コミュニケーションが苦手だと思う人が「意識していない」こと

コミュニケーションに関するビジネス本を約20冊も出されている、 コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀さん。そんな松橋さんに「コミュニケーションの極意」についてお話しいただくこのコーナー。第1回目は「コミュニケーションが苦手だと感じている人が、あまり意識していないこと」についてです。f:id:k_kushida:20161219183837j:plain

こんにちは、はじめまして。コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀です。突然ですが、まずは自己紹介から。私は、対人コミュニケーションの専門家として20冊の著書の出版し、セミナーや講演を通じて、「日本からコミュニケーションで悩む人を日本から無くす!」というビジョンを掲げて活動しています。

今回は、ビジネスで成功するために必要なコミュニケーションスキルについて、お伝えできればと思います。

日本人の7割が「コミュニケーションが苦手」

「雑談が苦手」

「人見知りなので初対面が苦手」

「何を話したらいいのかわからない」

「上司との会話が、とても気まずい」

こういった悩みをお持ちの方は多いようです。総務省の調査によると、「コミュニケーションが苦手な人は全体の7割」という公的データがあります。

つまり、会話が苦手だと感じているのは、あなただけではありません。

周りの人は苦手意識もなく、自由自在にコミュニケーションを取っているように見えるかもしれません。しかし、7割の人は、「コミュニケーションが苦手」と感じているのです。

私は現在、コミュニケーションの専門家として、20冊近くの書籍を出版しています。普段は講師として日本全国を駆け回り、先日は台湾から講演のオファーがあり、300人の台湾人相手にコミュニケーションスキルや営業スキルを講演するなどの活動をしています。

こんな自己紹介をすると、「どうせ、昔からコミュニケーションがうまかったんでしょ」と思われがちが、20代の頃の私にとっては、初対面の人に話しかけるなんて、とんでもないことでした。初対面の人と話すのが大の苦手で、ちょっとしたことで赤面症になり、雑談の一つもできないような人間でした。

私はコミュニケーションが苦手で、上司から「ダメな奴」と言われ続けていた

私は、元々ギタリストになるために、高校を卒業後に青森から上京したのですが、東京に来たら、自分の訛りをからかわれるのがとても嫌で、ますます話さなくなりました。元々口下手だったのに輪をかけて、最低限しかしゃべらないし、いつも意思表示があいまい。そのために、「オマエは何を考えているのかわからない」と言われるのもしょっちゅうでした。

そんな口下手な私が、ひょんなことから訪問営業の世界に飛び込みました。高額な英会話の教材を売る仕事です。「音楽活動をしながら、空いた時に片手間で何十万と稼げるよ」という言葉に惹かれて始めたわけですが、やっぱり社会はそんな甘いものではありません。売れないせいで、朝から夜までアポイントの電話をかけ続けて、訪問して、商品の説明をするという一連の営業活動を、朝から晩まで繰り返すことになります。売れない私は、結局、ギターの練習をする暇がないほどになり、そのうちギタリストの夢はしぼみ、25歳であきらめました。心の拠り所にしていた音楽も無くなったことで、ますます自分に対して自信がなくなったのです。

コミュニケーションというのは、実は「2つの方向性」があります。一つは、他人とのコミュニケーション。もう一つが自分自身に対してのコミュニケーションです。他人とどのように関わるのかは、コミュニケーションスキル次第です。でも、自分自身をいつも卑下して、自分自身にダメ出しをして、自分とうまくコミュニケーションが取れていないと、せっかくのコミュニケーションスキルも役に立ちません。

当時の私は、そのどちらもないのですから、うまくいくはずもないのが当然でした。

上司からは、「オマエは何をやっても、ホントにダメな奴だな」と言われる毎日を過ごしていました。それでも、営業を続けていたのは、「学歴も資格もない私に残されたのは、営業の仕事しかない…」という消極的な動機だけでした。

コミュニケーションが苦手な人がやってしまいがちなこと

コミュニケーションが苦手な私ですから、臨機応変に話すなんて無理でした。マニュアル通りに、お決まりのセールストークを一方的にしゃべるだけ。お客様の話を聴くどころか、できるだけしゃべらせないようにして突き進みます。なぜなら、想定外の質問をされたら、自分のペースが狂ってしまうからです。

こういった一方的な営業マンが多いから営業マンは迷惑がられてしまうなんて、当時は知りませんでした。

ですから、「熱意を持って、一生懸命に話していれば売れるんだ!ひたすら頑張ることが成功への道だぞ」という上司の言葉のままにやり続けていました。

今、コミュニケーションの専門家をしている私なら、基本的なコミュニケーションスキルがない人間が、熱心に話せば話すほど泥沼にはまることを理解できます。でも当時は、一生懸命話すばかりでした。

コミュニケーションが苦手な人は、相手の知りたいことや聞きたいことなどのニーズを知ろうとせずに話します。ですから失敗します。

では、どうやってニーズを知ることができるのか?

