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ビジネスで使える「文章力」を“文章を書かずに”鍛える方法とは?

「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う山口拓朗さん。そんな山口さんに「ビジネスパーソンのための文章術」について伺うこのコーナー。今回は「文章力を鍛えるための“意外な方法”」についてです。f:id:k_kushida:20170105165050j:plain

文章力をつけるには「たくさん書く」しか方法はないのか?

文章力をつけたいなら、とにかくたくさん書きなさい。

あなたも一度くらい誰かに、そう言われたことがあるのではないでしょうか? たしかに、この言葉に間違いはありません。文章がうまくなりたいなら「たくさん書く」という方法は有効です。

一方で、書く以外に文章力を鍛える方法はないのか?という疑問が浮かぶ人もいるでしょう。この疑問に対する答えは「そんなことはありません」です。そう、文章力は書かずして鍛えることもできるのです。なかでも有効なのが「文章を意識的に読む」という方法です。

ふだん何気なく読み流している文章を、書き手の立場で「意識的に読む」だけで、文章力向上の効果が得られるのです。

文章が目に飛び込んできたときがチャンス

「意識的に文章を読む」などと言われると、「面倒くさいなあ。本を読まなくてはいけないのかあ」とげんなりする人もいるかもしれませんが、文章を読む機会は「本」だけとは限りません。私たちが目にするすべての文章がその対象です。

【普段よく目にする文章】

■本

■新聞や雑誌

■仕事で使うビジネス文章(報告書、稟議書、企画書など)

■仕事で使うメール

■ウェブ上のニュース

■各種ホームページや販売サイト

■ブログやfacebook、twitterなど、SNS上にアップされる投稿

■電車の吊り広告

■街や駅などにあるさまざまな看板

■チラシやDM、冊子、カタログなど

■お店に置かれているPOP

■飲食店のメニュー

■スマホに届くメールマガジン

ほかにも、意識する・しないにかかわらず、私たちは、日々たくさんの文章に触れています。何かしらの文章が目に飛び込んできたときこそがチャンス。その文章を「読み流す」か、それとも「意識的に読む」か。そのどちらを選ぶかによって、文章力向上の効果に大きな差が生まれます。

「意識的に読む」方法とは?

では、どんなことを意識して文章を読めばいいのでしょうか? 以下に、意識すべきポイントを挙げます。

1.誰に向けて書かれたか?

2.どんな目的で書かれたか?

3.何を伝えたかったか?(最重要メッセージは?)

4.読む人をどういう気持にさせようとしたか?

5.どういう展開になっているか?

6.言葉の選び方は適切か?

7.わかりやすく工夫されているか?

8.文章にムダはないか?

9.具体的な言葉を使っているか?

10.ストレスや不快感を感じないか?

次に、「意識的に読む方法」の具体例を見ていきましょう。

この雑誌の記事おもしろいなあ。(この記事がおもしろく感じる読者層はどのあたりだろう? 20〜30代の男性ビジネスパーソンかな? 女性でもおもしろく読めるかな? などと考える)

このチラシに掲載されている美容室に行きたくなった!(どうして行きたくなったのだろう? どの言葉に魅力やメリットを感じたのだろう? などと考える)

このルポタージュは読み応えがあった!(いろいろな示唆を含んでいたが、筆者がいちばん伝えたかったメッセージは◯◯だったのではないだろうか? などと考える)

このブログ記事、すごく笑えた!(なぜ笑えたのか? 笑えたのは、筆者の自虐がすさまじいからかもしれない、などと考える)

この報告書はわかりやすい!(わかりやすいのは、もしかすると、冒頭で結論を明確にしているからかもしれない、などと考える)

へえ、この書き出しはうまいなあ!(書き出しに意外性があると、人は続きを読まずにはいられなくなるんだなあ、などと考える)

複雑な契約について書かれた書面なのに、ストレスなく読めるなあ。(素人にもわかるよう、順を追って丁寧に解説しているのがいいのかもしれない。専門用語を使わず平易な文章で書かれているのもすばらしい、などと考える)

この小冊子『営業の手引』は、ノウハウが実践的でタメになる!(身近な具体例がたくさん盛り込まれているからイメージしやすいのかもしれない、などと考える)

痛快なうえにテンポよく読めるマンガだ!(セリフが多い会話劇にもかかわらず、ムダな言葉が使われていないのがいいのかもしれない、などと考える)

ネットサーフィンをしていたら、掃除機を衝動買いしてしまった!(どうして「購入する」をクリックしてしまったのだろう? 「紙パックレス式」という言葉が、面倒くさがり屋の自分には響いたのかもしれない、などと考える)

上司から送られてきたこのメール、ムリなお願いが書かれているのに、押し付けがましく感じられないなあ。(嫌な気持ちがしないのは、随所に受信者への「気遣い」や「敬い」を示すフレーズが盛り込まれているからかもしれない、などと考える)

——という具合に、前述の1〜10を念頭に、その文章の「何がよかったか」を考えることによって「いい文章」を書くために必要なポイントがつかめてきます。

「意識して見る」はスキル体得の常套手段

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プロの俳優であれば、映画やドラマを見るときに、他の役者がどういう芝居をしているのかを「意識的に見る」のではないでしょうか。プロ野球選手(キャッチャー)であれば、他の選手がマスクをかぶっているときに、どういう配球で投手をリードしているのかを「意識的に見る」のではないでしょうか。プロのシェフであれば、他のシェフがどのようなレシピや手順で作るのかを「意識して見る」のではないでしょうか。

自分以外の人を観察しながら身につける。あるいは、自分以外の人から盗みながら身につける。これはあらゆるジャンルに通じるスキル体得の常套手段です。もちろん、文章作成も例外ではありません。自分以外の誰かが書いた文章を「意識的に読む」だけで、その“勘どころ”をインストールすることができます。

もちろん、「ダメな文章」に出会ったときは、そのダメな原因を考えることが大切です。もし余裕があれば、「どうすれば、もっといい文章になるか?」まで考えてみましょう。さらにエクササイズ効果が得られます。

くり返しになりますが、文章を読むときは、ただ「読み流す」のではなく、「意識的に読む」ことを心がけましょう。私たちの身の回りには、多種多様な文章が存在します。すべての文章が(良くも悪くも)私たちの“師”にほかなりません。その“師”から何かを学んで文章巧者を目指すか、何も学ばず現状にとどまるか、選ぶのは私たち自身です。

著者:山口拓朗

『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』著者。

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伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。忙しいビジネスパーソンでもスキマ時間に取り組める『問題を解くだけですらすら文章が書けるようになる本』(総合法令出版)のほか、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)他がある。

山口拓朗公式サイト

http://yamaguchi-takuro.com/

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