トヨタ ヴェルファイアは、お一人様でも満足できるリーサルウエポン!?

▲約700kmのロングドライブテストの相棒となったヴェルファイア。ハイブリッドのZR Gエディションという上級グレードだ

▲約700kmのロングドライブテストの相棒となったヴェルファイア。ハイブリッドのZR Gエディションという上級グレードだ

現行型の中古車が増加した今、その魅力を再検証

カーセンサー本誌12月号の特集『世界も注目する 日本の中古車セレクション』で、ヴェルファイアがマレーシアで大人気であることをお伝えした。

現地ではヴェルファイアの他にも日本製ミニバン(それも日本から輸入した中古車)を数多く目撃したのだが、このミニバン人気の背景には、1台で家族全員が乗れる多人数乗車のニーズがあるのだと、現地の中古車販売店で聞いた。だが、高級ホテルや巨大ショッピングモール付近で、メルセデスやベントレーといった欧州高級セダンと並んでいるヴェルファイアを見たとき、「全然負けてないじゃん。むしろカッコいい」なんて、身びいき丸出しだが、素直に思ってしまったのだ。

日本でもヴェルファイアは兄弟車のアルファードと並び、価格&車格における国産ミニバンヒエラルキーの頂点に君臨し、かつファミリーカーやVIPの送迎車として大人気なモデルであることはご存じのとおり。2015年1月の登場からに2年近く経過し、現行型の中古車流通量もようやく増えてきたということで、その魅力を実際に乗って再検証してみることにした。

再検証のモチーフとして選んだのは、ハイブリッドのZR Gエディション。2列目がキャプテンシートの7人乗りで、新車本体価格は税込550万1127円也(!)。VIP送迎向きのエグゼクティブラウンジ(ハイブリッドの新車本体価格は700万円超!!)の一つ下、通常仕様では最上級クラスに位置づけられる豪華グレードだ。試乗した個体は走行距離2万6000km台。市場に流通している同型の中古車の平均より若干距離が伸びており、やや過走行な部類に入る。

▲2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッド仕様。一般道と高速道路のミックスで約700km走った際の平均燃費は15.2km/L。レギュラーガソリンというのもうれしい

▲2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッド仕様。一般道と高速道路のミックスで約700km走った際の平均燃費は15.2km/L。レギュラーガソリンというのもうれしい

“うるさがた”を連れ700kmのロングドライブへ

検証方法は、一般道&高速道路の走り込み(笑)。ただし、ドライバーだけのインプレッションではなく、女性2人を助手席/2列目シートの乗り心地チェック担当として同行させた。

助手席担当は、今年傘寿(さんじゅ:80歳)を迎え、そろそろ“あちら”からも迎えが来そうな実母。2列目担当は、恥じらいや遠慮を捨て向かうところ敵無しな来年50歳になる実姉。彼女らを乗せ、約700kmを走破するというのだから、これほどタフでガチな検証もなかろうというものだ。

心配は傘寿の母の乗り降りだった。両足の膝がチタン製の人工関節に交換されていたり、手術で結腸ガンを摘出するなど、修復歴だらけの旧車のように、今にも壊れそうなのだ。だが、フロアより一段低いステップとAピラーのアシストグリップのおかげで、多少時間はかかるが、難なく助手席へ乗り降りできていた。

もう一つの心配事は、実姉の車酔いだ。背の高いミニバンゆえ、コーナーを曲がる際はロール(車体がグラリと横方向に傾く)が大きくなる。できるだけロールさせないように丁寧に運転するしかないのだが、ヴェルファイアはハンドル操作に対する車体の挙動が素直で、それほど神経を張り詰めなくてもロールさせない走りができた。大容量バッテリーなどで約100kg近くガソリン車よりも重いハイブリッド仕様だったことも影響しているかもしれない。おかげで一度も車酔いさせることなく、全行程を走りきることができた。

▲ZR Gエディションは、本革シートが標準装備。ドアトリムやインパネまわり、アームレストなどにも手触りの柔らかい合皮がふんだんに使われている

▲ZR Gエディションは、本革シートが標準装備。ドアトリムやインパネまわり、アームレストなどにも手触りの柔らかい合皮がふんだんに使われている

行きはヨイヨイ、帰りはスヤスヤ

そんな彼女らのインプレッションをお伝えしよう。

視界の広さに好印象。大絶賛だったのはシート。大きさ、質感、座り心地、すべてに満足の様子だった。2列目に座った姉などは、「このシートだけ買えないのかしら」と妄言をぶっ放す始末だ。行きは物珍しさもあって賑やかだったが、帰りは2人とも気持ちよさそうに居眠り。傘寿の母などは、それそこ“安らか”に眠ってしまってるのではないかと勘違いするくらいのリラックスぶりだった。

片やすぐに壊れる、こなた揺れれば爆発する、まるでヤバい危険物のような2人を連れ700kmというロングディスタンスを無事に走り切れたということは、ファミリーカーやVIPの送迎車としてのヴェルファイアの実力のほどを説明するに十分な結果だと言えるだろう。だが、魅力はそれだけではない。お一人様だって、十分に満足できる、いやむしろ、お一人様だからこそ楽しめる車でもあるのだ。

▲実際に試乗したタイプと色が異なるが、2列目シートはご覧のとおり。まるで飛行機のファーストクラスの座席のよう。適度なホールド感と柔らかい座り心地で、ロングドライブでも疲れ知らず

▲実際に試乗したタイプと色が異なるが、2列目シートはご覧のとおり。まるで飛行機のファーストクラスの座席のよう。適度なホールド感と柔らかい座り心地で、ロングドライブでも疲れ知らず

“スペース”の価値を高める性能

というのも、今回、約700kmをヴェルファイアで走った中で、最も印象に残ったのが自分一人で乗っているときの快適さだったからだ。“うるさがた”がいない開放感も勘定にいれなければならないが、何よりもハンドリングや乗り味といった運転操作に対する車の反応が、おしなべてピースフルかつ鷹揚(おうよう)だったのだ。それも、昔ながらのフワフワ&ダルダルなものではなく、適度なフィット感のある鷹揚さと言えばわかるだろうか。

加えて、長いホイールベースがもたらすゆったりした乗り心地、こってり盛ったインテリアならではの反響音が少ない静かな空間、高い視界、重厚感あるシートなど、様々な要素が、広い室内をただの“スペース”としてではなく、快適な空間に仕立て上げるのだ。この空間は、家族やVIPはもちろん、快適な移動の手段を求めるお一人様にとっても高い価値となるはずだ。どんな高級車が横に並んでも見劣りしない存在感も、お一人様購入の強い味方(言い訳)になってくれるだろう。お一人様視点で見ても満足度の高いヴェルファイアは、もしかしたらマルチ・パーパス・ビィークル(多目的車)というミニバン本来の意味から考えて、全方位的に最強の車と言えるかもしれない。

▲ZR“Gエディション”ハイブリッド車(画像はスパークリングブラックパールクリスタルシャイン・オプション装着車)

▲ZR“Gエディション”ハイブリッド車(画像はスパークリングブラックパールクリスタルシャイン・オプション装着車)

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トヨタ ヴェルファイア(現行型)のカタログはこちらトヨタ ヴェルファイア(現行型)の中古車を探してみるトヨタ ヴェルファイア/ヴェルファイアハイブリッド(初代)の中古車を探してみるtext/中野剛

photo/中野剛、トヨタ

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