楽ラク収納[中] 日々の片付けは適当、たまにきちんとでOK
前回は片付けアドバイザーの小関さんに、ご自宅のキッチンを例に無理のない自分に合った片付けルールを習慣付けることの大切さについて教えていただいた。人それぞれタイプがあり、オススメの方法も異なるというが、一般的な手順や小関さん自身が実践している片付けのコツを今回は衣類中心に紹介しよう。
日々「食卓」「床の上」「洗濯物」をためないことから始める
片付けの原則はためないこと。忙しいからと日々片付けをせず、週末にまとめてなんとかしようと思うと、片付いていない平日はもちろん、休日も家事に追われ、ストレスがつきまとう。毎日食事前と食事後は食卓の上は綺麗にする、床に物が置いてあったら拾う、などざっくりでも片付けておくと、週末は片付けの負担も少なくゆったりと過ごすことができる。日ごろ忙しい人ほど、日々ざっくりと片付ける習慣をつけることがオススメだ。
片付けを習慣づけるためには、まず毎日使う「食卓」「床」「洗濯物」から始めよう。1日に2度のリセットタイムを設け、お子さんのおもちゃであれば、夕食の前に1度全て片付け、食事の後にまた遊んでも就寝前にはまた元に戻す。食卓の上のものは、食事の前に全て片付ける。就寝時に使った布団は、朝起きたらせめて上半身側を上げて2つ折りに、できれば畳んでしまう。「元の状態に戻す」がルーティンになるのが理想だ。【画像1】左:小関さんの寝室は2階。左手には布で仕切られた収納スペースで、布団は毎朝畳んで右の収納スペースの上に重ねる。来客時は白い布でカバーすれば生活感が出ずスッキリ。右:布で仕切られた収納スペースを開けると、普段使う衣類やバッグなどが整然と並ぶ。向かって左が夫、右が小関さんそれぞれのスペース。上の段にはビニール袋に入れて圧縮したオフシーズンの衣類や掛け布団などが並ぶ(写真撮影/飯田照明)
洗濯は洗ってから収納場所に戻すまでを一日で完結させる
一日完結の妨げになりやすいのが洗濯物。洗濯を一日で完結させることで、着たものを翌日洗って収納場所に戻すことができ、洗濯物が室内に散乱することもないし、衣類のストックも少なくて済む。
一日完結のポイントは洗濯のタイミングと干し場所。午後3時までに確実に取り込める場合を除き、外出しがちな人はいっそ部屋干しがオススメ。午後3時を過ぎると日が出ていても湿気や冷気が出てくるので、出しっ放しはかえって湿気てしまう。また家族に花粉症の人がいる場合は部屋干し必須。
小関さんは日当たりの良い2階寝室の室内窓際を物干し場にして、夜のうちにタイマーをかけ、朝起きたらまず洗濯物を干し、夕方取り込むという一日完結を実践している。特に忙しい人は、洗濯乾燥機を利用すると毎日が楽になる。乾燥機による縮みが心配な人は、普段使いのタオルだけでも乾燥機の利用をオススメする。 【画像2】DIYで窓枠の外側に折り畳み式のさお受けを設置。物干しざおをかければ、一番日当たりのいい2階寝室の窓辺が洗濯物干し場に早変わり。レースカーテン越しの日差しでも十分乾くとのこと(写真撮影/飯田照明)【画像3】左:洗濯物を干す際には、乾きやすさと取り込みやすさを考えて、靴下はペアでつま先を「ハの字」になるように洗濯ばさみで止める。右:干した状態のまま、足首をクルリと折り返してペアが無くならないようにしておき、後はどんどん畳みながら取り込んでいく(写真撮影/飯田照明)
また手に入れることができるものは捨ててOK、使わないものは遠くに置く
小関さんのお住まいは、モノが出ていないだけでなく、収納スペースの中もスッキリ。そもそもモノが厳選されているので、少なく、余計なものがない。見やすく、出し入れしやすいよう詰め込まないようにしているという。これを真似するためには、現実的にはかなりのモノを処分しなければならない。では、捨てるものと残すものはどう分別したらいいのだろうか。
衣類の場合、昨シーズン・今シーズン着そびれた服は基本的に処分。「流行遅れだけれど部屋着として」「高かったから」も処分する。ただし2年使っていないものでも、大切な行事に着たなど思い出のものは残してもよい。下着や靴下・ストッキングのストックが必要以上にある場合は、くたびれてきた物を処分して、新しい物をおろそう。
