏の小説『海賊と呼ばれた男』の主人公のモデルとして注目を浴びている出光興産の創業者・出光佐三氏は、学校の頃から神経症と眼病を患い、読書より自分の頭で考え抜く習慣を身につけたといいます。

これが、「弱みを捨てて強みを発揮する」という意味です。

「好き嫌い」と「強み」の間に相関関係はない

実際のところ、世の中の大部分の人は、自分の強みも弱みも認識していないでしょう。万一、あなたが「自分の強みがわからない」と感じているのであれば、それはもしかすると強みだけではなく、自分の弱みも分かっていない可能性があります。

世間でよくある誤解のひとつに「自分の好きなこと=得意なこと」という思い違いがあります。しかし仕事に限ってお話した場合、「自分の好み」と「自分の強み」とは往々にして一致していないのが普通です。

では、「好きでもない」自分の強みとは何なのでしょうか?それは「他人から評価されること」です。

趣味とは違い、仕事とは他人の評価によって成否が決まるものであり、自分の好き嫌いとはまったく関係ないものです。ですから、もしあなたに過去、他人から賞賛を受けた仕事があれば、その中にあなたの強みが隠れている可能性があります。

仕事の面白さとは「受ける評価」で決まる

たとえばこんな話があります。ある会社で債権管理の部門に欠員が生じました。その部署は人事部に増員を要請しましたが、あまり華々しい仕事ではなかったせいか、希望者が現れませんでした。

誰もなり手がいなかったため、人事部はいかにもやる気のなさそうな若手社員を配属してきます。最初、若者は仕方なくその仕事をやっていました。ところが続けているうちに、債権のことに関して、みんなが彼に聞きにくるようになります。その結果若者は仕事が面白くなり、自発的に勉強を始め、ついには課長になったということです。

課長になった若者は、最初から債権管理の仕事が好きだったわけではありません。みんなに評価され、頼られることが嬉しくなり、自ら行動するようになった結果、昇進したのです。

逆に、たとえ自分の望み通りの仕事に就けたとしても、誰からも評価されなければ、結局つまらなくなってしまうでしょう。仕事とは、やっている業務の中身が面白いのではなく、他人から受ける評価がやりがいにつながり、面白く感じるものなのです。

どうすれば「自分の強み」を見つけられるのか?

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それでは、どうすれば自分の強みが見つけられるのでしょうか?上記の若者の話のように、偶然配属されればいいですが、そうではないことの方が一般的です。

方法のひとつとしては、「いろんなことを経験してみる」ということです。私はサラリーマンだった頃、20代は「実験の世代」と決め、自ら志願していろいろな部署を点々としました。おかげで、自分には向いていない仕事がはっきりと自覚できました。努力しているのに、いつまで経っても人並みの評価しか受けないことは強みとは言えません。

私はメーカーの平社員として行動していた時は平凡で、特に突出したところはありませんでした。それが一念発起して社内ベンチャーに応募し、事業を持たされるようになってから、マネジメントの分野で本領を発揮するようになり、マーケティングやセールスも得意であることが分かりました。どの分野もサラリーマンの前半8年間くらいではまるで経験がなかったことです。

最初から自分の強みが分かっている人などいません。拙著『プロフェッショナルサラリーマン実践Q&A編』(プレジデント社)にも書いた自分の「強みの原石」を見つけるための3つの着眼点を列挙しますので、ぜひご参考にしていただけたらと思います。

1.自分ではちっとも大変だと思っていないのに、他人から「大変だね」と言われたことはないか?

2.同僚の仕事ぶりを見てイライラしたことはないか?

3.自分より成果をあげている人を手助けできないか?

「苦手を克服した先に成功がある」という幻想

ご注意いただきたいのは、強みとは決して「苦手を克服した先にある」という性質のものではないことです。

日本の人事評価では、ある能力が突出している人よりも、すべてにおいて平均的な人の方が高く評価される傾向があります。しかし、平均点を取るために、弱みをどんなに伸ばしたところで他人より抜きんでることはできません。強みの分野で人並み以上に頑張るからこそ差がつけられるのです。

自分の強みを見つける方法とは、結局のところ「自己評価と他人がくだす評価との付け合わせ作業を行う」ことです。

もし、仕事を一生懸命やっているのに、自分の努力に反して他人からの評価が低いということなのであれば、それはあなたの弱みである可能性があります。逆に「自分が思っていた以上に評価された」ということがあれば、その仕事は「強みに近い」といえるでしょう。

強みとは本来、自分がさほど力を入れなくてもできることです。だからこそ「強み」だといえるのです。

ライバルと「差をつける」には

ライバルに差をつけるポイントをまとめておきますと、

1.弱みは人並み程度に努力するにとどめ、評価されたことに自分の力を注ぐ

2.評価が上がってきたら、苦手な業務などはなるべく自分でやらなくても済む環境をつくる(他人に引き継ぐなど)

3.平均点を狙わない

となります。

強みを見分けるためのコツとは、「自分は今、この仕事で他人からどのような評価を受けているのか?」ということに、常に意識を向けることです。

評価されることとは、どんなに小さなことでも構いません。「電話の受け答えが上手」だとか「人当たりがいい」「数字に強い」といった、ちょっとしたことでいいのです。評価されたらぜひ、それをもっと「今の仕事に活かせる方法はないか?」と考えてみてください。

誰しも他人から「ありがとう」といわれれば嬉しいものですが、要はそれをもっと増やせば、自分の強みを発見することにつながるのです。

【プロフィール】

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。31歳の時にアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』(日本経済新聞出版社)が8刷となっている。著作累計は33万部超。2012年に独立後は、複数の事業経営や投資活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設し、マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等にも寄稿している。

俣野成敏 公式サイトはこちら

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