トヨタとスズキの提携で進む「自動車業界ひとつ屋根の下」化。それぞれの思惑とは

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▲2016年10月12日に発表された、トヨタとスズキの業務提携。トヨタは仲間づくりと業界標準づくり、スズキは先進技術の開発を推し進めることに焦点を当てて、提携の検討に乗り出した

▲2016年10月12日に発表された、トヨタとスズキの業務提携。トヨタは仲間づくりと業界標準づくり、スズキは先進技術の開発を推し進めることに焦点を当てて、提携の検討に乗り出した

他社との関係を深めてきたトヨタ

トヨタとスズキが、業務提携に向けて交渉を始めた。2016年10月12日の夕刻に発表されたように、両社は課題になっている部分をお互いに補完し合うにあたって、業務提携が有効との道筋を見出した。

提携や株式交換を通じて、トヨタはこれまでにも他社との関係を深めてきた。新しいところでは、2016年8月にダイハツを完全子会社化している。また、それまでまったく無縁だったマツダとの提携も驚きだった。こちらは2005年にテレマティクスの分野で、トヨタがサービスを提供するところから始まり、2010年にはハイブリッド機構の技術ライセンス供与で合意。そして、2015年5月には業務提供を進めていくことで合意した。

今回のスズキに至っては、降って湧いたような提携話で、マツダとの提携以上に世間を騒がせた。

▲単独では開発コストがかかりすぎてしまう、環境技術を効率よく調達するため、マツダは2010年にトヨタからハイブリッド技術のライセンス供与を受けることで合意した。今後さらに業務提携を進めていく予定だ

▲単独では開発コストがかかりすぎてしまう、環境技術を効率よく調達するため、マツダは2010年にトヨタからハイブリッド技術のライセンス供与を受けることで合意した。今後さらに業務提携を進めていく予定だ

トヨタとスズキの提携、その本当の目的とは

この提携、表向きの目的としては、トヨタは仲間づくりと標準づくりを進めること、スズキは先進技術における開発の遅れを取り戻すことを挙げている。しかしながらスクープ班は、この提携の本当の目的が、コンパクトカーでの協業ではないかとにらむ。グローバル規模で販売することを加味すると、ヴィッツ級のBセグメント商品か。

ひょっとすると、「でも、そこはダイハツがカバーしている分野では?」と考えている読者もいるだろう。しかし、ダイハツの守備範囲は、主に軽自動車とブーン/パッソに代表されるAセグメントの小型車だ。

スズキが、トヨタ陣営に加わることで、何がどう変わるのか。まずは部品やユニットの共同購買が実施されるだろう。それによってダイハツが生産している軽自動車のコストが下げられる。これが海外に広がれば、トヨタがASEANで、スズキがインドでそれぞれ生産している小型車のコスト削減にもつながるだろう。

ヴィッツとスイフトの統合、トヨタ版バレーノの登場、トヨタとスズキによる時期SX4の共同開発など、スズキが得意とするコンパクトカーづくりのノウハウを基幹に据えて、トヨタの小型車ラインナップが補完されることも考えられる。

問題は、スズキとダイハツの関係だ。両社は軽自動車マーケットでお互いにトップを争う仲だが、急に「仲良くなりなさい」と言われても難しいはず。もしかしたら、トヨタは軽自動車というカテゴリーが消滅する未来を見据えているのかもしれない。

「もう軽自動車の恩恵は不要」との議論は、過去に何度も持ち上がったが、スズキにしてもダイハツにしても、グローバル規格から遠く離れたエンジン排気量660cc未満の軽自動車規格が、このまま存続するとは思っていないだろう。

なお、スズキは、マレーシアのプロトン(かつて三菱と資本提携していた)と提携し、商品提供を決めた。ダイハツもマレーシアの国策企業、プロドゥアに商品を提供しており、2016年7月に新型セダンのベザを発売したばかり。このように各社の関係や提携が入り混じっているため、今後、提携の活発化に際して、交通整理も必要になるだろう。

text&photo/マガジンX編集部

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