大切な人からのプレゼントや子どもが小さいころの作品など思い出の詰まったものも、「思い出のもの」としてとっておいてもかまわない。頻繁に使うものは近くに置き、使わないものは遠くに置くのが収納場所の原則。思い出のものは頻繁に使うものとは区別して、収納場所も別にしよう。小関さんはプラスティックケースにまとめて小屋裏収納に置いている。【図1】使うものは使う場所に、特に日常的に使用頻度の高いものはすぐ手が届くところに収納。逆に頻度の少ない物や季節外のものは、ロフトや物置など遠くや出し入れしにくい場所にしまっても不自由に感じなくてすむ(取材をもとに筆者作成)
小屋裏に普段使わない衣類や思い出のものを置き、オン・オフを明確に
【画像4】小屋裏収納には季節外の衣類、保存書類や書籍、プラスティックケースに入れた思い出のものなど普段使うもの以外を置いている(写真撮影/飯田照明)
小屋裏に収納された衣類はシーズンオフで使わないものだ。普段使う衣類は寝室のクローゼットにおいている。「衣類は年に2回、真冬のものと真夏のものだけを入れ替えます」。衣類と同様、布団なども夏と冬で入れ替える。冬物のかさばる衣類も、空気を抜いて圧縮するとコンパクトに収納できる。しかも市販の布団圧縮袋を買わなくても、普通の45Lのビニール袋で手軽に圧縮収納できるというので、実演していただいた。【画像5】限られたスペースにかさばる布団やダウンを小さくまとめて収納するには、45Lの透明のビニール袋を活用するのがオススメ(写真撮影/飯田照明)
実際に掛け布団の収納術を実演してもらったが、ビニール袋一つに家族4人分の夏用掛け布団が楽ラク収まった。ポイントはビニールを縛って空気が入らないようにしながら、体重でさらに空気を抜き、できるだけ小さくまとめてポンポン叩いて形を整えて出来上がり。市販の布団圧縮袋と違って時間がたつと空気が入ってきてしまうので、小さくまとめたらすぐに収納場所に入れてしまおう。同様に家族4人分のダウンジャケットも小さくまとめることができる。
小屋裏収納には、思い出のものも大切にしまってある。家族の成長の記録である写真もそのひとつ。ただし子ども別にちゃんとアルバムに編集して、などと思っていると時間もないし、場所も取るし、子ども2人ともが良い表情の写真はどちらに分類するか、サイズもいろいろ、など悩んで結局そのままになりがち。
小関さんはプリント写真だけを、年代別やイベント別に大雑把にまとめて、小屋裏のプラスティックケースの引き出しにまとめて収納している。リビングダイニングなどにはお気に入りの数枚を選んで飾り、残りは普段は使わない小屋裏にコンパクトに収納。いずれ子どもたちが巣立つときには、この中からピックアップして小さなアルバムにして渡すつもりだという。【画像6】左:ネガは処分して、プリント写真のみをイベントや年代別に付箋などを利用した目印を付けてティッシュの空き箱に。手が入るスペースも残るちょうどいいサイズだ。右:プラスティックケースの引き出しひとつに空き箱に分類されたプリント写真をまとめて収納(写真撮影/飯田照明)
取材中、何度も「日々の片付けは適当でいい」を繰り返していた小関さん。「日々は適当、時々きちんと。毎日きちんと片付ける必要はありません」。適当でいいから、毎日の習慣に。そして季節もののオン・オフの入れ替えや来客時、時間があるときなど時々きちんと片付ければいい。その気楽さが長続きの秘訣なのだ。最終回は、子どもや家族を巻き込んだ片付け術をご紹介しよう。
●下編
・楽ラク収納[下] 片付けで子どもも家族もくつろげる家に●取材協力小関祐加さん
片付けアドバイザー/インテリアコーディネーター。慶應義塾大学で心理学を学び、専業主婦として2女を育てた実体験に基づき、子どもが小さいうちから片付けやすく家族がくつろげる環境を整えてほしいと、2007年よりかたづけmom(マム)を主宰。保護者向けの講演、親子セミナーはじめ片付けサービスを行っている。ツイッターでは今すぐできる最新情報も
(写真撮影/飯田照明)●参考
・かたづけmom(マム)
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