それは、質問を使いこなすこと以外にはありません。スマートに相手のニーズを引き出す質問のスキルを磨くことが、コミュニケーションの質を高める大事な要素です。

コミュニケーションの改善で、営業成績全国1位に

営業マンになって3年過ぎても結果がまったく出なかった私。30歳になったのをきっかけに、「こんなにやっても売れないんだから、営業の仕事は無理。転職を考えよう」と決心しました。

といっても、何をやってもダメな私。その中でも特に対人関係が苦手な私に向く仕事といえば、単純労働だけ。そんな自分を変えられる仕事はないか?

そんなとき、「心理カウンセラー養成講座を修了すれば、心理カウンセラーになれるコースがあるよ」という誘いがあり、心理カウンセラーを目指すことにしました。

講座に通い始めてから、せっかく講座で学んだ技術を使わないとうまくならないと思い、練習のつもりでお客様に試してみました。

これが大きな転機になりました。

当時、私の会社の営業マンは、全国で450人ほどいて、私はいつも400番台の下位グループです。ところが、スキルを使い始めてから、たったの1ヶ月間で、商品が売れに売れて、なんと全国で1位になってしまったのです。

450人の頂点になった私に対して、社内は天と地がひっくり返ったかのような騒ぎになりました。あとで知ったことですが、あまりの激変ぶりに不審に思った上司が、不正をしていないかどうかを確かめるために、お客様全員に電話をして、購入した経緯を確認していたくらいです。

その後、学んだ技術を後輩たちに教えていたら、それぞれが瞬く間に売れる営業マンに変身しきました。その実績を見込まれて、全国の営業マンに対人スキルを教える研修トレーナーに昇進しました。

コミュニケーションの真髄は、「何を話すか」ではなく「どう話すか」

いきなり売れるようになってから、「何を話してるんだ?」「どんなセールストークを使っているんだ?」と、上司や同僚に何度も質問されました。

つまり彼らにとって、売れる理由も、売れない理由も、「話す内容次第」という考えがベースにあるのです。あなたも、話す内容が悪いから、うまく会話が進まないと思っていたかもしれません。

しかし、心理学を学んで知ったことは、話す内容よりも大事なことがあるという事実でした。言語コミュニケーションよりも、非言語コミュニケーションが、人間関係に大きな影響を与えているのです。

コミュニケーションの基本は、「何を話すか?」ではなく、「どう話すか?」が大事なのです。

同時に、「何を聴くか?」よりも、「どう聴くか?」も、とてもとても大事です。心理学を学んでいない人は、これらのことを知らなくて、大きな損をしているのです。

私自身、実際に話し方がうまくなったから売れたわけではありません。心理技術を身につけたから、いきなり売れるようになったのです。

「ボディランゲージの使い方」と「声の使い方」でコミュニケーションは改善する

コミュニケーションにおいて、大切な要素は、具体的に言うと、「ボディランゲージの使い方」と「声の使い方」の2つです。

コミュニケーションがうまい人は、相手のボディランゲージを観察して、姿勢や動きを自然に合わせています。特にあいづちやうなずきのスピードを合わせる事が、とても大事です。動きが速い相手には、速いリズムでうなずきます。ゆったり動く相手には、ゆったりとうなずきます。

声の使い方も同じです。速いスピードで話す相手には、速いあいづち言葉を返します。ゆっくり話す相手には、ゆったりとあいづち言葉を返します。また、声が高い人には高めの声で話します。相手が低い声なら、低めの声で話すのが、コミュニケーションの達人たちがさりげなくやっている技なのです。

あなたの周りにも、コミュニケーションがうまい人がいるでしょう。

その人たちは、相手によって、ボディランゲージや声の使い方をどのように変えているのかを観察してみると、意外にも相手に合わせて変化させていることに気づくと思います。

それが、コミュニケーションの達人への最初の一歩になります。

松橋良紀(まつはし・よしのり)

コミュニケーション総合研究所代表理事/一般社団法人日本聴き方協会代表理事/対人関係が激変するコミュニケーション改善の専門家/コミュニケーション本を約20冊の執筆家

1964年生青森市出身、青森東高校卒。ギタリストを目指して高校卒業後に上京して営業職に就くが、3年以上も売れずに借金まみれになりクビ寸前になる。30才でP心理学を学ぶと、たった1ヶ月で全国430人中1位の成績に。営業16年間で、約1万件を超える対面営業と多くの社員研修を経験する。2007年にコミュニケーション総合研究所を設立。参加者が、すぐに成果が出るという口コミが広がり出版の機会を得る。NHKで特集されたり、雑誌の取材なども多く、マスコミでも多数紹介される。

約20冊で累計30万部を超えるベストセラー作家としても活躍。「コミュニケーションで悩む人をゼロにする!」を合言葉に奮闘中。

著書

「あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール」(明日香出版社)

「相手がべらべらしゃべりだす!『聞き方会話術』」(ダイヤモンド社)

「人見知りのための沈黙営業術」(KADOKAWA)

「何を話したらいいのかわからない人のための雑談のルール」(KAODOKAWA)

「話し方で成功する人と失敗する人の習慣」(明日香出版社)

公式サイト http://nlp-oneness.com

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