ATCQ、20年ぶりの全米1位濃厚な新作と今後を語る「これが最後のレコードで、ワールド・ツアーは多分やるだろう」

ATCQ、20年ぶりの全米1位濃厚な新作と今後を語る「これが最後のレコードで、ワールド・ツアーは多分やるだろう」

 ア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)の通算6作目で最後となるアルバム『ウィ・ゴット・イット・フロム・ヒア・サンキュー・フォー・ユア・サービス』のデビュー・イベントがメンバーの地元NYクイーンズにある現代美術館MoMA PS1で2016年11月9日に行われ、Qティップとジェロビ・ホワイトが登場した。

 イベントは盛況だったが、少し悲しくもあった。今年の3月、自身のパートを録音し終わった直後にオリジナル・メンバーのMCファイフ・ドーグが糖尿病による合併症のために45歳で亡くなった。残されたメンバーにとって友人を亡くしたことは“シュール”だったという。「このプロジェクトは、ファイフが率先して動いていたんだ。ドープな音楽を作って、あいつを称賛することしか残された俺らにできることがなかった」と、Qティップは話す。

 18年ぶりのスタジオ・アルバムは、もしかすると実現していなかったもしれない。1990年代に一度解散したATCQのメンバーは、その後長い間疎遠になってしまっていた。ところが去年の11月、米TV番組『The Tonight Show Staring Jimmy Fallon』にデビュー・アルバム『ピープルズ・インスティンクティヴ・トラヴェルズ』の25周年を記念して出演した際、メンバー間に変化があった。DJでプロデューサーのアリ・シャヒード・ムハマドを含むメンバー4人が、まるで1989年当時のようなクオリティの「キャン・アイ・キック・イット?」を披露したのだ。

 「あのパフォーマンスの4人の相乗効果はクレイジーだったよ。あまりにヤバくて、すごい瞬間だったからQティップとドーグも和解する気になったんだ」とホワイトは振り返る。その数週間後にメンバーはQティップの自宅スタジオに集まり、1990年代初期の名作『ロウ・エンド・セオリー』や『ミッドナイト・マローダーズ』の頃のように、ジョークを言い合い、互いの一枚上手のリリックを生み出しながらニュー・アルバムを制作する必要があると確認しあった。

 「今はボーカル音源をメールしてくるやつらが多いから、顔を直接見ることができない。同じ部屋にいればお互いのエネルギーや反応が見えるからね」とQティップは説明する。この“同席”ルールはアルバムのゲストにも適用され、バスタ・ライムス、アンドレ・3000、ケンドリック・ラマー、ジャック・ホワイトもスタジオにやってきた。例外はカニエ・ウェストとエルトン・ジョンで、カニエは最終的には登場し、エルトン・ジョンに関してはQティップがダメ元で連絡してみたところ、実はグループのファンだったと聞いて驚いたそうだ。「ファイフが亡くなった時、エルトンはオーストラリアでツアー中だったんだけど、“キャンドル・イン・ザ・ウィンド”を彼に捧げてくれたそうなんだ」と彼は話す。

 4曲に参加したバスタ・ライムスは、ニュー・アルバムのレコーディングについて「“シナリオ”を書いた頃のようだった」と振り返る。そして「あの(The Tonight Show Starring Jimmy Fallonの)TV出演では何年かぶりにメンバーが楽しそうにしているのを見たよ」とコメントしている。特に素晴らしかったドーグのラップについて、ホワイトも「あいつはキレキレだった」と胸を張る。

 ATCQの今後についてQティップとホワイトは、ドーグがいなくなった今、グループの25年間の旅は終わろうとしていると強調する。「これが最後のレコードで、ワールド・ツアーは多分やるだろう。でもその後はもう終わり。この先一生ないだろう」とQティップは言い切った。

関連記事リンク(外部サイト)

伝説的HIP HOPグループ、ATCQの最新作リリースを記念し全世界でグラフィティ・アートを一斉解禁
ア・トライブ・コールド・クエスト、18年ぶりの新ALリリース決定 Qティップが直筆メッセージで発表
ATCQがついに再結成!テレビ番組でパフォーマンスを披露

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. ATCQ、20年ぶりの全米1位濃厚な新作と今後を語る「これが最後のレコードで、ワールド・ツアーは多分やるだろう」

Billboard JAPAN

国内唯一の総合シングルチャート“JAPAN HOT100”を発表。国内外のオリジナルエンタメニュースやアーティストインタビューをお届け中!

ウェブサイト: http://www.billboard-japan.com/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。