【ここは法廷だゼ!】単なるスリ裁判で終わらせない!裁判官のアツすぎるお説教

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スリ

ある日の東京簡裁。薄い頭髪のせいか見た目よりずいぶん年季が入って見える被告人T(39)は、黒いジャージ上下という被告人の定番スタイルで法廷に現れた。酔っぱらって路上で寝込んでいた被害者のズボンのポケットから、財布を盗んだ、というこれまたよくある窃盗罪での逮捕、起訴である。

現金を抜いた財布を捨てつつ逃走していると、片方の靴が脱げてしまい、それを探していたところ、意識を取り戻し追いかけてきた被害者に取り押さえられた……という顛末だ。

「神戸から、こっちに仕事を探しにきたけど、見つからず、所持金がなく、生活費を作るのも困難になって……。被害者の方には大変申し訳ない。心よりお詫びします。刑務所で訓練を受けて、出所したらそれを活かした仕事をやりたい」

この手の事件はよくあるし、流れ作業のように裁判が終わる事もよくある。今回Tもステレオタイプな反省を述べ、滞りなく裁判が終わろうかとしていたが、ただ1人、この法廷でそれを許さない者がいた。

裁判官「あなた、神戸で全然仕事してなかったんじゃないの?」
T「違います」
裁判官「同居してた親父さんが書面で書いてるけどね、親父さん、あなたに仕事探すよう何度も言ってたんじゃないの? 何度も言われてイヤになったから神戸を出たんじゃないの!?」
T「違います」

かなり高齢の裁判官が大きな声で責め続ける。

裁判官「ただ仕事仕事、って何がしたいの? 自分の中にそういうのないんじゃないの? ただカネが高いとか、そういうのしかないんじゃないの? 何したいのっ!?」
T「手に職を……免許取って仕事を……」
裁判官「あなた手に職つけるっていってるけどさ、免許で何するつもりなのっ!?」
T「それは分からない……」

裁判官からのハイテンションな質問タイムは10分ほど続いた。生活保護で両親と神戸で暮らしていたT。父親から再三、仕事を探すよう言われながら無視した形で家を出た上、犯罪を犯したことに、裁判官は怒りがおさまらないのか……? 単なるスリ犯の裁判がみるみるうちに人生劇場になっていった……。

裁判官「怒鳴ってる訳じゃないよ!!! もっと、自分の人生を大事にすると同時に、両親に対しても! 親父の手紙読んだかな? 裁判官だったらねえ、もういい加減にしろと、勝手にしろと! 親の縁を切ると!! そういう風に言うねえ……あなたの親父は、そういう風に言ってないんだよ! 自分を責めてる! 親父は!」
T「…………」
裁判官「(法廷を見回し)……ここにも、たくさんの方がいらっしゃるが、つまずいたり、横道それたりして、いま、こうしている訳であって、初めからこうしている訳ではないんだよ! 何をしたいのかよく考えて! そのうち道を拓くんだ、という心構え持たないと!」
T「ハイ……ッ」

最後は法廷全員も巻き込んでのお説教に。Tには同種前科があり、今回は確実に刑務所行きとなる。果たして出所まで、この裁判官の熱すぎる説教を覚えていることはできるのだろうか?

画像引用元:flickr from YAHOO
http://www.flickr.com/photos/stevendepolo/4637904620/

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高橋 ユキ

傍聴人。近著『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)ほか古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)『あなたが猟奇殺人犯を裁く日』(扶桑社)など。好きな食べ物は氷。

ウェブサイト: http://tk84.cocolog-nifty.com/

TwitterID: tk84yuki

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